マスード
カナート
クロト
 ブライトネス
種族:ドワーフ
種族:エルフ
種族:ハーフリング
種族:コボルド
HP:25 AC:2
HP:14 AC:1
HP:30 AC:1 
HP:10 AC:5

(1)軍団結成

DM「では、ストーリーを始めるに当たってキャラクター紹介をやってもらおう。リーダーからどう
ぞ」
マスード「いや、ここは冷静沈着なエルフに…」
クロト「責任の押しつけあいはよくないよ(笑)」
カナート「じゃあ、リーダーをやるかはともかく、紹介しよう。エルフのカナートです」
DM「終わり?」
カナート「特に説明すべき特徴はないぞ。あっ、そうだ。上等な服を着ている(笑)」
一同(笑)
クロト「本物指向なんだ」
カナート「上から下まで上等な服。本物指向よ(笑)」
クロト「じゃあ、次、僕。ハーフリングのクロト。自分の出身のシャイア(村)の名前も知りません」
DM「野良ハーフリングかい?」
クロト「まあ、こんな所にいますから。射撃に関しての技能ばかり持っているから、そういう所に
居たのかも。魅力は低いです。以上」
DM「はい、次」
マスード「ドワーフのマスードといいます。司令官じゃないよ」
一同(?)

 一同の間に冷たい沈黙が走る。

マスード「うーん、分からなかったか」
ブライトネス「誰も分かってないですよ。え〜、では、一人だけキワ物の、コボルド・シャーマンで
あるブライトネスです」
クロト「名前だけは一番まともそうに聞こえるけれど」
ブライトネス「え〜と、なんか特徴表を振ったら軍用犬っぽいとか、鼻がグスグズだとか、変な
特徴ばかり出ました。かの有名なコボルドのイモータル、シャイニング・ワンを信仰しています」
クロト「君の被っているそのカブトを割っていい?」
ブライトネス「お〜の〜!これは私の命!」

 デミヒューマンのシャーマンと呼ばれる連中は、グリグリと呼ばれる魔法の発動体のようなも
のを持っている。ブライトネスの場合は頭に被っているカブトだ。そしてこれを壊されると、HPを
幾らか、永久に失うのである。

DM「では、状況を説明します。場所は、魔法王国スロイトの、西に浮かぶ大きな島です。ここ
はニュースロイト島と呼ばれていて、スロイト王国の人々が植民をした所です。しかし、ここは
昔からデミヒューマン達が暮らしていた所で、人間とデミヒューマンとの間で紛争が続いている
という次第です。で、現在人間はこのケガワントの寸前まで攻め込んで来ています」

 DMはこの日のために用意したマップを見せる。これを作るのが結構面倒臭いんだ。




カナート「なに〜、だいぶ敵に喰われとるな」
クロト「普通のシュミレーションゲームだったら滅亡寸前っス!」
DM「また、追い詰められているデミヒューマンの勢力も二つに別れているというありさまです。
現在は北のノルキスタン国。南のエルフラント国の二つに分かれています」
ブライトネス「なんか、悪いデミヒューマン、善いデミヒューマンで分かれているみたいですね」
DM「もちろん、きみたちはノルキスタンの住人です(笑)」
マスード「なんとかスタンとかいうと空爆をしたくなるな」
一同「………」

 いや、マスード、きみたちはむしろ空爆をされている方なんだよ。

DM「君たちはノルキスタンの中心の村であるのケガワントにいます。そしてここから西の方に
スコッチ砦という要塞があります」
マスード「そこではお酒をスコッチずつ飲む?」
DM「いや、いいから(苦笑)。それで、ニュースロイト軍はこの砦まで攻め込んできて、ノルキス
タン軍は必死で防衛しています」
クロト「これではジリ貧だ」
DM「それで、君たちはケガワントに戻っている。まあ、負傷したり、何かの都合で帰還していた
んだろうね」
ブライトネス「我々は人間と戦わなければならない!」
クロト「状況は絶望だけどね」
カナート「ニュースロイト軍はエルフラントの方には攻め込んでいないのか?」
DM「そうだね。エルフラントは四方を山脈と湖に囲まれているので攻めにくいということ。そし
て、ノルキスタンの方に悪いデミヒューマンが多いので、先に潰したいということから、ノルキス
タンが攻められている」
クロト「ブーブー!差別だ!しかし、ブライトネスを見ていると相手の気持ちもわからないでもな
いよ」
ブライトネス「これこれ、何を言っているのやら。こんな善良な私に向かって」
一同(笑)
クロト「どこが善良だよ(笑)」

 こうして、初顔合わせと状況説明も無事終わる。さて、いよいよ作戦の開始である。

(2)ギリギリからの出発

DM「今、季節は秋の終わりですが、なぜだか雪が降っている状態です」
ブライトネス「私は毛皮だから寒くない」
クロト「僕、ハンテン着てる」
DM「まあ、各々、工夫して寒さを凌いでいるんだろうけれど、一つ困ったことがある。それは、
あまりに寒が厳しくなったせいで、食料が生産できなくなったことだ」
カナート「それでは篭城ができない!」
DM「そして、君たちは、今持っている以上の食料は買えない状態にある」
一同「なに〜!」
マスード「時に、ブライトネスの毛皮は赤いか?」
ブライトネス「いえ、確か灰色っぽいですが、何か?」
マスード「食べるなら赤犬が一番だからのう(笑)」
ブライトネス「なに〜、ちょっと、ちょっと、私は食料ですか?立腹しました!マスードにはもう治
療はしませんよ」
DM「さて、君たちは現在、ケガワントの集落で、ノルキスタンの総統に召喚されて皆集まって
いるという状態だ。ちなみに軍属の関係上、お互いの名前とかは知っていてもいいよ」
クロト「僕は食料調達班に所属していました」
ブライトネス「ふふふ、私は治療班でした。数少ないキュアライト・ウーンズの使用者ですから」
マスード「そういえば、この前の夜襲の時に暗やみでワンワン泣いている奴が居ったなあ」
クロト「ドワーフは突撃班だな〜」
ブライトネス「うっ。ドワーフ。汚い、汚い」
マスード「くそう、犬のミソ煮込みを作るぞ」
カナート「そんな感じで、喧嘩しながら総統の前に居るのかい(笑)?」
DM「まあ、そんな感じですか(笑)。ちなみに総統はノールで、頭にターバンを巻いて軍服を着
込み、サーベルを持っています」
クロト「お名前は?」
DM「レザー・ハーンというのが総統の名前です」
クロト「ノールってことは、ひょっとして、総統の信仰はラニヴォラス?(←D&Dマニア)」
DM「うん。総統はノールが信仰している狂気の神ラニヴォラスのシャーマンだよ」
クロト「それはいやだなぁ(笑)」
DM「さて、総統は机に地図を広げて、その周りに皆を呼び集める。『君たち、はっきり言って、
今の戦況は深刻極まりない』」
クロト「たしかに深刻っス」
DM「『このままでは、砦の食料は一週間で尽きる!』」
クロト「もっと深刻っス!」
DM「『しかもこの寒さだ。ノルキスタン特産のカイワレ大根とモヤシが育たない。食料の生産が
できん!』」
マスード「ここはどんな国だ(苦笑)」
ブライトネス「総統、こっちと向こうの戦力差はいかほどですか?」
DM「スコッチ砦には我が軍の精鋭三十匹が立てこもっている」
カナート「敵とこっちの戦力差が百対一ってことはないでしょうね(苦笑)」
DM「『スコッチ砦を攻めているのは、フォックス将軍の魔法部隊約五十名だ』」
クロト「その時点で絶望っぽいよ」
DM「『大丈夫だ。スコッチ砦は名将ベルンシュトルフが守っている。ちょっとやそっとでは落ち
ない。ただ、食料難だけが最大の敵だ』と総統。ちなみにベルンシュトルフさんの種族は猫人
間ラカスタだそうです」
カナート「なんとかせねば」
DM「『モヤシとカイワレダイコンの生産が出来るようになれば、こちらにも勝ち目はあるんだ
が』」
クロト「なんで草食なの?コボルドやノールって肉食っぽいのに」
DM「それは、草食にしないと、君たちは共食いを始めてしまうから(笑)」
マスード「いやじゃ〜、それは」
DM「と、いうわけ、草食なの。総統は続けるよ。『しかも、フォックス将軍の魔法部隊は炎の魔
法を使うのだ』」
マスード「炎でモヤシをモヤシちまうって?」
一同(沈黙)……
マスード「あ、あ?ワシ、なんか変なこと言った?」
カナート「今の発言によって、この冬の寒さは益々厳しくなりそうですな」
一同(爆笑)
DM「『火にも弱い我々は、フォックス将軍の魔法部隊の前に苦戦している。しかも奴らは寒さ
を苦にしないのだ』」
カナート「しかし、総統。我々をわざわざ集めたということは、何かお考えあってのことですな。
フフフ…」
DM「『うむ、君たちを呼んだのはほかでもない。君たちによって、独立精鋭部隊を組織しようと
思ってね』」
クロト「あの〜、それって、どこかに忍び込んで、食料を盗んでこいってことですか?」
DM「『いや、本当はそうしたいんだが、そうすると君たちがあっという間に全滅してしまうのでそ
れはやらない(笑)』」
ブライトネス「我々って捨てゴマではないんですね」
DM「『君たちに与えられた使命は、フォックス将軍を倒すことだ!』」
クロト「無理っス!」
DM「『いや、問題ない。私は昨晩、狂気の神ラニヴォラスにお伺いを立てたのだ。その結果お
告げが下ったのだ』」
一同(爆笑)
カナート「狂気の神に聞いていいのか?そして、こんな総統についていって大丈夫なのか?」
DM「いや、彼は政治家としてはピカ一ですよ。それで、総統が言うんだけれど、『氷の精霊で
あるフラウの力を借りろというお告げが出た。精霊に頼んでこの寒さを止めてもらえばい
い!』」
クロト「誰が精霊に頼むんスか?」
DM「『察しが悪いねぇ。君たちだよ』」
カナート「我々が交渉してうまく言ったらOKっていうお告げなのか!つ、つまり、私たちの腕し
だいってことか!」
クロト「で!そのフラウさんはどこに居るんですか?」
カナート「総統、フラウと会話はできるんですか?」
DM「『魔術師なら可能だ』」
カナート「って、いうか、私か!」
クロト「フラウに会うしか打開策は無いってわけだね」
ブライトネス「はっ!しまった!総統!私はここに来たばかりで食料を買っていなかったのです
(狼狽)。食料を少し分けてください」
DM「『残念だが、我が軍にはもはや余分な食料は無い。仲間に分けてもらえ』」
ブライトネス「誰か、ヘルプ〜、ワンワン」
クロト「あのさぁ、分けてあげるから、君の持っているショートソードを貸しておくれよ。確か+1
だよね」
ブライトネス「お、おっけいです」
マスード「食料ならワシが二週間分持っているぞ」
カナート「さすがドワーフ、食いしん坊!」

 こういうわけの分からないオチで占められた後、パーティーはそれぞれの特徴を再確認。こう
して、今回の作戦に参加する四匹が集結したという次第である。

カナート「総統、それでフラウはどこに居るんですか?」
DM「『うむ、北の方だ』」
カナート「あまりにも漠然としているんで、もう少し具体的な情報をいただけると有り難いんです
が」
クロト「伝承とか目撃情報とかない?」
DM「『ああ、北の方で、泣いているフラウを目撃したという話がある』」
クロト「もう少し具体的なのはないの?」
DM「いや、今のでも十分具体的だよ。このニュースロイト島は随分小さいからね。少し北に行
けばすぐに海岸線に突き当たるよ」
クロト「小さいんだ」
カナート「寒さと、フラウが泣いている…?これは何か関係があるかな」
DM「『フラウが泣いているのが寒さの原因かもしれないな。もしそうならば、泣き止ませてく
れ』」
クロト「もう少し情報はない?」
DM「『うん、そうだな。フラウは美形が好きらしい』」
マスード「美形…問題外だの(笑)」
ブライトネス「私も既に問題外です。そこにエルフがいるじゃないですか」
カナート「私でいいのか?それで、フラウって人型なのか?」
DM「エルフの女性によく似た外見らしいよ。エルフを真っ白にしたって感じらしい」
カナート「じゃあ、私でいいのか。それで、私が襲われて、凍死してオシマイなんてオチじゃない
だろうな(苦笑)」
DM「『ともかく、寒さをなんとかして止めてくれ。寒さが止まればモヤシは三日で生育できる。頼
む、我が軍の食料危機を救ってくれ!』」

 こうして彼らはノルキスタンの危機を救うために旅立つことになった。既に食料も残り少ない。
早々に彼らはフラウを探す旅路についた。

(3)硬い石の旅

クロト「日数制限は急げばなんとかなるけれど、食料制限だけはどうしようもないよ。いざとなっ
たら仲間の片足くらい食べるつもりでいかないと」
ブライトネス「こ、こらこら、なんで私を見るんだ、キ、キューン…」
カナート「ホットドッグの元が鳴いているぞ(笑)」
ブライトネス「こらぁ!」
クロト「マスード隊長、どの方向へ向けて出発しますか?」
マスード「え?ワシ、呼んだ?」
クロト「だってあんた、リーダーよ(笑)」
カナート「目撃証言のあった方向へ行くとよいと思いますよ、隊長」
マスード「うむ、よきにはからえ」
ブライトネス「軍師に操られていますね(笑)」
DM「SLGでは軍師の意見はよく外れるんだぞ(笑)」
カナート「いやいや、その方が話がおもしろくなるケースもある(笑)」
マスード「よし、では、フラウとやらを探すために出発するのだ!」

 こうしてカルテットはケガワントの集落を出て、北の方へ向かった。

クロト「マスード隊が出発します」
ブライトネス「たのしい、たびですね(←棒読み)」

 食料の残りが少ない、補給もままならない旅が始まった。当然楽しいわけもなく、各々の胸中
は不安で一杯のはずである。そして、早速事件が勃発するのであった。

DM「さて、エンカウントのチェックです。オープンダイスでいかせてもらいます」

 DMとしての僕は、ほとんど例外なくオープンダスで、みんなにダイスの目を見せている。手
加減無用のインチキ無し。それがゲームをする上でのマナーであると思っているからだ。

クロト「頼むよ。食料になるようなもんが出て〜」
DM「五、六が出たらモンスターが出ます。(ころころ)出た!」
カナート「うおぅ、早速か!勝てそうになかったら全力で逃げるぜ。ドワーフと違ってリーチが長
いから」
マスード「足が短いほうがからまんと思うが」
カナート「長い分だけ、私たちの方が微妙に早く逃げ出せるのだ」
DM「(不毛な談義を…)おーい、では、モンスターが一体出た」
ブライトネス「一体ですか?」
クロト「大群で出たら逃げるしかないっス」
DM「では、モンスターチェックをしてくれ。エルフと、モンスターの専門家は、モンスターが何物
か判別してくれ」
カナート「(ころころ)楽勝じゃん」
クロト「(ころころ)分かりましたよ」
DM「では、その女性はメデューサであることがわかる」
カナート「鏡準備!」
クロト「持ってな〜い」
DM「では、説明しよう。メデューサは人間の女性に似ているが、頭には髪の毛の代わりに蛇
が生えている。非常に魔法的な生物で、メデューサを見たものは、石化のST判定を行なわな
ければならず、失敗したものは石になってしまう…なにぃ!と、いうわけで、石化のセービング
スローをお願いします」
クロト「なにぃ!全員じゃん!(ころころ)成功!」
ブライトネス「(ころころ)固まりました…」
カナート「(ころころ)ふふふ、コチコチよ〜」
マスード「かたまった〜」
DM「え〜と、三人を石にしたのを見ると、メデューサは去っていくけれど…うーむ、まいった
な。いきなり三人が石になったな(苦笑)」

 D&Dではよくあるケースだが、あまりにも早く、突然にこんな事件が起こったのでDMとして
はとても困った。困ったが、いかんともしようがないので、ここは一つプレイヤーのアクションに
任せてみる。

クロト「石化って、ストーン・トゥー・フレッシュの呪文でないと駄目だよね。…し、仕方ない。ここ
は一度ケガワントに戻って、総統に相談しよう。ラニヴォラスのシャーマンらしいから、総統がな
んとかしてくれるかもしれない」

 こうして、一人助かったクロトがケガワントまで戻り、レザー総統に助けを求めるハメになっ
た。

クロト「すんません、総統!」
DM「『なんだ、どうした、全滅したのか?』」
クロト「僕を残して全滅しました。しかし総統、あなたがストーン・トゥー・フレッシュの呪文が使え
るならば、彼らは助かります」
DM「『それは使えるが…ひょっとすると、石化したのか?』」
カナート「偉大なる総統のお力で、我々をお助けください〜、と、魂の叫びを送るぜ(笑)」

 こうして、最初から三匹も倒れるというアクシデントに見舞われた。幸い、村から近距離であっ
たので、レザー総統をそこまで案内し、石化解除の呪文を使ってもらうことで、なんとかパーテ
ィーは活動再開できるようになった。しかし、クロトが生き残っていなかったら、いきなり全滅の
憂き目にあったかもしれない。これだからD&Dは恐い。しかし、それもまた楽しい。

DM「『これは君たちへの貸しだ!急ぐんだ、我が軍は大ピンチだ!』」
クロト「僕らも大ピンチでしたよ」

 気を取り直して再度一行は出発。まったく、初っぱなから何やってんだか…

(4)吹雪吹く

 進むこと数日。一行はフラウが住むとおぼしき洞窟にたどり着いた。
 ちなみに洞窟の内部は以下のような構造である。



DM「では、崖に行き当たった、そして、崖に洞窟が開いているのが分かるよ」
カナート「洞窟!崖に開いているのか」
DM「はい、崖に開いています。そして、洞窟の奥からはヒューヒューと吹雪が吹き付けていま
す」
ブライトネス「指を吹雪に近付けてみますが、やはり寒いですか?」
DM「たちまちピキーンと指が凍ります」
カナート「ブライトネス、耐えてもう少し中を見てきておくれ」
ブライトネス「ノー、ノー!」
DM「そこで皆ちょっと知恵チェックをしておくれ」
クロト「(ころころ)成功」
カナート「失敗」
マスード&ブライトネス「(ころころ)成功」
DM「では、カナート以外には、その吹雪がまるで、女の泣き声のように聞こえるよ」
マスード「おお〜、ここじゃな」
カナート「何を言っているんだね、君たち。寒さのあまりに幻聴が聞こえたんじゃないの(笑)?」

 吹雪が吹き付ける中、一行は洞窟に突入する。吹雪は止んだり止まったりし、吹き付ける度
に彼らの体力を奪っていく。要するにダメージを与えてくるというわけだ。

ブライトネス「ヒックチン!寒い!この洞窟って人工物ですかね。それとも天然ものですかね」
マスード「ここはワシにまかせろ〜」
DM「ではドワーフは知力でチェックしてみてくれ」
マスード「(ころころ)分かったぞ」
DM「では、真ん中を通っている幹線部分は天然物の風穴だ。そして、側道の方は何物かが手
を加えて作ったものであることが分かる」
マスード「全部人工ではない。この洞窟には作った奴の魂がこもっとらんわ!」
カナート「なんで、そんなに悔しそうなんですか(笑)」
DM「左手には扉が見えているぞ」
クロト「扉!しかし、このパーティーにはシーフがいない」
ブライトネス「一応、ファインド・トラップスの技能を持ってはいるんですけれどね」

 デミヒューマンオンリーでシーフのいないこのパーティーでは、シーフ技能はスキルによって獲
得することになっていた。つまり、ファインド・トラップスを1LV取れば、1LVのシーフと同じだけ
のファインド・トラップスが使えるのである。

DM「(ころころ、失敗)うーん、ブライトネスは、罠はないと思った」
クロト「信用できないけれど、ブライトネスから剣を借りているから、信用しないと駄目だよね」
ブライトネス「罠は無いから、扉を開けてください」
カナート「私、外に出ていますよ」
DM「では、扉を開ける。すると、幹線の洞窟の奥の方から、突然ビューっと強いブリザードが
吹いてきた。と、いうわけで、呪文のST判定をしてくれ」
カナート「私は外に出ているから大丈夫だぜ」
DM「違うよ、扉の外に出ている方が危ないんだぞ」
カナート「ううん、だって私、洞窟の外に出ているから」
DM「なに〜!そういう意味か!汚ねぇ!」

 カナートの、言葉の隙間を突いた発言によって、この吹雪攻撃を彼のみ回避するという事態
に相成った。もっときちんと事実確認をしておけば、ダメージを与えられたのに(笑)。
 吹雪が収まった後、一行は通路のアチコチを調べる。すると、カナートが隠しドアを見事に発
見したのであった。

DM「では、カナートは通路の奥にシークレット・ドアを発見した」
カナート「いやあ、まったく偶然に私が見付けてしまいましたよ(笑)」
ブライトネス「よ、旦那!大統領!」
クロト「扉を開けようよ。まさか、シークレット・ドアに罠をしかける奴はいないよ」
DM「開けるの?では、そこは小さな部屋になっている。部屋の壁には毛皮が六着ほどぶらさ
がっているよ」
クロト「何の毛皮?」
DM「これは、寒い地方に住む、アイス・ウルフの毛皮だね」
ブライトネス「これを着て、洞窟の寒さを防げというわけですね」
DM「ま、そういうこと。もっとも、ブライトネスには無意味だけれどね(笑)」
ブライトネス「ワンワン、元から着ていますから」
DM「あと、部屋の中には宝箱が置いてあるよ」
一同「おお〜」

 この宝箱には金貨が二千枚入っていた。ホクホク気分になるカルテット。金貨を持って、毛皮
を着用して、一行はまた進撃する。問題は、ここからどう進むかだ。側道を行くか、幹線を行く
かである。
 少し迷ったが、とりあえず側道を行くことに決まった。側道を全部調べてから幹線を行けばよ
いという考えに落ち着いたようである。

DM「では、扉があるよ」
クロト「ここは僕がヒアノイズ!」
DM「あ、持っているんだ」
クロト「持ってる!3LVで40%!」
DM「(ころころ、成功)何も聞こえないね」
ブライトネス「私も、罠発見を使いますよ」
DM「(ころころ、失敗)罠はないと思った」
マスード「うむ、男らしく開けよう」
カナート「今度は私もいるよ」
DM「では、開けた。部屋が広がっている」
カナート「10フィート棒の出番だ!」
DM「部屋が広がっているけれど」
カナート「部屋の温度はどうかな?」
DM「お、いいところに気が付いたね。だいぶ寒くなってきたよ」
カナート「こっちにフラウがいるのか?」
クロト「真ん中の道の方からも吹雪が吹いてきていたけれど。でも、とりあえず枝道を探索し終
えてからあっちにいった方が手間が省けると思うな」
カナート「どうしましょうか、リーダー?」
マスード「うむ、よきにはからえ」
カナート「と、リーダーがおっしゃっていますが、ここはクロトの意見にしたがってよきにはからい
ます(笑)。と、言うわけでリーダー、部屋の様子を調べてください。構造物の罠発見とか(笑)」
マスード「〈便利屋〉と書いてリーダーと読むのだな」
カナート「いいえ、違います。〈犠牲〉と書いてリーダーと読むのです」
一同(爆笑)
マスード「もっと悪いわぁ!」

 しかしマスードは皆に押し切られ、部屋を探索することになった。部屋の奥には扉がある。

マスード「扉だ。ガチャッと開ける」
DM「お、開けたな」
カナート「うわぁ!いきなり開けた!」
ブライトネス「リーダー…今も我らが胸には生き続けています(笑)。自分が犠牲になってパーテ
ィーを救うとは素晴らしいリーダーでした…」
マスード「いや、まだ死んでない(憮然)。しかも、どうなったかまだわからんし」
DM「ま、普通はいきなり扉を開けないんだけれどね。うん、特に手痛いことは起こらなかった
けれど、奥の方から漂う冷気は一層寒さを増してきたよ。そして、その先には部屋がまた広が
っている。そして、その部屋には雪が一面に積もっているね」
カナート「はて、と、いうことはここは吹き抜けか?」
DM「いや、違うよ。天井はある。雪が空中に浮かんで、降り積もってきているね」
クロト「これは…10フィート棒の出番だと思う」
カナート「そうだな、突いてみようか」
クロト「雪のなかに何かが潜んでいて、飛び出してくるかもしれない」
マスード「うむ、そのように、よきに計らえ」
カナート「しかし、私には無理です。私の細腕では10フィート棒などとても持てません」
クロト「僕、タッパ的に無理っす」
ブライトネス「私も背丈で無理です」
マスード「う…ならば、リーダー自身が棒を取ってつついてみよう。何か出てくるかな?」
DM「うん、雪の中からズボッと人型生物が出てきます」
マスード「なにい!」
DM「モンスターチェックしてください」
カナート「(ころころ)成功したぞ」
DM「それは、イエティと呼ばれる雪男だ」
カナート「スノーマン!」
クロト「弓を構える!」

イエティ AC6 5HD 
攻撃:爪×2 2d4/2d4

ブライトネス「私の呪文、ライトを食らえ!太陽拳」
DM「(ころころ)抵抗!」
ブライトネス「あいたた、ワーン!」
マスード「攻撃じゃ(ころころ)マイナス2まで命中」
DM「そりゃあ、当たるよ」
マスード「ダメージは…(ころころ)3点」
カナート「当てるのに気合いは入っているが、ダメージには気合いが無いようです(笑)」

 イエティとの死闘は続く。そんなに強いわけでもないのだが、このレベルのパーティーにはそ
こそこ強敵であった。しかも、マスードの攻撃がこのあと全然命中してくれないのである。死闘
は続き、ダメージが蓄積していく。

カナート「仕方がありません。あまり戦闘の得意でない私が攻撃しましょう。(ころころ)命中して
8点です」
DM「では、カナートの攻撃でイエティは倒れた」
クロト「やる気満々じゃない(笑)」
カナート「いえ、これは私の功績ではありません。雪を突いて敵を誘い出したリーダーのおかげ
です」
マスード「う、うーむ…(複雑)」
クロト「ところで、イエティって、喰える?」
DM「まあ、喰おうと思えば喰えないこともないけれど」
クロト「今のうちに皮を剥いで、保存食にするってのはどうかなぁ」
カナート「そうそう腐るもんじゃないから置いていこう」
マスード「だんだん凄い世界に突入してきたぞ(怖)」
カナート「日数制限ならず、食料制限があるからな。食料は置いておいて先に進もうか。と、い
うわけで、リーダー、どうします(笑)」
マスード「ならば、先に進んでみよう」

 都合のいいときだけリーダー扱いされるマスード。パーティーは「リーダーの意見に従って」先
に進む。

カナート「おや、真ん中の道に戻ってしまった?」
クロト「このルートは外れだった?」
ブライトネス「ひょっとして、雪の仲間を殺してはいけなかったとか?イエティを殺していると、精
霊が話を聞いてくれないとか」
カナート「う〜む、精霊の怒りが高まって、どんどん寒くなってきたらまずいな」
マスード「いや、怒りすぎて、自分の熱で溶けてしまうかもしれんぞ」
クロト「まあ、そん時はそん時でいこうよ。フラウが怒っていたら必死で謝る。怒っていなかった
らそれでいい。嘘がつけるならつき通せばいいじゃん」
カナート「そうだな。うーん、私的にふと思ったんだが、この真ん中の道を一直線に行ったらフラ
ウに辿り着くんじゃないの?吹雪が真ん中の道の奥から吹いてきていたんだから」
クロト「ありえる(笑)」
マスード「しかし、ここまできたら枝道をもっと調べてみた方がいいぞ」
カナート「それは普通の考え方で、冒険者は常に意表を突いた行動に出ないと駄目ですよ、リ
ーダー(笑)」
マスード「しかし、横道を調べることを提案する」
カナート「なら、先程リーダーの行動で助かったのですから、今回もそうしましょう」
クロト「僕的に思うんだけれど、真っすぐいったらフラウの所に辿りつけると思うんだ。でも、そ
れだと、吹雪が吹き付けてきて、酷い目に遭うと思う。横道を行くと、罠があったりするけれど、
吹雪には遭わない。そういう作りだと思うんだよね」

 このクロトの予想はズバリであった。真ん中を進むと吹雪に遭う。そして、奥に進むほど、強
烈な吹雪に吹き付けられるのである。横道を通ると時間はかかり、敵もいるが、吹雪には遭わ
ない。クロトは洞窟の仕掛けを完璧に見破ってしまった。さすが、DMよりテーブルトーク歴が
長いだけはある。
 ちなみにこのパーティー、一番キャリアが短いブライトネスのプレイヤーが経験6年。後の連
中は軒並みキャリア10年以上のマニアックス達である。

(5)リーダー活躍?

 と、いうわけで、クロトの意見が採用されて、横道をパーティーは突き進むことになった。たし
かに、それは正解である。正面の幹道を通ると、とんでもない吹雪が吹き付けてくるからだ。し
かし、正解のルートを通っても、簡単にはしていないのがダンジョンというものである。

DM「では、その部屋には一匹の巨大なトカゲがいるよ」
カナート「(ころころ)分かったけれど、何がいた?」
DM「うん、コールド・ドレイクだね」
クロト「ちょっと待って!」
マスード「強いのか?」
DM「まあ、そこそこだよ」
マスード「わしのHPは残り16しか無いんじゃが…」
DM「ドレイクのACは硬いぞ」

コールド・ドレイク AC0 5HD 
攻撃:爪×2 噛み d4/d4/2d4

クロト「当ててやるっ!(ころころ)1まで当たり」
DM「外れ〜」
クロト「AC0か!手強い」
カナート「そんなの当たらないぜ」
クロト「マジック・ミサイルという手もありますよ」
カナート「ふん(ころころ)!外れ!」

 ドレイクとの死闘は続く。相変わらずマスードの攻撃は当たらない(笑)。もちろん、後の連中
の攻撃もそうそう当たらないのだが。地道な削り合いが続くが、決定打がなかなか出ないまま
にラウンド数が進んでいく。

カナート「もう駄目です、隊長!」
ブライトネス「弾幕薄いぞ、何やってんの!」
DM「(それ、隊長でなくて艦長だよ)(ころころ)マスードに一発命中して6点」
マスード「あいたたた!衛生兵!」
ブライトネス「もう、キュアライト・ウーンズはないです」

 ドレイクとの戦いは十ラウンド以上にも渡った。見兼ねたクロトが前線に周り、8点のダメージ
を与える。しかしまだドレイクは倒れない。しかし、最後の最後でマスードがやってくれる。寒い
中で寒いギャグを飛ばすドワーフでも、さすがはリーダーである(笑)。

ブライトネス「そろそろ、当てましょう」
マスード「おりゃあ!(ころころ)当たったぞ!(ころころ)8点じゃい!」
DM「じゃあ、それでドレイクは倒れたぞ」
一同「よっしゃあ!」
DM「経験点は550点。それで宝は(ころころ)まず、2500Gp相当のブレスレットが一個出
た」
カナート「おっと、コボルドは触らないように。触ると腐るから」
ブライトネス「いいのあるじゃな〜い(笑)って、それ、迷信ですよ」

 コボルドが触った宝石は皆腐るという迷信が一般に広められているのですわ。もちろん、本
当に迷信なんだけれど(笑)。

DM「(ころころ)ありゃ、魔法の品物が出た」
一同「お〜う!」
DM「なな、なんと、スタッフ・オブ・ヒーリングが出た」
マスード「聞いた感じ、治し系のアイテムっぽいの」
DM「ええと、この杖は僧侶のみが使える。そして…凄い!一日、一人につき一回ずつキュアラ
イト・ウーンズが使えるぞ」
カナート「なんと、素晴らしい」
DM「なんでこんなモンが出るんだ!面白くねぇ!5%の確率でしか魔法のアイテムは出ないの
に」

 しかし、こういう偶然があるからD&Dは面白い。意図してこういうものを出したわけではない
のだが、実にベストヒットな品物が出てしまった。DMとしては実に苦しいが、プレイヤー達にと
ってはウハウハ意外の何物でもない。
 こうして士気は一気に上がった。調子に乗ったカルテット軍団は、この後の罠もさして問題に
せず、部屋を突破して幹道に戻る。途中で、次のような一幕もあったが。

DM「宝箱があるよ」
カナート「頑丈そうかな」
DM「頑丈そうだね」
マスード「よし、ここは油をかけて燃やすぞい」
ブライトネス「おー、ノー!リーダー!それは!」
クロト「リーダー!何かする前には僕達に相談して!お願い!」

 そして、いよいよ、最高の山場であるフラウとの対決に臨むことになる。

(6)カナートもっと活躍

DM「この部屋の奥では、エルフの姿をした、全身が真っ白な女性が激しく泣いています。彼女
が泣くと、その度に凄い冷気が押し寄せてきます。と、いうわけでST判定をどうぞ。失敗した人
にはd6点の、成功した人にもd2点のダメージが来ます」
カナート「対冷気防御!(ころころ、失敗)うわぁ〜、さむっ、さむっ!」
クロト「レジスト・コールド!(ころころ、失敗)ひょえ〜、勘弁してよ!」
カナート「ど、どうかしましたか、美しいお嬢さん(ガタガタ)」
DM「エルフ姿の女性は『好きな人が振り向いてくれないので悲しいんです…』と言って泣き続
ける」
クロト「そんなんが寒さの原因か!」
カナート「まあまあ、ここは一つ、我々に任せていただけませんか。あなたの悩みを我々が解
決できるかもしれませんよ」
DM「では、カナートは彼女に気に入られるかどうか、魅力チェックしてみて」
カナート「(ころころ)成功よ」
DM「では、エルフ姿の女性は、ポッと頬を赤く染める」
カナート「おおっ」
ブライトネス「その調子で落とすのです(笑)」
DM「でもエルフ姿の女性は『格好いいけれど、あの人ほど格好よくない〜』とエルフ語で啜り
泣く」
カナート「むうっ、プライドが」
クロト「エルフ語でしゃべっているなら、僕達には無関係だ」
マスード「ワシも駄目だ」
ブライトネス「姿の時点で私なんか問題外です(笑)」
カナート「ここは私しかいないってわけですな。えーと、お嬢さん、「あの人」ってのはエルフです
か。なんなら私が間に立って仲を取り持ちますよ」
DM「『いえ、人間なんです…』」
カナート「ううっ…人間に負けるとは…いやいや、人間にも美しい人がいますからね。それで、
どこでその方とお知り合いに?」
DM「『北風になって飛んでいる時に、スコッチ砦の付近で見かけたのです。実に私のタイプで
…』」
クロト「どんな格好の人だったの?」
DM「『魔術師の格好をしていました』」
カナート「ニヤリ」
クロト「ちょっと待って!それは例のフォックス…」
カナート「だからニヤリなんですよ(笑)」
DM「『私は彼を連れ去ろうとしたんですが、彼が炎の魔法を使うので、私は近付けないんです
…』」
マスード「要するに、その男が、炎の魔法を使わなくなればいいんじゃな。死体にしたら駄目か
のう」
カナート「いや、それもアリでしょう。お嬢さん…うーん、名前が無いと呼びにくいな。この方の名
前はなんていうの?」
DM「『グレイシアと申します』と名乗るよ」
カナート「では、グレイシアさん。生きて動き回るが次第に老いて醜くなっていくものと、動かな
いが永遠に美しい彫像と、あなたはどちらを選びますか(笑)」
DM「『あの人が手に入るなら、私はどちらでも構わないですわ』」
マスード「生死を問わずか…恐ろしいのう(怖)」
カナート「グレイシアさん、あなたの力で思い切り冷やせば、その人も手に入ると思いますよ」
DM「『でも、どうやって?』」
カナート「そうですな…うーん、ここは、砦を守っている将軍達に一度、引き上げてもらって、敵
を砦の中に誘い込むってのはどうだろう。外側から冷やせば、彼らの炎の魔法も意味がない
し、まとめて全員コチコチに出来る(←悪魔か)」
クロト「そんなんでいいの?…まあ、それでもいいか」
カナート「では、グレイシアさん、我々が準備を整えますので、準備が出来たら狼煙を上げま
す。そうしたら、北風になって、砦を取り巻いてください」
DM「『それであの人が手に入るんですか?』」
カナート「ええ、我々を信用してください。あなたのために我々は全力を尽くします」
DM「『なんていい人だわ。あなたも氷柱にして、私の傍に置いておきたい人物だわ』」
カナート「(怯)残念ですが、私には使命があるのです。その使命さえなかったらあなたの希望
に添えたのですが、いや、残念です」
DM「『それでは仕方がないですね』」
ブライトネス「ああ、そうだ、ちょっと聞きたいことがあるんですが、カナート、通訳してもらえます
か」
カナート「私はコボルド語はわかんない」
ブライトネス「共通語で今は喋っていますよ。あのですね、この洞窟は、グレイシアさんが作っ
たんですか」
DM「半分そうで、半分は違うらしい。なんでも、ここは元々バイキングのアジトだったらしい。し
かし、グレイシアさんがここに住み着いてしまったので、廃墟になったそうだ。真ん中の大きな
通路はグレイシアが吹雪で開けたもの。側道の部分はバイキング達が作ったものらしいよ」
ブライトネス「なるほど、ナゾは全て解けた」
クロト「よーし、ケガワントに帰って準備をするぞ〜」

(7)氷柱の作成

DM「では、君たちはケガワントに帰ってきました」
カナート「総統!いい解決法がありました。食料も手に入るし、敵も一網打尽にできます」
クロト「砦を一時開けて撤退しないと駄目なんだけれど、その後の勝利は確定っス」
カナート「なんですかな。名付けて、〈恋する乙女は危険なの作戦〉とでもいいましょうか」
一同(大爆笑)

 実に恥ずかしい名前の作戦だが、やっている本人たちには真剣そのものである(笑)。しばら
く作戦タイムが取られ、いかにしてうまく砦から引き上げるかの議論がなされた。そして時は過
ぎていく。

DM「『う、ううむ。では、君たちを信じて、ベルンシュトルフに撤退命令を出そう』と、総統も納得
してくれました。しばらくすると、ネコ将軍ベルンシュトルフ率いるノルキスタン軍がケガワントに
引き上げてきます。『砦を敵に渡してしまったが、本当にこれでよかったのか?』と不審そうで
す」
ブライトネス「大丈夫、お任せあれ。敵は砦に入りましたか?」
DM「『ああ、敵の魔法部隊が全て砦に入っている』」
ブライトネス「では、合図の狼煙を上げましょう」
DM「狼煙を上げる?では、しばらくすると、君たちの周囲の寒さがいくらか和らいだのが分か
る」
クロト「おおっ!」
DM「それとは一転して、西の方に見える砦に、物凄い吹雪が襲いかかったのが、ケガワント
の集落からも見えるよ」
カナート「思わずエルフ語の方言で叫んでしまう。『どれだけ寒いねん』(笑)」
クロト「エルフ方言は関西弁なんだ(笑)」
DM「しばし吹雪は吹き付けているけれど、そのうち、竜巻のようになります。そして、何やら大
きな固まりのようなものが、砦から舞い上がりました。それは吹雪に巻き上げられて、北の方
へと移動していきます」
ブライトネス「ふふ、どうやら終わったようですな」
カナート「私は隠れておこう。一緒に連れていかれるかもしれない(怖)」
DM「吹雪が北の山の方へと消えると、天気も回復し、晴れた空が広がります」
カナート「よし、もう大丈夫。今です、将軍。敵は司令官を失って総崩れですぞ」
DM「『うむ、吹雪の後だ。敵が弱っているのは間違いない。よし、全軍出撃だ』」
カナート「ううっ…急に古傷が(笑)。」
一同(笑)
DM「そのうちに偵察部隊も戻ってきて報告するよ。『砦の中で、魔術師軍団50名が氷付けに
なっています!』」
マスード「冷凍食品…?」
クロト「いや、それは喰えないと思うよ(笑)」
ブライトネス「金属バットで片っ端からブチ壊しましょう」
カナート「さすが、狂気の神の思召し。うまく行きましたな」
DM「と、いうわけでスコッチ砦は無事に取り返され、炎の魔術師軍団も撃退することができま
した」

 と、いうわけで、中ボスとして用意した〈炎のフォックス〉は戦うことなく撃破されてしまったので
あった。ちなみに奴のデータは次の通り。

〈炎のフォックス〉 AC9 5LV魔術師 15HP

ブライトネス「やれやれ〜」
DM「今のところ、ニュースロイトとの国境付近は平穏になりました」
マスード「ふう、生き残ったぞい」
DM「天候も回復したので、モヤシとカイワレダイコンの栽培も開始されました。とりあえず、食
料状況も一安心です。総統が『よくやってくれた。全ては君たちのおかげだ』とニコニコ顔です」
マスード「なんとか、終わりましたですだ」
DM「君たちには今回の作戦の報酬として、保存食が一人五日分ずつ手渡されます」
一同「おお〜」
DM「『敵は去った。しかし、まだ安心できるというわけではない』と総統」
カナート「ここは流言飛語を飛ばしておきましょう。『ノルキスタン軍はフラウを味方につけたらし
いぞ』と。これで敵も我々に恐れをなすでしょう」
ブライトネス「アチコチに噂を振り撒くわけですな」
クロト「でも、この噂によって、敵が本格的に魔術師軍団を送り込んできたらどうしよう」
カナート「う〜ん、そうだな。ここは総統に具申しよう。ぜひともカイワレダイコンとモヤシ以外の
作物を作ることをお薦めしておきます。今後のこともありますから」
ブライトネス「コウリャンとかヒエのような寒冷地作物を作りましょう」
DM「『うむ、その点は考えている。南のエルフラントから、この貧弱な土地でも出来る作物を取
り入れようと思案中だ』」
クロト「だったらエルフラントと同盟を結んだ方が早くない?」
DM「『そうだな…エルフラントとノルキスタンは仲が悪いが、同じデミヒューマン同士だ。二つの
勢力が力を合わせて、人間たちと戦わねばならん。よし、次に君たちはエルフラントに行っても
らうことにしよう』。と、いうわけで、君たちの次なるミッションは決定しました」
マスード「なぬ〜」
DM「次のシナリオはエルフラントで展開することになります」
カナート「いかん…私ははぐれエルフ故に危険…」
DM「はい、というわけで、今回は終わります。皆さん、お疲れさまでした」

(つづく)