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(1)芸術はバカモンだ DM「では、前回の続きからいきます。君たちは情報局で休んでいます。スロイトの街に朝が来 ました。ジャーナルさんが、印刷機をガッチャンガッチャン動かす音で目が覚めます」 ダルメ「取りあえず、回復はしていていいですか?」 DM「それはオッケーですわ」 ダルメ「では、呪文も覚えたことですから、ピカスん家に行きましょう」 体力も回復した彼らは早速ピカスの家に向かった。場所は街の南部。そこに魔術師ピカスの 邸宅がある。 DM「では、ピカスの家に着きました。ピカスの家は見事なまでに四角です。玄関のドアにはノ ブがなくて、代わりに四角みたいなものをはめ込むようになっています」 アルコリー「じゃあ、はめ込むか」 キラーク「いきなりでいいのか?」 ダルメ「考えても、他にするべきことが思いつきませんから、いいですよ」 DM「では、四角をはめ込むと、君たちは四角な家の中に吸い込まれるような感じを受けた」 ダルメ「うわ〜、吸い込まれます〜」 DM「そして…」 ダルメ「目を開けると我々はダンジョンにいるというわけですか?」 DM「うん、その通り!」 ダルメ「うわっ!ちょっと、マジですか。ジョークで言ってみただけだったのに!」 DM「はい、ダンジョンモードに突入です」 ダルメ「ハメられた!口から出任せが当たるなんて…」 DM「では、君たちは四角い部屋の中に立っています。部屋の中央には、色分けをされた四角 い立方体がオブジェとして飾られています」 アルコリー「どんな感じのもの?」 ダルメ「ルービック・キューブみたいなものと思えばいいですか?」 DM「そうだね。そんな感じのものだ。そして、部屋の四方にはドアがあります」 キラーク「そのドアには、レブナントの部屋とか、ドラゴンの部屋とか書いてないだろうな?」 DM「(随分恐れているなぁ)いや、特に何も書いてありません。普通のドアです」 ダルメ「微力ですが、〈罠発見〉を持っていますから、ドアを全部調べてみます」 DM「(ころころ、失敗。10%しかないもんね)特に罠らしきものはないと思った」 アルコリー「真ん中の四角い立方体について説明してもらえるかな?」 DM「立方体は木製で、上の面は色が剥げて木目が見えています。下の面が黒。北の面が 緑。左の面が白。右の面が黄色。南の面が灰色に塗り分けられています」
ダルメ「なんなんでしょうね?スライムの色とか?(←す、するどい…)」 キラーク「ドアは開くのかな?アルコリー、開けてみてくれ」 アルコリー「それは、言い出した人がやるべきじゃないの」 キラーク「では、構造物の罠発見を使ってみよう」 DM「(ころころ、成功)特に何か変わったところはない」 ダルメ「まあ、ここはシーフ技能が微妙にある私の出番です。まずは、黄色が塗られている面 から開けましょう」 DM「では開いた。四角い部屋になっていますが、部屋の中にはスライムがウジャウジャいま す」 アルコリー「どんなスライム?(ころころ)モンスターチェックは成功」 DM「では、部屋の四隅にオーカー・ジェリーという黄色スライムがいます。しかし真ん中に一体 だけ、ブラック・プティングという黒スライムがいます」 ダルメ「また出任せが当たってしまったぁ!しかもなんですか、その色。思い切りタイガース色 ですよ」 キラーク「と、いうことは、最後のボスは☆野SDか?」 ダルメ「それはまずい!ドラゴン並みに強敵です」 とまあ、とてもいい年こいた大人が言う発言と思えないようなバカなやりとりが出た後、一行は 再度部屋の内部を確認する。さっきも言ったが、部屋の四隅と真ん中にスライムがおり、真ん 中と四隅のスライムの色は違うのである。
こんな感じで、あっちこっちの部屋を開けてまわる。結果として、以下のようなことが解った。 黄色の部屋 オーカージェリー(黄スライム)の中にブラック・プティング(黒スライム) 緑の部屋 グリーン・スライムの(緑スライム)中にジェラティナス・キューブ(ゼラチン) 白の部屋 ジェラティナス・キューブ(ゼラチン)の中にオーカー・ジェリー(黄スライム) 灰色の部屋 グレイ・ウーズ(灰色スライム)の中にグリーン・スライム(緑スライム) アルコリー「いったいなんなんだ?仲間はずれを倒せってことか?僕はいやだぞ!ブラック・プ ティングと戦いたくない!」 DM「いや、スライムだから、そんな強くない…ごめん(笑)。これだけ10HDあった(笑)」 アルコリー「きっと、ダルメが喰ってくれるに違いない」 ダルメ「これこれ!私が喰われておわりですよ!」 アルコリー「でもね〜。どうも、仲間はずれを倒さないとダメっぽいんだよね。真ん中の部屋に あった色のついた四角の通り、部屋のスライムの色をそろえないとダメなんじゃないかと思う」 キラーク「いくか?」 アルコリー「問題は、スライムには武器が効かないのがいることなんだよ…」 アルコリーが必死でモンスターの知識を総動員し、各スライムの弱点に関して、次のようなこ とが解ったのであった。 オーカージェリー(黄スライム) 炎か冷気 5HD ブラック・プティング(黒スライム) 炎 10HD グリーン・スライム(緑スライム) 炎か冷気 2HD ジェラティナス・キューブ(ゼラチン) 炎か武器 4HD グレイ・ウーズ(灰色スライム) 武器か電撃 3HD ダルメ「色を揃えるにしても、ブラック・プティングを倒すのは辛いですなぁ」 アルコリー「炎しか効かないから」 キラーク「油やほくち箱は一応あるがな」 アルコリー「まずはダルメが攻撃してみたらどう?」 ダルメ「そんな、緩やかな自殺方法は好みません(苦)」 キラーク「何はともあれ、まずは倒しやすいグリーン・スライムから片づけよう」 キラークの賢明な意見が出て、一行はまずはグリーン・スライムから片づけることにした。ま ずはダルメが油の瓶をスライムに部屋の外から投げる。その後、火の付いた松明をグリーン・ スライムに投げて燃やすことにした。 ダルメ「(ころころ)よし、命中しました」 DM「では、グリーン・スライムにかかっていた油に火が付いて、たちまちのうちにスライムは炎 に包まれる」 ダルメ「そしてスライムが燃えた後には魔法の指輪が…」 DM「そんなわけないっつーの!」 こうしてまずはグリーン・スライムを片づけた。次は、まだ武器が通用するグレイ・ウーズであ る。 アルコリー「みんなでタコ殴りだ!」 DM「ACは8しかないから、どうにもならんよ」 アルコリー「あ…外れた…」 と、なんだか嫌な出だしになりつつも、2ラウンドの後にはグレイ・ウーズを撃破する。 ダルメ「これで、部屋が二つ終わりました」 キラーク「次はジェラティナス・キューブだな」 ダルメ「あのう、私、実を言うとスリングの石が切れました。というわけで、地面に落ちている石 を拾いたいのですが」 DM「屋敷の中に落ちているわけないじゃないか」 ダルメ「じゃあ、私はこの戦闘では無力です」 キラーク「おい、まだ宝石が残っているじゃないか。それを投げろ」 ダルメ「オー!そんな真似はいやです!」 とか、予期せぬことが起こりつつも、ジェラティナス・キューブはキラークの攻撃によってあっさ り撃破される。このドワーフは実際かなり強いのである。 ダルメ「宝!宝を!魔法のスリングストーンを」 DM「なにも出なかったよ。残念だね」 こんな調子でオーカー・ジェリーも撃破して、いよいよブラック・プティングの番である。 ダルメ「いよいよ、ブリック・プティングに行きましょう」 DM「いや、そんな美味しそうな名前じゃありません(笑)。ブラック・プティングです」 ダルメ「戦いの前の緊張感をほぐしてみようとしたんですが」 キラーク「奴は火しか効かないからな」 アルコリー「ブラック・プティングの通り道に油を置いて火をつけて、我々は奴が死ぬまで逃げ 回るしかないな」 ダルメ「では、私は部屋の外で、回復役を引き受けましょう」 アルコリー「アホタレ!あんたも参戦するんだよ!」 ダルメ「え〜」 思い切り保身に走ろうとするダルメ。しかし、ここでは一人逃げるわけにもいかない。一行は ブラック・プティングの周囲に油を巻く。そして火をつけた後、部屋の中を逃げまどった。ブラッ ク・プティングが燃え尽きるまで、彼らは部屋の中を走り回る。 ダルメ「早く死んでください!」 DM「ま、10HDもあるからなかなか死なないけれどね」 ダルメ「全力移動で逃げまどいます!」 アルコリー「とっておきのファイア・ボールがあるけれど、ダメだ!範囲が狭すぎる。僕たちまで 巻き込まれる!」 ダルメ「マジック・ミサイルも効かないんですか?」 アルコリー「こいつは炎しかだめだ。仕方がない。みんな、分散して逃げよう」 DM「なるほど。犠牲は一人でいいってわけだね(笑)」 とか、酷いことをいいながら、DMはブラック・プティングを動かすのであった。 DM「おっ、ダルメに触るぞ。ペタッ。当たると3d8点の、ものすごいダメージが来ます」 ダルメ「ぎゃああああ!」 DM「(ころころ)おや、残念ながら外れです」 ダルメ「逃げろ!逃げろ!」 アルコリー「うわ〜、こっち来るな!」 キラーク「逃げるな!そのまま喰われておけ!」 自己保身という言葉以外の何者でもない発言があった(笑)。危機に瀕した時こそ、本当の人 間関係がわかるというものである(笑)。しかし、ダルメは逃げまどい、延々と10ラウンド以上ブ ラック・プティングに追っかけ回されることになる。炎のダメージはd4。設定していたブラック・プ ティングのHPは45。僅かずつだがダメージは確実に蓄積していく。 アルコリー「ダルメ、回復してくれ〜」 ダルメ「なんか納得いかんですが、回復!キュアライト・ウーンズ!私の愛です」 ここでも利己的な発言があったが、幸い誰も死なずに逃げまどい終わることができた。 DM「では、ブラック・プティングは燃え尽きた。経験点は1150点」 ダルメ「高い!苦労した甲斐はあった!」 彼らは散々苦労してスライムを撃破し、部屋の色を揃えた。そしてやっとこの家の主人に面 会することになる。そう、苦労した分だけ、怒りは更に大きくなるのだ(笑)。 (2)やはり、キ○ガイ キラーク「で、結局どうなった?部屋の色はきちんと揃えられたんだが」 DM「真ん中の部屋に穴が開いて、下に降りる階段があらわれます」 ダルメ「もう、疲れました。トボトボと降りていきます」 DM「降りるの?ではそこはアトリエ風の部屋になっていて、ベレー帽をかぶった魔術師みたい な男がいます。彼は君達をみると『おや、お客人だな』と」 ダルメ「あなたがミケランジェロさんですか?」 DM「『違う!ワシの名前はピカスじゃ!そんなへっぽこ芸術家と一緒にするな!』」 ダルメ「と、いうことは、この町にはミケランジェロという芸術家もいるんですか」 DM「『うむ。奴はよりにもよって、芸術は△が一番だという。ワシは□が一番だと考えている。 奴は従ってバカだ!』」 キラーク「と、いうことは、ミケランジェロに会うためには△を持って行かなければならないのか」 アルコリー「このオッサンの所に△を持って行ったら怒られていたわけか」 DM「『うむ、やはり芸術は□じゃ。キュービズムじゃ!』」 ダルメ「その割に不定形のスライムとか飼っているのは…」 DM「いや、奴らは好きなときに□にすることができるからの。かわいい奴らじゃぞ。君たちも、 ワシがいかに□を愛しているか解ってくれたかね」 ダルメ「はいはい、よくわかりましたよ。それはそうと、現状を話さねばなりません。我々の土地 がニュースロイト軍によって攻撃されているのです。話を聞くと、ピカスさん、あなたもニュース ロイト総督とは対立しているとか」 DM「『うむ、奴はワシの芸術を理解せんのでな』」 アルコリー「そういう問題じゃない!」 ダルメ「あああ…アマデウスといいこの人といい、なんでこんなにイタイ人たちなんでしょう。そ んなことだから、辺境の軍司令官に国の実権を握られるんですよ。□がどうのこうの、笛がどう のこうの…これだから人間って奴は…ブツブツ…」 アルコリー「ピカスさん、あなたは議会の議長だと聞いています。ぜひ議会を開いてもらいた い。そこで、ニュースロイト総督を弾劾して欲しい」 DM「『うむ、議会を開くのじゃな』」 アルコリー「そうです」 DM「『そこでアレクサンドロス総督をやっつけて、ワシの□が一番ということを思い知らせれば いいんじゃな』」 ダルメ「いや、ちょっと違う(怒)」 アルコリー「どっちにしろ、戦争が止まれば僕としてはいいけれどね」 ダルメ「…そうですな。□がどうのこうの力説されても、戦争が終わればいいです…」 DM「『しかしだな。議会の開催は簡単だが、議員達の説得は難しいな。そういうのは、〈プロパ ガンダのゲッペルス〉に任せればいいところだが』」 キラーク「また、変な奴が登場してきたぞ」 DM「『ワシは芸術で勝負する。アマデウスは音楽で勝負する。ゲッペルスは宣伝で勝負する。 ワシら三人がスロイト議会三人衆じゃ』」 キラーク「実に頭がおかしそうな三人だな(苦笑)」 ダルメ「ゲッペルスは情報局が押さえているといっていたから、情報局に戻らないとダメっぽい ですな。と、いうか、こんなに苦労してここまで来たのに、なんか手応えがないような」 キラーク「取りあえず、議長をこれで動かしたってことなんだろう」 アルコリー「あ、そうそうピカスさん。あんた、スロイト女王の顔を見たことあります?」 DM「『あるよ』とピカスさん。スロイトの女王は名前をスロイト・マハ=タリといって、三十半ばく らいの、割と美人の魔術師だそうな。『しかし、芸術には理解がなくてな。ワシが女王の顔を彫 像で作ったら、なぜか思い切りブン殴られたのじゃ』」 ダルメ「そりゃ、ホームベースみたいな顔を作られたら、殴られるでしょうよ(苦笑)。ああ、デミ ヒューマンにもっと力があったら、このニュースロイト王国を滅ぼして全てを片づけるのに…い や、今は平和のために働かないと。情報局に向かいます…」 こうして、一行は、恐ろしいほどの脱力を感じながら、情報局へと戻ったのであった。しかし、 取りあえず、魔術師ピカスの協力を得ることには成功した。前回魔術師アマデウスを押さえた ので、後はプロパガンダのゲッペルスを押さえるだけである。 (3)宣伝屋登場! DM「では、君たちは情報局へと帰ってきた」 ダルメ「タイムスさん、ただいま帰りました」 アルコリー「ジャーナルさんだろ?」 ダルメ「あ、そうでした(笑)。ジャーナルさん。議会を開催する準備が出来ました」 DM「『すると、ピカスとアマデウスの協力を得ることに成功したわけですね』」 ダルメ「最後のゲッペルスさんに会わせてください。ピカスからも、会って作戦を練った方がい いと言われましたから」 DM「『そうですか。では、私の正体をお教えしましょう。印刷屋ジャーナルとは仮の姿。私がプ ロパガンダのゲッペルスです』」 アルコリー「おお?!」 DM「『議会が開催されるなら、いよいよ私の出番です。さあ、この、広告の魔術師と呼ばれる 私になんでも聞いてください』」 ダルメ「…猛烈に、ジャーナルさんを輪転機にかけたくなりました…いや、それ以前に、ハタカ ーンの国に帰りたく…ああ…」 アルコリー「ジャーナルさん、今の女王ってのは独身ですか?」 DM「『まだお独りですが、それが?』」 ダルメ「眼鏡でチビの行き遅れとか」 DM「『いえ、スラリとして、なかなかの美人ですよ。そうですね。アルコリーさんなんかは、かな り女王様好みですよ』」 アルコリー「でも、女王を口説く気にはあまりなれないんだよね」 キラーク「ジャーナルさん、なにかいい作戦を教えて欲しいんだが」 DM「『ふふ、おまかせください。実は、ピカスとアマデウスを押さえてもらったのには、もう一つ 理由があるのです』」 ダルメ「ふう、よかった。我々の苦しい行動は無駄ではなかったんですな」 DM「『議事堂の中では魔法が使えません。しかし、ピカスの芸術、アマデウスの音楽は別で す。彼らの素晴らしいアートによって、議員達のハートをチャームすることが出来るでしょう』」 ダルメ「それが作戦ですかぁぁぁ」 キラーク「議員達が□が嫌いだったらなんの意味もないじゃないか」 DM「『まずはピカスに、デミヒューマン達が虐げられている場面を彫刻にしてもらいます。そし てアマデウスに悲しい曲を作ってもらい、最後に私が演説すれば、必ず議員達の心をつかむこ とが出来ます』」 キラーク「本当か〜?」 ダルメ「限りなく嘘くさい…というか、なんですか、このストーリーは?コメディなんですか?」 DM「いや、ジャーナルさんとしては本気なんだけれどね。どう?だんだん人間が愚かに思えて 来たでしょう」 キラーク「まったくだ(苦笑)」 DM「『まあ、この作戦が気に入らないなら、アルコリー君が女王を口説くという第二作戦があり ますが』とジャーナルさん」 ダルメ「そんな眼鏡ブスを口説くんですか」 DM「眼鏡ブスじゃないってば」 アルコリー「その作戦は、最後の手段にしておきたい。この作戦がうまくいかなかった時のため にとっておこうよ」 ダルメ「じゃあ、議会を開催してもらいましょうか。ピカスの作品で議員の心が動くとは思えない ですが」 キラーク「我々で紙芝居とか造ったほうがいいような気がするな」 作戦としては実にアヤシイ代物ではあるが、彼らは結局ジャーナルさんことゲッペルスの言 葉に従うことにした。議会を開催してもらい、そこでニュースロイト総督と現地軍の極悪非道ぶ りを訴えるというものである。 DM「では、議事堂の中を紹介しましょう。こんな感じです(map)を書く。基本的に偉い議員達 ほど前。真ん中に女王の観覧席。その下に、答弁するための席と、議長達三役の座る席があ ります」 ![]() ダルメ「女王の席の後ろはどうなっているんですか?」 DM「それはよくわかっていない。ただ、後ろに部屋があるから、そこは控え室なのかもしれな い。あと、アレクサンドロスの席は最前列のこの辺にあって、彼が相当有力な議員であるという ことを伺わせます」 キラーク「議会も好きなままに動かすと言うから、確かに切れ者ではありそうだ」 DM「『彼がピカスとアマデウスを議長、副議長に選んだのも、彼らなら芸術に夢中で、自分の 邪魔をしないだろうと考えたからです。しかし、彼が書記に私を選んだのが彼にとっての間違い でしたね』」 ダルメ「どうですかね?かなり、その作戦は正解だったと思いますが(笑)」 アルコリー「結局、僕たちはどうしたらいい?護衛も兼ねて、控え室あたりにいた方がいいか な?」 DM「『そうですね。そこは問題ですね』」 キラーク「ニュースロイト軍の極悪非道を訴えるとかはどうだ?」 ダルメ「『人間の実験体にされたんです』とか訴えるか?」 アルコリー「こんな犬顔にされたんです〜とか言うのかい?」 ダルメ「それはダメです。これは地顔です(苦笑)」 キラーク「それはそうと、この議事堂の中では魔法は全て遮蔽されてしまうと聞いたが、壁とか 壊れてもその効果は続くのか?」 DM「『それはわかりません』とジャーナルさん。しかし、議事堂の内部では魔法が無効化され るのは確実なことらしい」 キラーク「ということは、魔法で毛を生やしている奴なんか禿げてしまうのだな」 ダルメ「世界一嫌な議席ですな」 キラーク「ということは、議席では魔法のアイテムも全て無効化されるのか?」 DM「そうです。魔法の武器や防具、リングなんかも全て無効になります。ですから魔法を恐れ ずに、自由な答弁が出来るというわけです」 キラーク「一応、まともな議会ではあるわけだな」 DM「ただ一つ、ジャーナルさんが恐れているのは、形成が不利になった時にアレクサンドロス が、私兵を議会になだれ込ませる可能性があるということです」 キラーク「なにい!それは時代劇の時代劇の8時45分!そして我々がそこに出てきて事件を 解決するというわけだな」 アルコリー「とりあえず、我々は、敵の襲撃にも備えた方がいいと思うね」 アルコリーの至極建設的な意見が採用されて、一行は、アレクサンドロスが万一私兵をなだ れ込ませた時のことを考えて動くことになった。 ダルメ「失敗した場合はアルコリーに女王を落としてもらおう」 アルコリー「おいおい!」 キラーク「『アルコリー、わらわを慰めてたもれ〜』と年増が迫ってくるわけだな」 ダルメ「そして私はニュースロイト島に帰って言いふらします。『アルコリーの奴、女王と寝たら しいよ』と(笑)」 アルコリー「あのな…」 キラーク「ダルメも、女王を落とす時にはバター犬として活躍できるかもしれんぞ(笑)」 ダルメ「おおっ!な、なるほど」 DM「なるほど、じゃね〜よ。まずは議会を開催するんだろう?ゲッペルスさんが『議会を開催 する布告を出してもいいですよね?』と聞いてきますが」 アルコリー「いいよ。ババアを口説くかどうかは、全てことが失敗してからだ。しかしジャーナル さん、アレクサンドロスは女王を買収していたらどするの?」 DM「『女王には議会の決定権はありません。影響力は大きいですが』」 アルコリー「そうなんだ。ところで、女王って、買収できるの?」 DM「『美しい者が好きだから、アルコリーが口説いたら上手くいくと思いますよ。あと、珍しい植 物とかが好きだから、それを贈り物にしたら、完璧でしょう』」 ダルメ「は〜、たとえば、どんな植物ですか?」 DM「『この近隣に咲いているヴァンパイア・ローズなんか、女王のお好みですよ』」 アルコリー「僕は、そんな吸血薔薇なんか取りにいきたくないぞ」 DM「『血に染まった真っ赤な薔薇こそ、あの美しい女王にふさわしいと思いますが。おっと、つ い自己陶酔してしまいました。私も詩人ですから。ふふふ…』」 ダルメ「そういうあんたが薔薇を取ってきなさい、ふふふ…」 DM「『いや、しかし私は呪文がリード・マジックくらいしか使えませんから。戦うのは無理です』」 ダルメ「そんな魔術師ばっかりですか!」 アルコリー「もう、女王に会うのは最後の手段だ!」 キラーク「よし、我々の腹は決まった。ジャーナルさん、議会を開催してくれ。あのヘンな芸術家 二人に頼るしかないのが嫌だが…」 あまり果敢な決断ではなかったが、ともかく懐疑を開催する事が決まった。三匹としても、こ れ以上の議論は面倒くさかったのだろう。 印刷屋ジャーナルの動きは速かった。このあとたちまち議会開催の準備が始まり、街は騒然 となっていく。 (4)懐疑な議会 DM「では、議会が開催される準備がはじまります」 ダルメ「早く会議を開いてください」 DM「開催までには数日はかかります。なぜならニュースロイト島から、アレクサンドロスを呼び 戻さないといけないからです。三日経つと彼はテレポートの呪文でスロイト市にやってきまし た。そして議会が始まります」 ダルメ「テレポートの呪文!ひょ、ひょっとして、アレクサンドロスは優秀なんですか?」 DM「一応、軽く、10LVオーバーの魔術師なんですが」 アルコリー「なるほど。実は、議会の中でないと、勝ち目がないのは僕たちの方だというわけ か」 DM「議会が始まる直前、情報局にピカスとアマデウスがやってきます。『ゲッペルス、頼まれて いた作品を持ってきました』と彼らは言います」 キラーク「別に何にも頼んでないんだが」 DM「ピカスの持ってきたのは、□のパーツで作られた〈デミヒューマン惨殺の図〉です。『これを 議員達に見せれば、彼らはそのひどさに涙ぐむでしょう』と」 ダルメ「あ…本当に泣けてきました…あまりにバカバカしくて…」 DM「アマデウスは『僕は〈デミヒューマン惨殺の調べ〉を作りました』と言って、縦笛を吹き鳴ら します。『この悲しい調べが議員達の心を打つはずです』」 ダルメ「なんで縦笛なんです…バイオリンとか、もっといい楽器があったでしょう。と、いうか、ア マデウス、あんた、音楽家としての才能皆無でしょう!」 やけに人間に厳しいダルメであった。まぁね気持ちは十分わかるが。 そしてみんなは議事堂に向かう。首都スロイトの中央に位置する巨大な魔術師議事堂。ここ でスロイト王国の主な国策が決定されるのである。 DM「さて、みんなはジャーナルさんやアマデウス、ピカスと一緒に議員控え室にいます。ここに いる議員達はほとんどがジジイばっかりで、ゴホゴホいっています。しかし、その中に一人だけ 目立つ魔術師がいます。年の頃は30代後半。精悍な顔立ちで、気力に満ちた堂々たる様子 です」 ダルメ「こいつが、アレクサンドロスですな」 DM「しばらく経つと、女王が観覧席に現れます。なぜかやけに露出度の高い服装です。『皆様 方、おそろいのようで』と言って、その露出度たっぷりの服装で辺りを見回しています」 アルコリー「年増の露出は犯罪もんだぞ」 ダルメ「あまり長くは見たくないから、控え室に引っ込みましょう」 DM「議員達はどんどんと自席に座っていきます」 キラーク「我々意外に見張りはいるか?」 DM「議事堂の入り口に、それぞれ三人ずついます」 キラーク「敵の私兵らしきものはいるか?」 DM「よくわからないが、今はいないと思う」 アルコリー「このケースで一番恐いのは、敵がファイターを雇っていることだ。こっちも呪文が使 えないから、対処できないよ」 DM「そう言っていると、いよいよ議会が始まります。議事堂の中の声が聞こえてきます。議長 のピカスの声が聞こえて来ます。『皆さん、私は一人の議員として皆様に見せたい者がありま す』と」 ダルメ「ほほう!」 DM「『これは、ニュースロイト島で行われているデミヒューマン惨殺を私が彫刻にしたもので す。見てください。このようにニュースロイト島では、日々虐殺が繰り広げられているので す!』」 キラーク「聞くだけだったら立派な答弁に聞こえるんだがな」 DM「『これも全てニュースロイト総督アレクサンドロスの悪行です!』」 ダルメ「言っていることは素晴らしいんですが、見せている品物がかなりダメです(笑)」 DM「とかなんとか言っていると、『ぎゃあああ』と悲鳴がする。さあ、全員敏捷してください」 ダルメ&キラーク「失敗!」 アルコリー「あ、もう、絶対に失敗できないぞ(焦)。(ころころ)成功!」 DM「では、悲鳴は議事堂西側の階段からした。あと、ドカドカと何か駆け上がるような音も聞こ える」 アルコリー「よし、向かうぞ」 もちろん、DMとしても、すんなり議会を進めさせはしない。さあ、これからが三匹の戦闘力と 判断力が試される時だ。 (5)クセモノ登場! DM「では、剣をぶら下げた男達が三人ほど階段を昇ってくる」 アルコリー「スリープが効くかな?効かなかったら相当に強いぞ」 ダルメ「何者です、あなた方は!」 キラーク「何者っていうか、クセモノだな(笑)」 一同「(爆笑)」 ダルメ「そんな風に開き直られても困りますね」 キラーク「剣を持っているってことは、ファイターか?」 DM「なら、筋力チェックしてみて」 キラーク「(ころころ)成功」 DM「では、シーフらしいとことが身のこなしからわかる」 アルコリー「明らかに揺動部隊っぽいなぁ」 DM「では、戦闘だ!」 と、いうわけで、敵のシーフ三人と戦闘が始まった。アルコリーのヘイストが味方に飛び、一 同は敵と対峙する。ちなみにデータは下記の通り。 6LVシーフ AC6 HP15 ダメージd8 アルコリー「(ころころ)二発当たって9点と14点」 DM「では、あっさり死んだよ」 キラーク「一人一殺を目標にしていくか」 ダルメ「ちょっと!その目標を立てられてはこまりますよ!」 とまあ、ダルメにだけやたらと不利なノルマをこなされたが、なんとかシーフ三人を切り捨てて 戦闘は終わったのであった。しかし、もちろんこれでは終わらない。まだまだ刺客はやってくる のである。 DM「では、今度は議事堂の東側から大きな音がする」 キラーク「やはりな。しかし、この分だと後ろ側の方にも別働隊が回っていそうだが」 DM「(いいところに気が付いたな)では、キラークは敏捷チェックしてみて」 キラーク「(ころころ)成功だ」 DM「確かに、議事堂の裏手の方からの音がする」 キラーク「裏手からも音が聞こえる。ここは誰かが女王の護衛に回ったほうがいい」 アルコリー「二人と一人に別れるか。しかし、僕は女王のところには行きたくないな」 キラーク「どっちかというと、女王の関心をかって欲しいから行け」 アルコリー「なんでだ!」 キラーク「そのかわり、東側の軍団は私が引き受けよう」 ダルメ「私はアルコリーに付いていきます(笑)」 アルコリー「う…嫌だな…女王の所に行くのは…」 キラーク「では、東側に突撃だ!」 かなり強いキラークは単身東側のクセモノに突撃する。突入して来たのはなんとファイターで ある。 ダルメ「去り際にキラークにストライキング!これでダメージがプラスされます」 キラーク「よし、かかってこい」 6LVファイター AC2 HP27 ダメージd8+2 かなり強力なファイター3体が襲いかかってきた。しかし、キラークはもっと強いのである。 キラーク「死んでくれ!(ころころ)よし、ダメージ10点!もう一発当たって9点!」 ダルメ「強い!強いですよ、ドワーフ!」 アルコリー「いや、心底、僕がいかなくて良かったと思ってます」 二回攻撃が可能となるヘイストのおかげで、キラークはバッタバッタとファイターを倒していく。 斬り合うこと数ラウンド。敏速に、かつ効率よく、敵のファイターは処理されてしまったのであっ た。 ダルメ「さすがドワーフです。相手が強いという気がしませんでした」 とか、呑気なことを言っているダルメであるが、次の瞬間には自分がとてつもなくイタイ思いを することになる。 DM「では、ダルメとアルコリーは議事堂の裏手に回りました。裏手には、女王の観覧席に昇る 階段があります。その階段を、鎧を着た男達が昇っていくのが見えます」 ダルメ「これも、ファイターですか?」 DM「う〜ん、そうね。ダルメには、彼らがメイスを持っているのが見えたとしときます」 ダルメ「プリーストだ!危険ですよ!しかし、ここはそのまま行かせるわけにもいかんので、大 声で呼び止めます。『待つんだ!』」 アルコリー「いや、ヘイストがあるからこっちの方が早いぞ。追いかけろ!」 DM「なら、丁度、階段を上りきって、議事堂の中に入った所で追いつくことになる。さあ、イニ シアチブだ!」 アルコリー「(ころころ)4!」 ダルメ「縁起悪い数字です。死ですよ、死!」 アルコリー「余計な事をいうな!」 DM「(ころころ)あ…2…」 アルコリー「よしっ!アイス・ストームだ!7d6を食らえ!」 DM「食らった!」 アルコリー「うわっ!17点しか行かない」 DM「では、プリースト達は生き残って、君たちに逆襲だ!」 と、いうわけで、いよいよ真打ちの登場である。敵はプリースト。なんで僧侶が強いんだ?と 思う人はまだまだ素人である(笑)。 6LVプリースト AC2 HP21 ダメージd6+1 ファイターよりもプリーストの方が遙かに強いのがD&Dである。ファイターと同じ鎧を使えて 魔法も使えるのだから、そりゃあ強い。敵のプリースト達は散開し、しかもちゃっかりストライキ ングとかを使っている。 ダルメ「くそう!もう殴るしかないじゃないですか。私は革鎧しか付けられないプリーストなのに …」 ハタカーンは僧侶であるが、肉体が華奢なので革鎧しか付けられないのである。したがって 同じ僧侶でも、ダルメの性能は大幅に劣る。ところがところが… ダルメ「(ころころ)おおっ!当たりました。敵Aにダメージ9点!(ころころ)また当たった!今度 は8点です」 DM「では、僧侶Aは倒れる」 アルコリー「なんだ、ダルメも十分強いじゃないか」 ダルメ「偶然ですよ!偶然!」 とかなんとか言っているうちに、次ラウンドもダルメの攻撃が好調で、あっさりと敵のプリース ト三人を撃破してしまったのだった。合計所要時間はたったの2ラウンドである。 (6)ヤツが!ヤツがぁぁ! ダルメ「見事なくらいに電撃作戦が終了しました」 アルコリー「なんだかクセモノは僕たちのような気がする(笑)」 DM「では、その騒動を聞きつけて、観覧席から女王が出てくる。『なんですか、この騒ぎ は?』」 ダルメ「クセモノを捕らえさせて頂きました」 DM「『こ、これは我が町の僧侶達…』」 アルコリー「おそらく、ニュースロイト総督の陰謀です」 DM「ちょうどその時、議会での演説がクライマックスです。ジャーナルさんの『この通り、アレク サンドロスの非道が青天白日の元にさらされました。皆さん、彼の罷免にぜひ一票を!』と」 アルコリー「煽動者も頑張っているようじゃない」 DM「議会の議員達からは『異議無し!×∞』という声があがります」 ダルメ「うそぅ?あんなチャチな煽動で?」 DM「観覧席から見ると、議事堂内部は大混乱になっています。議員達が大挙してアレクサンド ロスにつかみかかっているのが見えます。『この悪漢を捕まえろ!引きずり出せ!』とゲッペル スに踊らされた議員達が行動に移りました」 ダルメ「素晴らしい!ぜひ捕まえてください」 DM「大混乱の中、アレクサンドロスは自分の議席の上に立ちました。すると、椅子から光が放 出されます。そして彼は叫びます」 遠くのキラーク「まさか、『テレポート!』とか?」 DM「そうです。『テレポート!』と叫び、次の瞬間アレクサンドロスの姿はサッと消え失せまし た」 ダルメ「なな?議事堂の中では魔法は使えないはずでは?」 アルコリー「そうか。奴は自分の席に、アンチマジックの更にアンチを仕掛けていたのか」 DM「そうです。その通りです」 アルコリー「おいおい!一番ヤバい奴が逃げちゃったぞ!」 ダルメ「う、う〜ん、しかし、さすがはニュースロイト総督。確かに頭がいいですね」 DM「なぜ君たちは彼の椅子を調べなかったの?そのために、わざわざ席の位置まで教えて あげたのに」 キラーク「事前に奴の椅子を取り替えておいたら、奴は呪文を唱えても何も起こらないという恥 ずかしい格好で捕まっていたわけか。」 DM「椅子の下に宝石が仕掛けてあって、それを外せばいいという条件にしていたんだけれど」 アルコリー「まあ、仕方がない。済んでしまったことだ。ここは僕らの負けだ」 キラーク「しかし、考えようによってはこれもよかったかもしれない。奴は弁明もせずに逃げた から、自分の非を完全に認めたことになる。正義が我々にあることがこれではっきりした」 DM「女王は『総督が逃げた…なんということ…』と顔色を青くしているけれどね」 ダルメ「すぐに国内に指名手配をするのです、女王。賞金2万gpもかければ、早速我々が捕ま えにいきます(笑)」 キラーク「三人で捕まえたら6万gpだな」 DM「(お前ら金の亡者か)さて、そんなことを言っているダルメと、あとアルコリーは魅力チェッ クをしてくれ」 アルコリー&ダルメ「何?」 DM「先に失敗した方がいいよ」 ダルメ「(ころころ)成功しました」 アルコリー「(ころころ)成功した」 DM「どちらかが失敗するまで続けてくれ。どなみに、どっちが女王にホレられるかのチェック だ」 遠くのキラーク「私は関係ないんだな。よかったよかった(笑)」 DM「キラークはまだ議事堂の外か、もしくは議席の後ろの方にいるからね」 キラーク「そうか。女王とは面会してないもんな。がんばれよ、二人とも(笑)」 ダルメ「オー!早く失敗したいです!」 延々と競い合うこと5ラウンド。ついにダルメは魅力チェックに失敗し、アルコリーが成功する という状況になってしまった。そしてアルコリーが女王にホレられることになる。 DM「では、アルコリーはさっきから女王が妙に意味ありげな流し目を君に送っていることがわ かる」 アルコリー「くっ、ホレられちまった」 ダルメ「よかったですねぇ、アルコリー(笑)」 アルコリー「いらないよ」 ダルメ「うらやましいですよ。あんな年増にホレられて。さすがアルコリー党というだけあります。 さあ、人間とデミヒューマンとの架け橋になるのです。その身体で(笑)」 DM「そして議会は大騒ぎのうちに閉幕します。総督が逃げたことで、満場一致で彼の罷免が 議決されました」 ダルメ「よし、形式上は我々の勝ちです」 DM「女王がアレクサンドロスの罷免を決定事項として議会に告げます。これで正式に、アレク サンドロスの地位は消失しました」 キラーク「凄い議会だな。ついでに、ドワーフの人権も議会で確立してもらえると、私敵にありが たいが」 ダルメ「それは無理でしょう(笑)」 こうしてニュースロイト総督アレクサンドロスはまんまと魔術議会から逃亡した。話は面白い 方に傾いたが、場合によってはトドメをさしてもらってもいいと考えていたので複雑な気分では ある。基本的にゲーム性を重視しているので、何が何でもボスが逃げるという設定にはしてい なかった。三匹にも十分勝ち目はあっただけに、何とも言えない感じだ。 (7)アブナイ首脳達の対面 DM「では、議会も終わった後、ダルメとアルコリーの二人は女王に呼び出されます」 キラーク「私は呼ばれないんだな」 DM「あの場にいなかったし、ドワーフだしね(笑)」 キラーク「まあ、安心して情報局で待つとするか」 DM「では、城で待っていると二人の前に女王、やけに露出度の高いドレスで現れます。そして 『この度はあなた方の活躍で、アレクサンドロスの専横を未然に防ぐことができました。私の指 揮権の及ばないところで、彼が横暴を繰り広げていたというわけですね。女王として、あなたが たデミヒューマンに申し訳なく思います。できれば今後スロイト王国としては、あなた方ニュース ロイトのデミヒューマンと友好を結びたいと考えております』」 ダルメ「それは願ってもないことです。そして女王、あなたはこのエルフと個人的友好を結びた いのではないですか?(笑)」 アルコリー「くっ…」 DM「『それも、ぜひお願いしたいと思います。なにしろ議員達は皆、年寄りばかりですから』」 アルコリー「アマデウスとかいるじゃないか」 DM「『そのアマデウスは、最近ドライアードに夢中だと聞きますが。人間の女など相手にできな いと言っているとか』」 アルコリー「げえっ!」 ダルメ「あの時のドライアードがこんな所で影響してくるとは!」 アルコリー「(あきらめ顔で)…女王、アレクサンドロスが逃げた場所の目星は?」 DM「『恐らく、自分の任地に逃げ帰ったでしょう』と女王。まだニュースロイト島には奴の領土 が残っているからね」 ダルメ「(地図を見ながら)サウス・コースト辺りはまだ彼の指揮下にあるというわけか」 DM「そうだね。ニュースロイト市と呼ばれるサウス・コーストがまだ彼の指揮下にある。とはい え、それ以外は沼沢地くらいしかないから、事実上彼は追いつめられたといって間違いない」 ダルメ「よし、奴を討ちましょう」 キラーク「そうだな。あと少しだな」 DM「『スロイト本国からも、彼に対する補給は全て断ちましょう安心ください』と女王」 キラーク「つかぬことを聞くが、我々には補給がいただけるのかね?」 ダルメ「どうせ、アルコリーには、女王が自分の肉体で払ってくれますよ」 アルコリー「おい!」 DM「じゃあ、魔法のアイテムか現金か、どちらかそれぞれ選ばせてあげよう」 そして彼らはそれぞれの報酬を受け取る。ダルメはなんと、フライング・カーペットをもらった のである! ダルメ「素晴らしい!ぜひもらいますよ」 DM「でも、一分間で120メートルしか動けないけれどね。速度は歩くのと大差ないよ。(ころこ ろ)アルコリーにはポーション。キラークは現金を5000gpだね」 キラーク「そろそろレベルを上げたいからな」 DM「そして、いよいよ女王がアルコリーに提案してきます。『ところで、アルコリーさん。このス ロイトで、私とともに豊かな生活をするという報酬はいりませんか?』と(笑)」 アルコリー「あの〜、僕は森に嫁さんがいるんだけれど」 DM「『いえいえ、そんな些細なことは気にしません』(笑)」 ダルメ「さすが女王!それを些細なことにするとは!」 DM「『別に毎日いろというわけではないんですよ。月に1〜2回城を訪れてくれれば。そうすれ ば見返りに、私が魔法を教えて差し上げますよ』」 キラーク「女王はレベルが高いのか?」 DM「レベル20はある魔術師です」 ダルメ「強い!実はそんな実力者だったとは!」 スロイト・マハ=タリ (スロイト王国女王 age:37) 筋力:5 知力:17 知恵:6 敏捷:11 体質:13 魅力:12 AC:6 HP:44 アルコリー「僕は魔法よりも、魔法のアイテムが欲しいな」 DM「『では、月に魔法のアイテム一つという契約でよろしいですね』と女王」 ダルメ「あれ?契約が成立しましたよ。いいんですか?アルコリー?」 アルコリー「はは、いや〜、これもありかな(笑)」 DM「では、新しい契約社員も雇えたので女王はご満悦です。そして彼女は『では、早速ケガワ ントの総統にコンタクトをとりましょう』と言って水晶玉を持ってくる」 キラーク「ESPボールか?」 DM「そうだね。『これをケガワントの総統に渡してください。そうすれば直に彼と話ができます から』」 ダルメ「…あのトチ狂った総統と話しても、たいして進展はないと思うんですが(笑)」 アルコリー「ともかく、ケガワントの総統に会おう。僕も、多大な犠牲を払ったからには、向こう からも報酬をもらわないと」 そして彼らはニュースロイトを後にし、一路ゲガワントに向かうのであった。使ったのはなん と、ダルメがもらったばかりのフライング・カーペット。空飛ぶ絨毯だから、確かに海の上を渡れ ることは渡れる。しかし、当然ながらトロい。そして、乗り心地は最悪で、どう考えても船に乗っ た方が早いと考えられる時間をかけて、彼らはケガワントに帰ってきたのであった。 ダルメ「おお〜、帰ってきました」 アルコリー「酔って気持ち悪いぞ…おえ〜」 DM「では、レザー・ハーン総統が君たちの所にやってくる。『やあ、君たち。帰ってきたようだ な』」 ダルメ「なんとか、うまく行きました」 DM「『そうか?こちらにアレクサンドロス総督が逃げ帰ったと聞いているから、君たちの作戦 は完全には上手くいかなかったろう』」 ダルメ「妙な所で正気なんだから…」 アルコリー「大丈夫。こっちの方が話としては面白い」 DM「『まあ、君たち。あまり失敗を気にするな。私が今、狂気の神にお告げを立てたら、今後も 全てがうまくいくという神託が下った』」 ダルメ「それはそうと、総統、ニュースロイトの女王からESPボールを預かってきましたが」 DM「『おお、そうか』と言って総統は君からボールを取って起動させる。『もしもし、こちらケガワ ントですが』と。するとボールに女王の顔が写って『こちらスロイト王国です』という声がする」 ダルメ「おっと、総統。今は話は止めましょう。ベルンシュトルフ将軍も呼んで、じっくりと話し合 いましょう」 DM「では総統は『では、また後で』と言ってボールをシャットダウンします。『しかし、さっきのブ スは誰だ?』」 ダルメ「おいおい、この総統、野放しにしたらいけませんよ(苦笑)。誰かをつけて、まともに話し 合いをさせましょう」 この後、ノース・コースト市を統治しているベルンシュトルフ将軍を呼んできて、至極まっとうに スロイト王国との話し合いが行われた。スロイト王国はニュースロイトのデミヒューマン国を援 助する。また、サウス・コースト市への物資搬入を停止する。その代わりデミヒューマン達はア レクサンドロスの討伐を完遂するというのが、両国の間で取り決められた条件である。 DM「では、暫くすると、スロイトから食料が定期的に送られてくるようになります」 ダルメ「やった!食料です!食料」 DM「今後はニュースロイトでも、自由に食料が買えます。総統はご満悦で、『あと一歩でニュー スロイトにデミヒューマンの王国が出来るぞ』とのたまっています。『私がレザー・ハーンからレ ザー・シャーを名乗れる日も近いな』」 アルコリー「まあ、僕はこんな総統に長くは付き合わないな」 ダルメ「長く付き合っている我々はなんなんでしょうね」 DM「そして、総統の野望が地道に進行しつつ、ケガワントの夜は暮れていきます。食料も入っ てきたので、にぎやかな夜ですよ」 ダルメ「これも全て我々の功績です」 DM「では、続きはまた次回といきましょう。それでは」 (別の作戦に続く) |