キラーク
アルコリー
ダルメ
種族:ドワーフ
種族:エルフ
種族:ハタカーン
HP:40 AC:−2
HP:34 AC:1
HP:38 AC:5 

(1)目指せ、本国を
DM「では、デミヒューマンキャンペーンの第二部をスタートします。皆さんはニュースロイト島に
住むデミヒューマンです。ニュースロイト島は魔法王国スロイトが統治する土地でした。しかし、
これに反旗を翻した君たちの活躍によって、ニュースロイト島の半分までは君たちの土地とし
て回復できました。ここでデミヒューマンの総統レザー・ハーンは、一気に攻勢に出ることにしま
した」
ダルメ「具体的にはどのようにですか?」
DM「ダルメ、キラークの二名に、スロイト本国に潜入して、政治的工作に当たって欲しいとの
大命が下ったわけです」
ダルメ「犬顔の私には、思い切り、私には向かない作戦のような気がするんですけれどね
(笑)。もう少し人間っぽい人の方がよろしいのでは?」
DM「まあまあ。君たちが適任として選ばれたわけですから。さて、スロイト王国は魔法王国と
いうだけあって、魔術師の国です。首都のスロイトには〈百人議会〉と呼ばれる、高レベルの魔
術師から作られる議会があって、その決定がいわゆるスロイトの国策になっているわけです。
今、この議会で力を持っているのが今のニュースロイト島の総督ですが、ダルメとキラークがこ
の議会を引っかき回してくれれば、敵も混乱するという次第で」
ダルメ「だから、そういうのは、以前出てきた引っかき回しのデミタスとかにさせればいいと思う
んですが(笑)」
DM「君たち、1LVの奴になんてことを(笑)。『ここは、実力では屈指のダルメとキラークに行っ
てもらうのが一番だ。君たちの力で議会を引っかき回すのだ』と総統もおっしゃっておられます
(笑)。『行け!ケガワント・チルドレンとして議会を混乱に陥れろ!』」
キラーク「しかし、総統。そんな大仕事には、一人、中核になるような刺客が必要だぞ。我々二
人ではどうしようもない」
DM「『大丈夫だ。今回の作戦のために、特別の刺客を用意した』」
キラーク「どんなチルドレンだ」
DM「『私の古くからの友人でな。アルコリーというエルフだ』」
遠くのアルコリー「そうなんだ!(笑)」
DM「『彼がスロイト本国で君たちの訪れを待っている。彼と合流して、スロイト議会に攻撃をか
けよ』」
ダルメ「こんな総統と古くから知り合いなら、それはさぞ頭がおかし…いえ、キレるでしょう
(笑)」
キラーク「具体的には、そのアルコリーと組んでどのようにすればいい?」
DM「『奴は顔がいいからな。奴の顔を使ってスロイトの女王をタラし込めばいい』」
ダルメ「なるほど。我々はチーム・アルコリーとして行動すればいいわけですな。略してアル党
です(笑)」
一同(笑)
DM「『そうそう、キラークに言っておくが、スロイト本国では、ドワーフは特に気をつけろ』」
キラーク「何故だ?」
DM「『ドワーフやハーフリングは魔法に対する抵抗力が高いので、実験体扱いにされているら
しい』」
ダルメ「フハハハ…なんだか、聞きたくないことを聞いたぞ〜。しかし、私は所詮ハタカーンなの
で大丈夫です。いざとなったらハタカーン顔の男で押し通しましょう」
キラーク「私だってドワーフ顔の一般人だ(笑)」
ダルメ「ま、とにかく、不審がられないのが大切ですので、フードとかをかぶって行動しましょう
(苦笑)。ところで総統、スロイト本国まではどのようにして行くんですか?」DM「『うむ。数日
後、このケガワントの近くを、商戦〈海のオカラ号〉が通ることになっている。それに乗っていけ
ばいい』」
ダルメ「なんで、そんな絞りかすみたいな名前なんですか。すぐに沈みそうですよ」
DM「『大豆のオカラを山積みしているからだ』」
キラーク「それでか…さい先が悪い門出になりそうだな…」

 とまあ、不安山盛りのスタートであったが、ダルメとキラークは無事にスロイト王国の首都に
着く。航路で二日。ドムア大陸でも有数の都市、スロイト市に彼らはその足をおろした。ここは
魔法王国スロイトの首都。女王スロイト・マハ=タリの治める土地である。魔術の研究が盛ん
で、文化的な香りのあふれる都市。ダルメとキラークには全く無縁といってもいい土地柄であ
る。

(2)出会ったよアルコリー

DM「では、君たちはスロイト市に着きました。〈海のオカラ号〉は積み荷を卸し始めます。君た
ちもスロイトの港に降り立ちました」
キラーク「我々はフードとかをかぶった方がいいかな?」
DM「そうだね。堂々としているのはちょっと危険だね」
キラーク「フードをかぶっておくか」
出会っていないアルコリー「ところで、僕たちはどこで待ち合わせをすることになっているん
だ?」
ダルメ「アルコリーが港で待っているんじゃないの?」
DM「待っていても、会えたかどうかはわからない。さあ、お互いを見つけることができたかどう
か、知恵でチェックだ」
ダルメ&キラーク(ころころ)「失敗」
アルコリー「(ころころ)うむ、不審な二人組を見つけたぞ」
キラーク「無視無視。なぜなら私は自分を不審者とは思っていない」
アルコリー「お〜い(笑)」
ダルメ「むむっ、そこのエルフ。ひょっとすると、あなたがアルコリーですか?」
アルコリー「イエス!」
ダルメ「よかった。やっと会えた(笑)取りあえず手みやげを渡しますか(←インチキ総統からも
らった鎧など)」
アルコリー「では、ありがたくいただこう(笑)。ところでDM、僕はどこに住んでいるのかい?一
応、森には家があって、妻もいるんだけれど」
DM「アルコリーは今のところ、ここの盗賊ギルドで身泊まりしていると思ってください。エルフは
この魔法王国ではたいへん大事に扱われていて、どこでも手厚くもてなしてくれますが。ちなみ
にハタカーンも、僧侶呪文とはいえ魔法が使えるので、まあまあ厚遇してもらえます」
ダルメ「ドワーフは!」
DM「はい、ドワーフは、スロイトでは最下級戦士です。ハーフリングともども、魔法の実験体と
して扱われています。魔法に対する耐性が高いので、実験にはもってこいですから」
キラーク「オー!私はモルモットか!」
DM「そのドワーフと同じくらい最下級戦士なのが盗賊です。さっき盗賊ギルドと言ったけれど、
この町、盗賊ギルドがないでしょ」
ダルメ「あ、本当ですね」
DM「代わりに看板が出ているのが〈情報局〉で、ここが盗賊ギルドの役目を果たしているわけ
です。つまり、おおっぴらにはギルドとして活動はできないというわけだ。それだけ盗賊は嫌わ
れているわけだ」


キラーク「犬も実験に使われるんじゃないのか?」
ダルメ「一応、これでも、まっとうな僧侶なんですけれどね」
アルコリー「話を元に戻すけれど、僕はその情報局に寝泊まりしているわけなんだな?」
DM「そうですね。情報局の局長はジャーナルという人なんですが、アルコリーは現在彼の世話
になっています」
ダルメ「また、週刊誌みたいな名前の人が出てきましたね(笑)。この分では、名誉会長さんの
名前はきっとタイムズでしょう(笑)。部下がフォーカスと、フライデー(笑)」
DM「取りあえず、ジャーナルさんの所に行って、作戦を練るのがいいと思われます」
キラーク「そうするか。我々もまだこの町のことは知らないからな」
ダルメ「な〜に、(地図を指し示しながら)この議会を引っかき回せばいいんでしょう」
DM「簡単に言うねぇ。議会は全て魔術師百人で構成されていて、軒並み10レベル以上の連
中だよ」
キラーク「議会の時もマジック・ミサイルの本数で投票が行われそうだな(笑)」
DM「ところが、議事堂の中では魔法が使えないようになっているそうです。要するに、チャー
ム・パーソンとかを使って、採決に影響が出ないように、議事堂の中では魔法が遮断されるよ
うになっているそうです」
ダルメ「僧侶の奇跡は遮断されませんか?」
DM「僧侶の奇跡は基本的に別物ですから、問題ないかと」
ダルメ「なるほど。なかなか厄介な議事堂ですね。ああ、なるほど。そこでアルコリーが、自分
自身の魅力で女王をチャームして、議会をひっくり返させるのが、インチキ総統の作戦というわ
けなんですな(笑)」
アルコリー「ちょっと待て!なんだ、その作戦は!」
ダルメ「おっと、これは極秘事項でしたかな。さあさあ、皆さん、とっと情報局に向かいましょうか
(笑)」
 なんだかわけのわからないノリでうち解けながら、彼らは早速作戦行動に入る。目指すは港
近くの情報局。建物の中から輪転機の音が響いてくる。
DM「では、情報局につきました」
アルコリー「よかった。ランダム・エンカウントとかされなくて(笑)」
ダルメ「町中で?」
アルコリー「拉致されるとかあるかもしれない(恐)」
DM「では、君たちの前に、年頃は四十半ば。短いローブを着た身なりのよい男が現れます。
彼がジャーナルです。『帰ってきたね、アルコリーくん』」
アルコリー「帰ってきたよ、ジャーナルくん」
ダルメ「初めまして。ケガワントから来たダルメと申します」
キラーク「同じく、キラークだ」
DM「『そうか。彼らが、ケガワントから来た刺客なんだな。あの、レザー・ハーンの部下か』」
アルコリー「レザー・ハーンってどういう人物なんだ?」
DM「『うん、若いときはこのドムア大陸有数のシャーマンとして名を馳せた人物だ。しかし、あ
る時に頭を打ってから、デミヒューマンの独立を主張し始めて、独立運動の旗頭になったのだ
よ』」
一同「おいっ!」
ダルメ「道理で、不可解な行動が多いわけです」
DM「『何をいうんだね。私も彼のことは尊敬しているよ』」
アルコリー「ジャーナルさん、あんたも狂気の神ラニヴォラスの信者かい?」
DM「『そうだが、なにか?』(←あっさりと)」
ダルメ「ものすごく不安になってきましたが、ジャーナルさん、我々は議会を混乱させるように依
頼されてきたのですが、どうすればいいですかね」
DM「『そうだな。魔術師議会には議長、副議長、書記の三人の役員がいる。彼らを味方につ
けて、ニュースロイト島での植民地支配の極悪非道ぶりを議会で糾弾させるのだ。そうすれば
議会も君たちに同情して、話はうまくいくだろう』」
ダルメ「極悪非道というか…マヌケですよ。ニュースロイトの連中は。イマイチ陰惨さに欠ける
気が…」
アルコリー「確か、前回、総督の姪かなんか(←魔剣のアリストテレスのこと)を捕まえたんじゃ
なかった?その線から攻めるなんてのもいいかも」
DM「あ、そうだったね。彼女も議員だったから、今は99人議会になっているのか」
アルコリー「前回捕まえたという魔術師の両親とかはこの街にはいないのか?」
DM「魔剣のアリストテレスの両親?それはもう死んでしまっていていないよ」
アルコリー「じゃあ、駄目だな」
ダルメ「しかし、議会の混乱なんてそんなに簡単にいきますか?」
DM「『議員のほとんどは、総督にへつらっているだけだ』とジャーナルさん。そうそう、今まで言
っていなかったけれど、ニュースロイト総督の名前はアレクサンドロスといいます」
ダルメ「いかにも征服者っぽい名前ですな。彼の夢は我らがケガワントを征服して、アレクサン
ドリアに改名することでしょう!まちがいない!」
キラーク「なに、所詮は負けドニアの王よ(笑)」
DM「凄い自信だな。まあ、アレクサンドロスの影響で賛同しているだけだから、揺さぶればす
ぐに議員は離れるだろうとジャーナルさんは言う。ただ、問題があって、今この議会は閉会して
いるそうだ。そして、会を開くには、議長・副議長・書記の三役が発議するか、女王の勅命のど
ちらかが必要らしい」
キラーク「なるほどな。そこで、アルコリーの出番というわけか」
アルコリー「む!むむっ(苦)」
キラーク「女王と接触したいところだな。女王が密かに街にお買い物に出るとかないのか?情
報局だから、それくらいはわかるだろう」
DM「『いや、さすがにそんなものはつかんでいないよ』」
キラーク「スケジュールとかわからないのか?なんとか、接触を図りたいところだが」
DM「『そうですね。王城の前で女王の悪口をいいまくったら、とっつかまって面会できるかもし
れませんよ』」
一同(爆笑)
キラーク「そんな悪印象を持たせる必要はないな」
ダルメ「議長たちはどこに居るんですか?会えるものなら一度会っておきたいですが」
DM「『それが、議長達は身を隠しているのだ』とジャーナルさん。『彼らはアレクサンドロスに賛
同していないので、命を狙われている。』」
ダルメ「議会が開催できないように、アレクサンドロスも狙っているわけですか。なかなかやりま
すね…」
アルコリー「取りあえずは議長達に当たった方がよくないかな?僕としては、女王を口説くのは
かまわないけれど、女王の年も、姿形も知らないし、人間かどうかも不明だし(笑)」
ダルメ「年の頃は45歳。それはそれはステキ(←悪い意味)な容貌だったら嫌ですね」
アルコリー「その辺のこともあるから、議長の居場所から探したいなぁ」
DM「では、議長について説明しよう。議長は〈しかくのピカス〉と言って、いわゆる芸術家肌の
魔術師だそうだ」
キラーク「しかく?四角じゃなくてか?」
DM「とにかく、〈しかく〉だそうです」
キラーク「キュービズムのピカソを思い起こさせる名前だな。そいつはこの街に家があるの
か?」
DM「ピカスの家はこの街の南にあります。しかし、彼は家に堅く鍵をかけて閉じこもっているそ
うです。そして、ピカスに会うには資格が必要とか」
アルコリー「資格って、どこにあるんだ?」
DM「ジャーナルさんによると、『ここから二日ほど行った森の中にアマデウスの音楽堂と呼ば
れる建物がある。そこに、ピカスに会うための資格が隠されている』そうだ」
ダルメ「芸術家の次は音楽家っぽい名前ですね」
キラーク「その、音楽堂までの距離はどのくらいだ?」
DM「二日というところらしいよ」
キラーク「二日か。結構距離はあるな」
ダルメ「なに、大丈夫です。森の中ではエンカウント・モンスターには遭遇しませんから。ねぇ、
DM?」
DM「そんなわけあるか(苦笑)。もちろん、覚悟はしてください。あと、捕捉ですが、副議長がア
マデウスだそうです」
アルコリー「アマデウスってのはそこにいるの?」
DM「いや、アマデウスは、音楽堂から更に一日いった所にある塔に住んでいるそうだ」
ダルメ「わざわざ街から離れて塔ずまいですか。副議長はまた、随分自己主張が激しそうです
ね(笑)。ところで、書記はなんという名前ですか?」
DM「書記の名前はゲッペルスです」
アルコリー「おいっ、DM。思い切りふざけとるな(笑)」
DM「うん。名前では思い切りふざけています。でも、シナリオではまじめだよ。だから、しっかり
森ではエンカウントチェックします」
キラーク「エンカウントは嫌だが、最初にアマデウスに会って、音楽堂に入る許可を得るという
のがいいと思う」
ダルメ「では、その、アマデウス君に会いにいきますか。ここは情報局だから、彼の似顔絵くら
いは造ってもらえるでしょう」
DM「そうだね。それはジャーナルさんがささっと造ってくれる。彼は年齢二十歳と少し。笛やハ
ープを引くのが得意の吟遊詩人だ」ダルメ「女王を口説かせるにもよさそうですな」
DM「あと、彼は音楽によって、無生物に命を吹き込んだりすることができるらしい」
ダルメ「ななな!それは、さぞ、塔の中はゴーレムだらけの予感が…。しかし、彼が塔に住んで
いるのも解ります。そんな奴が町中に住んでいたら、いつ、彼の音楽で、隣近所の包丁とかが
踊り出すかわかりませんからな(笑)」
キラーク「考えたら、近所迷惑な男だな」
DM「確かに、彼が街を避けているのはそういう理由もあるらしい。まあも、魔術師なんてのは
自己中で迷惑な奴が多いからね。だから、世間から離れて暮らしているんだろうね」

(3)音楽家アマデウス

 彼らは最初に、アマデウスの住むという塔を目指すことにした。ここから南西の森の中へ三
日。当然ながら食料が必要である。そう、食料が必要なのだ。そして、街に出た彼らはあること
に気が付く。

ダルメ「はっ、DM!まさか、この街では食料が買えるんですか?」
DM「そうだよ。普通に金貨で取引できます」
ダルメ「すごい!買いまくりましょう!」
キラーク「魔法の品!魔法の品も探せ!」

 ニュースロイト島では決して買えなかった食料を買い、金にあかせてポーションを買い、準備
は万端。そして彼らはアマデウスの塔を目指して出発した。

ダルメ「出るなら、コボルドとかラストモンスターのような、害が少ないモンスターがいいですな
ぁ」
アルコリー「ラストモンスターは僕には十分害だぞ」
キラーク「どうする、もし、森が真っ黄色のカビで埋め尽くされていたら?」
ダルメ「そりゃあ、もう、狂ったように森に火を放ちますよ(笑)」

 とかなんとか、魔術師以上に自己中心的なトークをしながら一行は進む。一日目は何事もな
く進む。二日目も何も出ない。しかし二日目の晩に、ダルメの当直の時にエンカウントが発生
する。

ダルメ「みんな!起きてください!プリーズ!ヘルプ!」
アルコリー「なんだ…(ころころ)。うん、わかったぞ。何が出た?」
DM「うん、鹿18匹の群れが君たちの前を通り過ぎていく」
一同(笑)

 とまあ、特に害もないエンカントで終わったのであった。そして朝方になり、彼らはアマデウス
の音楽堂に着く。音楽堂は石造りの建物で、小さな演奏会をするために造られたもののよう
だ。

キラーク「他に何か解るか。構造物の罠発見の技能を使おう」
DM「(ころころ、よくわからんな)うん音楽堂の奥に、大きな石の固まりが三つあります。一つは
○。一つは□。一つは△の形をしています」
ダルメ「まさか、DM、この中の□の岩が、ピカスに会うための資格なんてオチじゃぁ…」
DM「(にこにこ笑いつつも冷や汗)」
キラーク「この、岩は持って歩けるのか?」
DM「(実はこれはゴーレムなんだよね)。いや、無理だね。人の背丈ぐらいの大きさがある大
きな岩だよ」
キラーク「なんか、思い切り嫌な予感がするから先に塔に行こう。下手に近づいて、変なゴーレ
ムとか出てきても困る」

 と、キラークの、かなり核心をついた提案によって、皆はアマデウスの塔を目指した。音楽堂
から一日。昼が過ぎて夜になった。そして、またエンカウントが。

DM「(ころころ)おっ、モンスターでました」
キラーク「ずばり、ノーマル・フィッシャーマンが出たと見た!」
ダルメ「森の中に?」
DM「(ころころ。また、変なものが出たな)いんにゃ。ファイターが一人出た」
アルコリー「ファイター?」
DM「うん、人間のファイターです」
アルコリー「取りあえず、あんた、誰だ?」
DM「(ええと、困ったな。どう繋ごうか)。『おまえ達こそ何者だ。ここは、魔術師アマデウス様の
土地だぞ』」
キラーク「そのアマデウスさんに我々は会いに来たのだ」
DM「『何故だ?』」
アルコリー「音楽堂に入ってもいいかどうか、許可をもらおうと思ってさ」
DM「『なるほど、それでか。しかし、アマデウスさんはおらんぞ』」
キラーク「どこかに行ったのか?」
DM「『いや、出て行った様子もないのにいないんだ』」
ダルメ「塔は上から下まで探したんですか?」
DM「『探した。でも、いないんだ』」
アルコリー「テレポートの魔法で出て行ったんじゃないの?」
DM「『いや、アマデウスさんは魔術師だけれど、どっちかというと芸術家だから、あまり魔法は
知らない。それに、そうだとしても、私に一言くらい言ってくれるはずだ』」
アルコリー「う〜ん、とりあえず、塔まで案内してくれるとうれしいんだけれどな」
DM「『ああ、わかった。出来れば、アマデウスさんがどこに行ったか探してくれるとありがた
い』」

 と、いうわけで、エンカウントで出現したファイターを、勝手にアマデウスの部下に仕立て上げ
て、DMは一行をアマデウスの塔に案内させた。TRPGは、予期せぬ突発的事項にも、即興で
対応することが求められるゲームだとしみじみ再確認する。

(4)わたしゃ音楽家

DM「では、アマデウスの塔に着いた」
ダルメ「どんな塔です」


DM「こんな塔(と言ってイラストを見せる)」
キラーク「うむ、いい音が鳴りそうな塔だ(笑)」
ダルメ「裏側にも扉がありそうですね。これがアマデウスの塔ですか。思い切りバカですな」
キラーク「よし、では、アマデウスさんを探してしんぜよう。塔の中で見つけた宝物はもちろん
我々が持って行っていいな?」
DM「『いや、だめだよ。アマデウスさんの品物を勝手に持って行ったら。塔の中にはあの人が
集めた貴重な楽器類があるから、壊したりしないようにしてくれよ』」
ダルメ「勝手に、人の口の中に入ろうとする笛とかあったら嫌ですね」
一同(爆笑)
キラーク「『吹いて!吹いて!』って笛から押しかけてくれるのだな(笑)」
ダルメ「ところで、この変な塔の窓はどうなっていますか?」
DM「パッと見は丸窓だね。今は閉まっている」
ダルメ「アマデウスさんはどこに居たんですか?」
DM「『アマデウスさんはこの塔の六階に住んでいた。七階は物見台だ』」
キラーク「もう少し窓を見てみるが、この窓ははめ殺しか?ドワーフ的なものでわからない
か?」
DM「(ころころ、成功)では、わかった。この窓はガッチリ閉じられている。しかも、物理的には
開かないらしい」
キラーク「開かない窓?どういうことだ?」

 このような疑問を抱きつつ、一行は塔の中に入って上に向かう。塔の構造は特記することも
ない。階段をひたすら上に登っていく。そして、アマデウスがいたという六階にたどり着いた。

DM「この部屋にはベッドが置かれています。そして、あちこちに楽器類が置かれています」
ダルメ「価値があるものですかね?」
DM「たぶんそうだと思いますが、君たちでは解りません」
アルコリー「ベッドがあるなら、ベッドを調べてみよう」
DM「はい、では、そこで、ダルメは知恵チェックをしてください」
ダルメ「私ですか!しかし、知恵ならば私の出番。(ころころ)ほら、成功です」
DM「では、ダルメはわかる。君たちの頭の上を、白い手がスッと撫でていった。そして、君たち
のHPは1ずつ減る。はい、ダメージを受けて」
ダルメ「な、ななな!」
DM「そして、ベッドの上に、ぼうっと、手の形が実体化してきます。でも、全身は見えてきませ
ん」
キラーク「これが、アマデウスっぽいぞ」
アルコリー「ESPの呪文があるから、使ってみよう」
DM「では、声が聞こえてくる。『やったぁ!繋がった!』」
アルコリー「こら!あんたがアマデウスか!」
DM「『いいから、楽器をくれ!楽器を!片手で演奏できるやつを』と言う」
キラーク「なんかその辺にあるか?」
DM「ハープなら片手でもなんとかなるも」
キラーク「では、それを渡してやるか」
DM「では、手がボロロン♪、ボロロン♪とハープを引きます。すると、手以外の部分も次第に
実体化してきます。そして君たちの前に、若い魔術師が現れました」
ダルメ「あなたがアマデウスさんですか?」
DM「『そうだよ♪』」
ダルメ「これはいったい、どうしたことです」
DM「『うん、僕はこの塔全体を楽器にして、無生物に命を吹き込む実験をしていたんだ。ところ
が、構造が間違って、逆に僕が霊体になってしまった♪』」
ダルメ「また、致命的な間違いですな」
DM「『楽器を弾いている間はなんとか実体でいれるけれど、演奏を止めるとたちまち元に戻っ
てしまうんだよ♪』」
アルコリー「どうすれば元に戻れるんだい?」
DM「『ああ、塔の窓を開ければ塔を流れるメロディーが変わるから、僕は元に戻れるよ♪』」
キラーク「しかし、あの窓ははめ殺しで開かないが」
DM「『そうなんだ。それで僕も困っているのさ♪』」
ダルメ「『困っているのさ』じゃない!あんたが重要人物でなかったら、ターンして冥界に完全に
放り込んでいるところですよ(怒)」
キラーク「どうやって窓を開けるんだ?なんかの楽器でも対応しているのか?」
DM「『うん、この塔の周囲に、音楽の音源を六カ所設置している。窓はその音源と対応してい
て、音源を壊すと窓が開くという仕組みになっている』」

 

♪ド    塔    ♪ラ
♪レ     ♪ソ
   ♪ミ ♪ファ 
 


ダルメ「その音源までの距離が徒歩で五分だったらいいですなぁ」
DM「『いや、一日かかる♪』」
ダルメ「こらぁ!」
DM「『いや、大丈夫だよ。別に、六つの音源を全て壊す必要はないから♪』」
アルコリー「それで、『五つでいい』とか言われたらかなり激怒もんだけれど」
DM「『三つでいい。けれども、それには順番があってね♪』」

 そしてアマデウスは一つの楽譜を出してくる。

 楽譜1 ソ♪ ミ♪ ド♪    楽譜2 ソ♪ ミ♪ ファ♪

DM「『どちらかの順番通りに窓を開ければ、僕は元に戻れるんだ♪』」
ダルメ「個人的感情では、こういう人には元に戻って欲しくないですが…」
DM「『あと、音源には、アンデットモンスターを使っているから、壊す際には注意してくださいよ
♪』」
ダルメ「ちょっと!」
キラーク「聞こえなかったことにしたい事実だな…」
ダルメ「ファの音源って何でしょう?ファントムだったら嫌ですねぇ。私じゃターンできませんよ」
キラーク「まずはソ♪で様子を見るのがいいんじゃないか?ソールとかの、無難なものが出そ
うだしな」
アルコリー「同感。まずはソ♪を何とかしてから悩もう」

 と、至極建設的な意見に従って、彼らは音源を破壊するミッションに突き進んだのである。塔
の周りにある六カ所の音源。これを順番道理に壊せば、アマデウスの姿は元に戻る。そして彼
らはまずは音源ソ♪に向かうのであった。

(5)死の交響曲

DM「では、その日は暮れて、野営だ。(ころころ)おっ、モンスター出ました。当直は?えっと、
ダルメか」
ダルメ「みんな、起きてください!」
アルコリー「何だよ?また、鹿の軍団?(ころころ)モンスター判定は成功」
DM「では、ファイアー・ビートルだ」
ダルメ「アルコリー、どうします?」
アルコリー「ビートルに負けるようじゃあ、先が思いやられる。殺ろう!」

 と、いうわけで、一行は全力でファイヤー・ビートルをねじ伏せた。アルコリーのマジック・ミサ
イルが炸裂し、昆虫はあっさり葬られる。

DM「では、翌朝になった。君たちは音源の場所にたどり着いた。地面にレリーフが埋め込ま
れて、レリーフには小さな窓が付いている」
ダルメ「窓からは何が見えます?」
DM「なら、DMは知力チェックしてみて」
ダルメ「(ころころ)成功ですが」
DM「では、レリーフの下の地面に、ゾンビが埋められているのがわかる」
ダルメ「ゾンビ!なるほど、濁点もありでしたか」
キラーク「一体だけか?」
DM「いや、それはわからんが」
ダルメ「よし、壊しましょう。キラーク、お願いします」
キラーク「私がか?」
アルコリー「いや、僕が怖そう。筋力18もあるし」
DM「では、壊せるかどうか筋力チェックどうぞ」
アルコリー「(ころころ)よし、壊した」
DM「では、壊れたレリーフから、ソンビが出てきて地面にはい上がってくる。数は6体だ」
ダルメ「よし、ターン・アンデット!」

当たり前だがゾンビなど、ザコ中のザコである。あっという間に駆逐して、ごく平和に戦闘は終
わった。

ダルメ「ゾンビでウォーミング・アップってことなんですかね」
アルコリー「次の音源はミ♪だ。ミ♪へ行くぞ!」
キラーク「ミはなんなんだろう。ミノタウロス・ゾンビ?」
DM「さあね、なんなんだろうね」
ダルメ「しかし、このDM、アンデット大好きですなぁ(嘆息)」

 次に彼らは音源ミ♪に向かう。しかし、途中で一応ファ♪の音源に寄って、ファに封印された
モンスターを確かめることにした。その途中で出会ったイノシシはあっさりと駆逐。軽く食料にし
つつ、音源ファ♪にたどり着く。もっとも、今はこれを壊すわけにはいかない。順番通りに音源
を壊さないと、アマデウスは元に戻れない。

アルコリー「レリーフをチェックしてみる(ころころ)。成功!」
DM「では、地面の下から亡霊のうめき声が聞こえてくる。これは、ファントムと呼ばれるアンデ
ットの一種、ヴィジョンという奴だ」
アルコリー「ファ、ファントム…」
DM「ですな」
キラーク「危険だ!詳しくはどんなアンデッドだ?」
DM「そうだね。こいつは死んだ兵士達の姿で現れて泣き叫ぶ。ヴィジョンが出現した時の泣き
声を聞いた者は呪文のST判定をしなくてはならない。これに失敗するd10+10ラウンド泣き
出してしまう。その後でヴィジョンは実体化し、相手を切り刻み始める。ちなみにこいつは魔法
の武器でしか傷つけられない」
ダルメ「私のスリングが効かない!」
アルコリー「いや、キラーク。君に僕の魔法の剣を貸そう。これで君もヴィジョンと戦える」
キラーク「何を言うんだ。私こそ君に魔法の武器を貸そうではないか」
ダルメ「あっという間に、不毛な譲り合いが始まりましたな(苦笑)」

 さんざんと、情けない譲り合いを続けた後、ダルメの「とまかく、まずはミ♪へ向かいましょう」
という提案に押されて、一行はこのファ♪をスルー。ミへと向かう。途中で今度はタイガー・ビー
トルへと出会い、これはあっさり撃破。

アルコリー「ま、カブトムシには勝っておかないとね」
キラーク「これからの戦いのためにもな」
DM「なんだなんだ、君たちはカブトムシキラーか(笑)」

 とまあ、宝も出ないし、経験値もショボイ、無益な戦いを終えて、彼らは音源ミ♪へやって来
た。

アルコリー「(ころころ)モンスター判定は成功。音源の中に見えるのは何だ?」
DM「うん、マミーです。いわゆるミイラだね」
アルコリー「こいつを正面から見るとマヒしちゃうんだよな。プロテクション・フロム・イービルを使
っておこう。そうすれば、例えマヒしても、相手は我々に近づけない」
ダルメ「私も自分にかければオッケーです」
キラーク「と、いうことは、私は自力で耐えないといけないわけか。まあ、抵抗力は高いからなん
とかなるだろうが」

ダルメ「よし、全力を尽くしましょう」
アルコリー「プロテクション・フロム・イービルにミラー・イメージ!」
ダルメ「プロテクション・フロム・イービルにブレス!」
アルコリー「そしてヘイスト!これで攻撃回数も増える!準備は万全だ!」

一行は全力でマミーに対するマミーはいわゆるミイラ男。この姿を見た者は、マヒのST判定を
しなければならない。失敗すると見た者は恐怖のあまりマヒしてしまう恐ろしいアンデットであ
る。

DM「では、音源を壊すでいいね」
一同「おう!」
DM「では、音源がバリーンと壊れた。そして、地面からミイラ達があらわれる」
アルコリー「達?」
DM「二体いるからね。では、マヒのST判定をして」
ダルメ「(ころころ)ああっ!固まってしまいました」
アルコリー「(ころころ)僕もだ!」
キラーク「(ころころ)なんだと!私もだぞ」
DM「え?全員固まってしまったの?参ったな…」
ダルメ「この状況だと、ド○クエの場合、王様の所まで戻されるんですが…」
アルコリー「でも、プロテクション・フロム・イービルがあるから、マミーは僕たちに近づけないは
ずだ」
DM「…そうだな。なら、マミーは、ただ一人近づけるキラークを死ぬまでボコして去っていく。そ
して、キラークは死んだ」
キラーク「な、なにぃ!」
DM「そして、経験点は半分です」
キラーク「オー!ノー!」

 と、いうわけで、戦闘にもならずにキラークが殺されて一回目の戦いは終わったのであった。
このキャンペーンでは、死んでも1ターン後にHP1で復活できる。しかし、その回のセッションで
の経験点は半分になる。二回死んだら1/4になる。と、いうわけで、キラークを殺してマミーは
去り、1ターン後にキラークは復活した。しかし経験点は半分である。

キラーク「なんてことだ!」
ダルメ「思い切り、不測の事態でした。まさか、全員失敗するとは」
アルコリー「でも、グスグスしてはいられない!遠くへ行かないうちにマミーを追撃するぞ!」

 この後、キラークを回復させて、一行は急いでマミーの追撃にかかった。なんとか再度マミー
を捕捉して奇襲に持ち込む。呪文の援護がないために超大苦戦に陥ったが、なんとかマミーを
撃破することができたのであった。

ダルメ「ふう、マミーは強かったですね」
アルコリー「カブトムシとは格が違うからね」
ダルメ「マヒがクセモノでした。ただの包帯男があんなに怖いとは」
DM「マミーは見る者をマヒさせる能力があるから」
ダルメ「実はあの包帯の下には酷く醜い物体が潜んでいて、それのために見る者はマヒさせら
れるとか…」
DM「馬鹿なことを言う余裕はあるなぁ」
ダルメ「HP的には全然余裕ないですけれど。取りあえず、皆さん、今日はもう休みましょう」

 そして、一行は泥のように眠り、体力を回復させるのであった。そして目覚めた翌朝。朝っぱ
らからアルコリーがあることを思い出し、騒ぎ立てる。

アルコリー「思い当たった!ド♪はもう、ドルージュしかありえないぞ!」
DM「(とうとう気が付いたか。このマニアめ)」
ダルメ「どんなモンスターです?」
DM「大きなドクロのようなモンスターで、浮遊する能力を持っている。こいつに触れると死の光
線のSTチェックをしないといけない。もちろん、失敗すると即死ね」
キラーク「もう、ファ♪にいくしかないか…」
ダルメ「しかし、昨日のダメージがまだ残っていますが」
アルコリー「それは、ミ♪に向かう途中で回復すればいい。取りあえずダルメ、今日は全部呪
文をキュアライト・ウーンズにまわしてくれよ」

 単純に比較すると、♪ファントムであるヴィジョンのACは0。HDは12。♪ドルージュのACは
−4でHDは14。当然ながらファントムの方が弱い。しかし、持っている宝や経験点はドルージ
ュの方が多い。もちろん、どっちの音源を選んでもいい。こういう選択の自由はあるべきだし、
プレイヤーにも選ぶ権利を与えるべきである。

キラーク「ドルージュは一体だから、ドルージュの方がよくないか?ヴィジョンは何体も出てくる
から私は嫌だ」

アルコリー「でも、即死毒は嫌だ。ヴィジョンは何体も出てくるけれど、一体倒したら全部消える
タイプのモンスターだから、僕としてはこっちがオススメ」

 少し議論の余地があったが、結局ファントム♪に決まる。なにしろもうみんなHPがボロボロ
で、宝物を優先する余地はなかったのである。それて彼らは全力でファ♪に向かったのであっ
た。

DM「では、ファ♪に着いた」
アルコリー「よし、ここはとって置きのアイテムだ!ジン・サモニング・リング!」
ダルメ「なに、それ?」
アルコリー「一週間に一度、ジンを呼び出して命令することができるんだ」
ダルメ「な、なんと!そんな便利なものが!」
アルコリー「けれど、一週間に一度しか使えないのさ」
DM「まあ、ジンも7HDしかないから、それほど強いわけでもないけれどね」
アルコリー「それでも今回は助かる。イザと言うときに取っておいてよかった」
キラーク「呪文を!呪文をくれ!」
ダルメ「プロテクション・フロム・イービルは自分自身にかけます(笑)」
キラーク「なんだと!こっちは自分で呪文が使えないのだぞ!」
アルコリー「ドワーフが使えてもエルフとしては困る(笑)。とりうえず、ジンを呼び出そう」
DM「はいはい、すると、ジンがボワンと出てくる。『アパラパー。ご主人様。何をしましょう
か?』」
アルコリー「今からモンスターが出てくる。それをシバけ」
DM「『わかりました。シバきます』」
キラーク「そういって私がシバかれたら嫌だな(笑)」
DM「そうか。一応モンスターだもんね」
ダルメ「はい、ブレス。ジンにもブレスがかかります」
アルコリー「よし、行くぞ!」
 そして、いよいよファントムであるヴィジョンとの戦いが始まった。音源を壊すと、一行の周囲
に、戦死した兵士のような姿が現れる。そして、それは泣き声と共に一行を囲み始めたのであ
った。
ダルメ「ST判定は(ころころ)…よし、成功です!」
アルコリー&キラーク「こっちもだ!」
アルコリー「ジンはどうなる?」
DM「ジンはね…戦士14LVと同じ扱いだから、9以上で成功。(ころころ)、おや、6とか出てい
る」
キラーク「いきなりジンが脱落か!」
DM「ではジンはその場に止まって泣き始める。『ご主人様〜。悲しいです〜』」
アルコリー「なんだと、帰れ、お前(苦笑)」
 というわけで、とっておきのジンがいきなり役立たずになった。そして、ヴィジョンにはアルコリ
ーのアイス・ストームの呪文も効かないことが発覚。
アルコリー「なんで全部裏目に出るんだ!」

 とかいっても仕方がない。戦闘が始まった。ヴィジョン達はまず、泣き叫んでいるジンに向か
って攻撃してくる。ところが。

DM「あ…ジンは魔法の武器でないと傷つけられないや。と、とうことは、敵は泣いているジンを
殴るだけか。しかも、ダメージは与えられない」
一同(爆笑)
ダルメ「ジンが泣いていて、アンデットはそれを無駄に叩くだけですか!なんとおかしい!と、い
うか、ジン、役に立っています(笑)!」
 意外にこれが怪我の功名となった。ヴィジョン達はジンに攻撃を集中させるが、それはことご
とく無駄になっていく。その隙にアルコリー達はヴィジョンに攻撃を仕掛ける。このラウンドの攻
撃がことごとくヴィジョンに命中し、カウンターパンチでヴィジョンを撃破することができたのだっ
た。

(6)実体化した男

アルコリー「勝った…」
ダルメ「後は、塔に戻って、アマデウスに会うだけですな」
DM「ヴィジョンは結構宝を持っているよ。宝石が五個出た」
ダルメ「塔の方を見るけれど、窓は開いた?」
DM「ああ、開いているのが遠目にもわかるよ。そして美しい音楽が塔の方から聞こえだしてき
ました」
キラーク「他の音源はどうする?見て回るか?」
アルコリー「いや、疲れたから、もう帰りたい↓」
ダルメ「これで塔に帰ったらアマデウスが『ははは!実は私が最後のボスだ!』とか言い出した
らどうします(笑)?」
キラーク「殺すか…」
アルコリー「大手を振ってブッ飛ばす!」
DM「塔の窓からアマデウスが手を振っているのも見えます。笛を加えて、うれしそうに吹いて
います」
ダルメ「あの笛は絶対に、好きな子の縦笛に違いない!貴重なものと言っていましたから!」
DM「あぶね〜なぁ。しかも、『貴重な品』の意味が違うじゃないか」
ダルメ「ふう、あんな変態のために我々が奔走したとは、腹の立つ話ですな」
 何か勝手に自己完結したダルメであったが、それだけ、今夏は苦戦して、皆の心が荒れ果て
ていたのであろう。あと、微妙にアマデウスが腹の立つキャラクターに仕上がって居たし。
 この後、一行は全力でアマデウスの塔に帰った。するとそこには縦笛をうれしそうに吹いてい
るアマデウスの姿が。
DM「『やあ、みなさん、お疲れ様。みんなのために僕が曲を作ったよ♪』と言って彼は縦笛を
吹きます」
ダルメ「そんな変態チックな縦笛はいいですから、我々のHPを一杯に戻してください」
DM「『それは無理だけれど、僕の音楽で君たちもハートフルでしょ♪』」
ダルメ「…本気で殺したいんですけれど…おっと、いけない。何かするにしても、ピカスに会うた
めの資格を聞いてからです。アマデウスさん、ピカスさんに会うにはどうすればいいですか?あ
なたの音楽堂にその資格があると聞いたんですが」
DM「『ピカスに会うための資格?ああ、彼は四角が好きだからね。僕の音楽堂にある□のゴ
ーレムを倒せば、中に□が入っている。それを持っていけばいいよ♪』」
ダルメ「かぁ!なんだ!私は人間が本当に嫌いだぞ!」
キラーク「ゴーレムだと?じゃあ、あんた、ディスペル・マジックでゴーレムを消してくれ」
DM「『ディスペル・マジック?そんな魔法、僕は知らないよ♪』」
キラーク「マジでこいつ、使えないな」
DM「『おや、どうしたんだい。そんな、魂が抜けたような顔をして。そんな顔をしていると僕みた
いになっちゃうよ♪』」
アルコリー「本当に、魂抜いてやろうか…」
 あきれ果てる一行であったが、まともに相手していると疲れるだけということがわかったの
で、後はとにかく報酬をセビることにした。金に換わりそうなバイオリン一式と、今後の協力の
依頼を彼らは取り付ける。そして、とっととこの塔を離れたのであった。
キラーク「ゴーレムはどうする?」
アルコリー「仕方がない。僕が呪文で壊してみるよ」
 もう、戦いたくないのだが、まだ戦わないといけないのが今回の一行であった。帰り道、ヘロ
ヘロになりながら音楽堂に立ち寄り、ゴーレムを破壊した。
DM「では、ゴーレムの中から四角のキューブがあらわれた。ぴかす、と平仮名でサインがして
あります」
キラーク「パチモンくさい」
ダルメ「ヤッター、シカクヲテニイレタ(←超棒読み)」
アルコリー「とっとと帰ろう。通常の三倍の速度で(疲)」
 こうして、アマデウスを助け、ピカスに会うための□を手に入れ、一行は街に帰ろうとする。し
かし…
DM「(ころころ)おっ、また、モンスター出ました」
一同「もう、止めてくれ〜!」
DM「そうはいっても、出たから仕方がない」
アルコリー「(ころころ)判定は成功。で、なにが出た?」
DM「うん、ドライアードが出ました。『ちょっと、そこのいい男、私のモノになってよ』」
キラーク「無視だ。通り過ぎよう」
DM「『こら〜。私を無視しない!チャーム・パーソン!』」
キラーク「(ころころ)抵抗したぞ」
アルコリー「もう、通り過ぎよう」
DM「『ちょっと!ちょっと!無視しないでよ』」
ダルメ「なんですか。私は大理石しか好みませんよ」
DM「『な、なんですって!』」
アルコリー「それも凄い発言だぞ」
DM「『ちょっと、そこの、エルフの男!』」
アルコリー「うるさいな!マジック・ミサイルでブッ飛ばすぞ」
DM「『ちょ…それは酷いわ。同じ森の仲間なのに』」
アルコリー「僕は別に森が好きじゃない。ああ、そうだ、いい男が欲しいなら、この先の塔に二
人ほど若いのがいるよ。だから、僕たちにはもうかかわるな」
DM「ではドライアードは『わ、わかったわ…』と君たちのつれない態度に悲観して去っていきま
す」
アルコリー「とっとと街に帰るぞ」
DM「(ころころ)おっ、またモンスター出ました」
一行「勘弁してくれ〜」
 この後、蜘蛛の一種ブラック・ウィドウが一体出たので、マジック・ミサイルで吹き飛ばしておし
まい。そしてやっとのことで街に帰り着いたのであった。

(7)そして、しかくへ

DM「街に帰り着いた」
ダルメ「やっと、帰ってきました」
アルコリー「アマデウスからかっぱらったバイオリンを売り飛ばそう」
ダルメ「まあまあ、まずは情報局に向かいましょう。ジャーナルさん。帰ってきましたよ」
DM「ではジャーナルさんが印刷の輪転機を回しながら『おかえりなさい』と出迎えてくれます」
アルコリー「ジャーナルさん。このバイオリンを売り飛ばしたいんですが」
DM「『あれ、アマデウスのバイオリンじゃないですか。彼は元気でしたか?』」
キラーク「元気じゃなかったが、我々が元気にした」
ダルメ「魔法の実験に失敗して、霊になっていたんですが、今は実体です(笑)」
DM「とにかく、今は無事というわけですね」
ダルメ「はい……!皆さん、ふと気が付いたんですが、アマデウスがあのドライアードに骨抜き
にされていたら…」
アルコリー「高いLVの魔術師だから、ドライアードには勝つだろう」
ダルメ「でも、呪文はあまり知らないらしいですよ。アマデウスさんがドライアードに…いえいえ、
ジャーナルさん。彼は大丈夫です。ピンピンしています(笑)」
キラーク「ま、なんかあったらまたその時だ(苦笑)」
DM「『よし、アマデウスを押さえることが出来れば、議会開催には一歩前進です』」
キラーク「この通り、ピカスに会うための□も手に入れてきた」
DM「『さすがですね。そうです。彼は四角が好きだから、□が資格なんです』」
ダルメ「取りあえず、会う前からピカスにはいい印象が持てません」
キラーク「ジャーナルさん。アマデウスとピカスで二人がそろうんだが、書記のゲッペルスも、今
の内に押さえておいた方がいいのではないか?」
DM「『大丈夫です。この情報局に手抜かりはありません。ゲッペルスは我々の方でしっかりと
押さえてあります』」
ダルメ「おお、素晴らしい。頼みにしていますよ」
DM「では、君たちはいよいよピカスの屋敷に乗り込むことになります。まだまだ話は続くんです
が、今回はここで一端中断。休憩してから、続きは後半ということになります」

(続く)