キラーク
エアル
クロト
 ダルメ
種族:ドワーフ
種族:エルフ
種族:ハーフリング
種族:ハタカーン
HP:42 AC:-3
HP:28 AC:2
HP:57 AC:-2 
HP:39 AC:4


(1)新戦力にデカイ顔

DM「では、ゲームを始めます。部隊は魔法王国スロイト。その西の洋上に、ニュースロイト島
と呼ばれる植民地があります。ここはデミヒューマンの勢力が強く、植民地化を進める勢力と
激しく戦いを繰り広げています」
ダルメ「まったく、我々もよく粘っていますね」
クロト「本当だったらとっくに滅亡しているところだけど」
DM「しかし、デミヒューマン達はノール族の総統レザー・ハーンの元に結集し、人間達に抵抗
を続けて来ました」
ダルメ「かなり、頭のおかしい総統ですが」
キラーク「全てが我々任せの困った総統だ」
DM「さて、そんなある日、君たちはそのレザー総統の元に召還されます」
ダルメ「なんですか、また無理難題ですか?」
DM「そこで総統が今回の新メンバーを紹介するぞ。『彼が、新しく我が軍に加わってくれたエ
ルフのエアル君だ』」
クロト「今回は彼が魔法担当なんだ」
エアル「偉大なアルコリー先輩の後がまとして派遣されました」
ダルメ「アルコリーはババアとよろしくやってますから」
DM「『このように新たな賛同者が出るほど、我々の勢力は大きくなっている』」
ダルメ「たった一名の派遣でえらく態度デカいですね」
DM「『なに?』」
ダルメ「いや、空耳でしょう」
DM「『そうか。さあ、君たち、エアル君に自己紹介をしてくれ』」

 こうしてダルメ、キラーク、クロトの三名はそれぞれ自己紹介をする。

クロト「僕はハーフリングのクロト。まあ、総統の息子みたいなもんだよ」
ダルメ「私はハタカーンのダルメ。偉大な職業です」
キラーク「わたしはドワーフのキラーク。貴族の流れを組むドワーフだ。貴族は前に出ないの
で、今日は後衛を勤めさせて貰う」
ダルメ「ちょっと、何かわけのわからん発言が出ましたが」
キラーク「エルフがいるならわたしは後衛。うむ、間違いない」
ダルメ「何言ってるんですか。後ろに下がるのは私だけで十分ですよ」
クロト「ちょっと、後ろから弓を撃つという僕の作業はどうなるの?」
ダルメ「よし、ならばワントップ、スリーバックで行きましょう。エアル君が前衛ということで」
エアル「ちょっと、総統、なんですか、この連携の無さは」
DM「『そこがな、我が軍のいいところだ。各人の個性を最大限に尊重する。それが勝利の秘
訣だよ』」
ダルメ「たわごとはいいですから、総統、今回の任務を教えてください(笑)」
DM「『任務か。うむ、これから我が軍は人間に対して大攻勢をかける。その前に海軍の創設
を図ろうと思う』」
ダルメ「アワビやサザエでも拾って売るんですか?」
DM「『海産物販売ではない。海軍だ!』」
クロト「なんでそんなことを考えたのよ」
DM「『うむ、これから我々はニュースロイト総督と本格的に対決する。しかし我々は船を持って
いないのだ。しかたがって、スロイト本国から船団を借りる予定だ』」
クロト「スロイト女王は何と言っているの?船を借りられるの?」
DM「では、説明しよう。スロイト王国の海軍は、首都スロイトではなくて、東の港町ラフネルに
駐屯してます。その船団を率いるのは『魔術師』と呼ばれた名提督。『名提督の力を借りて、我
が軍を増強するのだ』と総統」
ダルメ「どういう点で名提督なんですか」
DM「うん、いつも酔っぱらっているらしい。これが本当の酩酊提督です(笑)」
ダルメ「はいはい(苦笑)。なんだそりゃぁ!」
DM「いや、名提督なのは本当らしい」
キラーク「そんな人が言うことを簡単に聞いてくれるのか?」
DM「『大丈夫だ。スロイト女王の詔勅が出ていて、公印もある。ぜひ、船団を引き連れて帰っ
てくれ』」
ダルメ「へいへい。その、ラフネルまではどうやって行くんですか?」
DM「スロイト市まではテレポートが使える。そこから南方のマハロマ市まで三日。そこから北東
に二日。全部で五日あれば着くとのことです」
ダルメ「では、まずはスロイトまで飛びましょう」

 相当のタワゴトから逃れるために、一行はとっとと出発した。いつまでも話し相手になってい
ると、またタワゴトに付き合わされる。そんないらない学習を最近し始めた彼らであった。

(2)再度、情報屋

DM「では、君たちはニュースロイト島から、前回の国交樹立で設置されたテレポート装置を利
用し、一気にスロイト市まで飛んできました。ここは魔法王国の首都でにぎわっています」
一同「買い物だ!買い物!」

 一行は早速買い物を始めた。街をかけずり回って金をはたいて買ったのはプロテクション・フ
ロム・マジックのスクロール。インビジビリティのポーション。クレアボヤンスのポーション。金を
はたいた割にさしたるものは手に入らなかった。

クロト「買い物済んだけれど、今何時くらい?」
DM「テレポートで飛んできたから、まだ朝だよ」
クロト「たしか、この街って、情報局がなかったっけ」
DM「あるよ。プロパガンダのゲッペルスと呼ばれる男が仕切っているよ」
クロト「取りあえず、そこ行ってみようか」
DM「じゃあ、情報局の前についた。輪転機がガッチャンガッチャン廻っています」
エアル「輪転機ですか?」
DM「ここって、いわゆる新聞社みたいなもんなんです。そこが盗賊ギルドも兼ねているって次
第です」
クロト「とりあえず、あいさつしよう。『こんにちわ』」
DM「すると、ひょろながい男が出てきました。彼がスロイト情報局の長、プロパダンダのゲッペ
ルスです。『やあ、スロイト情報局にようこそ』」
キラーク「久しぶりだな」
DM「『おや、キラークじゃないですか』」
キラーク「ちょっと、スロイト王国の名提督と呼ばれる人物について聞きたいんだが。名提督な
んて呼ばれるくらいだから、やはりひとかどの人物なのか?」
ダルメ「名提督について…あれ?名提督の名前って何でしたっけ?赤シャチさんでしたか?」
DM「『魔術師と呼ばれたラフネルの名提督ですか?ああ、彼はファン=オバイアスと言いま
す』」
クロト「職業は?」
DM「『マジックユーザーですよ。』」
キラーク「そのままか。彼の活躍について聞きたいが」
DM「『奇策を弄して、無勢で多勢に勝つ作戦を得意としています』」
ダルメ「それはひょっとして凄い人なのでは!」
DM「『敵の戦艦にシロアリをばらまいて破壊したなどの武勇伝があります』」
キラーク「ダメだ!」
ダルメ「こんな奴ばっかりか。……ところで、そのオバイアス提督は、何隻くらい船を持って居る
んですか?」
DM「『戦艦十隻です。スロイトの誇る船団ですよ』」
ダルメ「オバイアスを口説いて、その船団を味方につければいいんですね」
DM「『いや、それは無理でしょう。だって、ファン=オバイアスは去年死にましたから』」
ダルメ「なんですとぉ?なんか、話が面白く、いや、危険になってきましたよ!」

 突然明かされた驚愕の事実である。オバイアスの死後、彼の弟子であったブルスとグラスと
いう男が船団を率いて、ラフネルに駐屯しているらしい。二人とも凄腕のファイターであるとい
う。
 オバイアスの死因は溺死。どうやら、酔っぱらって河に落ちたというのがおおかたの見解であ
る。
 オバイアスは生前自分の弟子のうちブルスを可愛がっていて、自分の後継者として考えてい
たという。そのせいで、オバイアスの死後は二人の仲がしっくりいかず、ラフネルの船団がまと
もに機能していないという。

  ┌── 弟子@提督グラス 
ファン=オバイアス(名提督)            
  └── 弟子A市長ブルス 

ダルメ「この争いをなんとかしないと、我々は船団の助力を得られそうにないですね」
DM「『二人とも、オバイアスの生前は仲がよかったんですけれどね』」
エアル「ちょっと聞きたいんですけれど、どういう形で二人はケンカしているんですか」
DM「じゃあ、ジャーナルさんが説明してくれる。ラフネルの街は、大きな湾があって、湾の中に
海軍の基地であるシュタンツ島がある。そのシュタンツ島をグラスが占拠しているそうだ。そし
て、ラフネル市は、ブルスが市長になって政治を行っているらしい。ブルスは人当たりがよいの
で、オバイアスも後継者として見込んでいたらしいよ」
エアル「どっちにしろ、両方の意見を聞いてみないとダメなようですね」
ダルメ「同感です。なぜ二人がいがみあっているのかも聞かないといけません。ラフネルめが
けて出発しましょう。そして、我々はラフネルに到着しました」
エアル「え?え?」
DM「そんなわけあるか!しっかりエンカウントチェックするぞ!」

 と、いうわけで、ダルメのいつものたわごとには左右されず、しっかりとエンカウントのチェック
を実施したのであった。スロイト市から南へ三日。そこにマハロマ市がある。旅程の二日目で
早速エンカウントは発生。ラゴデッサという蜘蛛に似た生き物が登場。

クロト「相手はLサイズだ。よしっ」
DM「さあ、イニシアチブだ。ありゃ、d6がないな。今回、僕のイニシアチブはd10でいいよね」
ダルメ「はぁ?なに言ってんですか。我々だけがd10使えるならいいですけれど、そんな戯言
は聞き流しますよ」
エアル「今回、ヘイストの魔法は必要ですか?」
クロト「えらい!ちゃんと取っていたんだ」
エアル「はい、一応」
キラーク「よし、みんなかかるのだ!わたしは後ろから見学させてもらう」
後の三人「ちょっと待てぃ!」

 とかなんとか、あまり緊張の無い戦闘シーンが続いたが、所詮この程度のモンスターではも
はや相手にならない。なんやかんや言って彼らも相当に強くなっているのだ。数ラウンド後にラ
ゴデッサは簡単に撃破される。

ダルメ「勝った勝った〜、そして魔法のアイテムが出ました!」
DM「(ころころ)いや、出ない出ない(笑)」
キラーク「一万ppでもいいぞ」
DM「いや、宝石が一個。100gp程度だね」

 と、さしたる戦果はなかった。

DM「では翌日になって新たな旅のスタートです」
エアル「何も現れませんでした…」
DM「(ころころ)おや、現れませんでした。(ころころ)。また、現れなかった。では、三日目の夜
が明けると、中継地点であるラフネルの街が現れてきました。」
エアル「市長に会いにいくんでしたっけ?」
クロト「いや、ここじゃないよ。僕たちが行くのはラフネル市。この街は中継地点だ」
キラーク「しかし、しっかりと魔法の品物は捜さないとな」
DM「ラフネルの街は森に囲まれた小さい市です。ここで魔法の品物を捜すなら、魅力にマイナ
ス7してチェックして」

 それでも、なんとかグロウス・ポーションを手に入れてしまう。(ダルメ「私はポーションばかり
持ってます。転んだら大惨事ですよ」)。後は食料などを補給して、一光はマハロマ市を出発す
る。目的地は北東の海岸。そこにラフネル市がある。

(3)海辺の争い

DM「では、港街が見えてきた。どうもラフネル市に着いたようだ」


エアル「海だ。エルフだから海は珍しく思います」
キラーク「私は海など見飽きている。とりあえず、宿を確保して、酒を飲みながらこの街の情報
収集だ」
DM「市場の近くに〈魚のアブラ亭〉というのがあるけれど」
ダルメ「なんかグチャグチャでブチュチュブチュしてそうな名前で…」
キラーク「では、そこだ。そこに行って、酒をみんなにおごろう」
DM「魅力チェックしてみて。その場にいるみんながやっていいよ」
キラーク「(ころころ)おっ、1成功!」
クロト「(ころころ)げっ、20で失敗!」
DM「では、酒場の人たちは『なんだ、あのコ汚いハーフリングは』とブツブツ言いながらもキラ
ークには『で、なんだい、兄弟。何でも聞いてくれ』とご満悦だ」
キラーク「この街の景気はどうだい、兄弟」
DM「『ダメだね。オバイアス様が亡くなってから、どうもゴタゴタしてなぁ』」
キラーク「話は少し聞いていたが、なんで、オバイアスさんは亡くなったんだ?」
DM「『酔っぱらって川に落ちたんだよ』」
キラーク「それは、本当に溺死なのか?そんな人ではないと思っていたが」
DM「『ああ、確かに不審な点があった。亡くなったとき、オバイアス様が持っていた酒瓶がなか
ったからな』」
キラーク「『それは、現場になかったということか』」
DM「『そうだ。オバイアス様は、いつも酒瓶を肌身離さず持っておられた』」
ダルメ「ちょっとすみません。その、酒瓶はどんな銘柄でしたか?」
DM「『銘柄というか…何か不思議な紋章が刻んであったよ』」
キラーク「生前、オバイアスさんは何かトラブルに巻き込まれていたとかなかったか」
DM「『トラブルってほどはないが…弟子が頼りなくて、特にグラスが頼りないとよく愚痴はこぼし
ていたな』」
キラーク「その二人は、最近はどうしている?特にブルス市長は」
DM「『なかなかだよ』と。なんでもブルスというのは元々船団の補給や管理を担当していたの
で、政治には向いていたらしい。オバイアスもそれを見込んで市長に据えたらしい」
ダルメ「では、グラスの一味はどうです」
DM「『グラス一派か。時々、シュタンツ島から街に渡ってくるよ。特に何をするでもないが』」
キラーク「そういや、グラスとブルスは何で憎み合っているんだ?」
DM「『そりゃあ、性格が二人とも正反対だから。あと、グラスは詰めが甘くてそこがオバイアス
様も不満だったらしい。戦争は強いが、そのくせ押しが弱くて、〈弱腰グラス〉と呼ばれていたく
らいだ』」
ダルメ「ブルスの方は?」
DM「『ヘラヘラして何でも上手に受け流すから〈柳のブルス〉と呼ばれていた。まあ、政治家向
けだな』」
ダルメ「なんか、海の男にしては二人共、力強さに欠ける人材ですね(笑)。話を変えます。オ
バイアスさんの死体というのは、誰が発見したんですか」
DM「『河の近くの神殿の人たちが発見したと思うが』」
ダルメ「神殿の近くで死んでんですね」
一同「(沈黙)…………」
キラーク「話を続ける。オバイアスさんの家はどこだ?彼が何か残していなかったか知りたいん
だが」

 一通りの情報を得た後、彼らはオバイアスの旧宅に向かう。オバイアスの暮らしは質素で、
町はずれの小さな家で、ファウストスという若い弟子と一緒にひっそり暮らしていたらしい。オバ
イアスの死後も弟子が家を守って暮らしているとのことで、彼らはその弟子に会うことにした。
  また、市長のブルスにも会う必要があるという意見が出て、一行は二手に分かれることにし
た。神殿に行くのはクロトとダルメ。市長に会うのがエアルとキラークである。

ダルメ「では、集合は〈魚のアブラ〉亭で」
DM「では、市長のパートからいこうかキラークとエアルは市長の所に行く。総統から親書も預
かっているので、簡単に通してもらえるよ。そして執務室に通されると、市長が机に向かって忙
しそうに仕事をしているのを見る」
エアル「初めまして、市長さん」
DM「『どなたですか』」
キラーク「女王陛下からの親書を預かってきたのです。ラフネル船団の協力が欲しいのです。」
DM「市長は親書を受け取って読み始める。そして読み終わると大きく溜息をつく。『協力して
差し上げたいのはやまやまですが、今、我々の船団は分裂しておりまして』」
キラーク「なんでも、困った輩がシュタンツ島にいるとか」
DM「『はい、私の師匠のために、グラスが離反して、船団が分かれてしまいまして』」
エアル「それはどういうことですか。とてもできた人じゃないんですか」
DM「『いや、全然できてませんでしたょ』」
エアル「おや」
DM「『今、船団を率いているグラスのことを、師匠は不当に低く評価していたと思うんですよ。
武器も魔法も使えるのがグラスだったんですが、師匠は彼をずっと小馬鹿にしていました』」
エアル「それは、なぜです」
DM「『性格なんですかね…師匠は一芸に秀でた人間が好きなんです。欠点だらけの人間で
も、どこか秀でた所があれば猫かわいがりする。反対に、万能な優等生タイプは非常に嫌う。
そして、グラスは万能でした』」
キラーク「ひどく嫌っていたわけか」
エアル「結局、グラスさんと対立している以上、船団は出せないと」
DM「『私の手元にある軍船は二隻。他の八隻をグラスが引き連れてシュタンツ島に立てこもっ
ています』」
キラーク「よし、ならばそのグラスを説得してもよう。市長さん、手数だが、彼に当てて手紙を書
いてもらえないか」
DM「『いや、私の手紙は止めた方がいいと思います。かえって彼の怒りに油を注ぐ結果になっ
てしまいますよ』」
キラーク「そんなにピリピリしているのか」
DM「『はい、師匠が死んだ後、私たちの間に入る人はいなくなってしまって』」
エアル「師匠、一つ腑に落ちない話があるんです。オバイアスさんが亡くなった時、酒瓶が亡く
なっていたという話を聞いたんですが」
DM「『そんなことまでご存じでしたか。そうです。確かに師匠の酒瓶が無くなっていました。そし
て、どこを捜しても見つからないのです』」
エアル「その酒瓶は何か特別なものだったんですか」
DM「『私は戦士なのでよくわからないんですが、何か魔法の紋章というものが刻んであたと
か。とても大事なものだったらしく、師匠は肌身離さず持っていたんですが』」
キラーク「水を入れると酒に変わる酒瓶とかじゃないだろうな」
エアル「死体は見つかったが、それは見つかっていないと」
DM「『そうです』」
エアル「オバイアスさんの死について、何か不審な点がなかったのですか?海軍の提督が川
に落ちて亡くなるというのは」
DM「『残念ながら、あの師匠ならありえます。誰も、酔っぱらって溺死したことを疑っていませ
ん』」
キラーク「凄い人なのか凄くないのかよくわからん人物だな…」

 こんな感じで情報を聞き出したが、どうも要領は得ない。分かったのはグラスをどうにかしな
いと船団の協力を得ることができないということ。そして、オバイアスの持っていた酒瓶がキー
ポイントらしいということである。

(4)話は段々キナ臭く

DM「では、もう片方のパートを進めます」
ダルメ「オバイアスの家に行くぞ」
DM「はいはい。それでは、町はずれについた。小さな一軒家が建っている」
ダルメ「中に入ってみるか」
DM「中にはいると、ヒゲの魔術師が掃除をしている最中だった。彼は手を止めると『おや、ど
ちら様ですか』と声をかける」
ダルメ「ファン=オバイアスさんのことで話があって来ました。あなたが弟子のファウストスさん
ですね」
DM「『そうですが、なぜ、人間でない者が私の師匠のことをご存じで?』」
クロト「それはね。その前に、ニュースロイト島のことを知っていますか?」
DM「『話は聞いています。よくわからない魔術師と、人間でない連中がドンパチやっているヘン
テコな島ですよね』」
ダルメ「(笑)非常に屈辱的ですが、その認識は正しいです」
クロト「かなり言い得て妙!それで、我々は、その変な魔術師達に対抗するために船団が必要
で、女王の許しを得て船団を借りに来たというわけなんだ」
ダルメ「ところが、現地に着いてみるとオバイアス氏が既に無くなったとの話。そして後釜の弟
子達も争っているという困った状況です」
DM「『そうなんです』」
ダルメ「なんとかして、グラスとブルスを和解させられませんか」
DM「『それは難しいですねぇ。何しろこじれにこじれた関係ですから。二人ともタイプが全然違
いますし、グラスは偏狭で、酷くブルスをねたんでいますし』」
ダルメ「ねたんでいる?」
DM「『ブルスだけ、先に市長にしてもらいましたから』」
ダルメ「そうですか。じゃあ、話は変わりますけれど、オバイアスさんが持っている酒瓶が、彼が
死んだときに紛失したとか」
DM「『そうです。師匠がとても大事にしていたものなんですが』」
ダルメ「魔法の紋章が刻んであったといいますが、それかせ何かわかりませんか」
DM「『残念ながら、私のような若輩者には解りません』」
ダルメ「重要な酒瓶のようなんですけれど」
クロト「どんな効果を持つ酒瓶かわかったら、ちょつとは進展でもあったんだろうけれど」
DM「『そうですね…しかし、酒瓶とはいいますが、実は私は、その酒瓶で師匠が酒を飲んでい
るのを見たことがないんです』」
ダルメ「おや?」
クロト「待って!ひょっとすると、ファン=オバイアスという人は、実は酒なんか飲まなかったんじ
ゃないかな。ファイウストスさん、あんたの師匠は本当に酔っぱらいだったの」
DM「『さあ、少なくとも、私は師匠が酒を飲むのを見たことがないです』」
クロト「本当は下戸だったのかもしれない」
DM「『酒瓶を持っていたので、みんなアル中と思っていたんですが』」
クロト「そうなると、酔っぱらって川に落ちたというのも実は違うかもしれない。なんだかきな臭く
なってきた」
ダルメ「死因は本当に溺死だったんですか」
DM「『はい。神殿の神官が検死しましたので、間違いないです』」
ダルメ「師匠の死体が発見された当時のこととかについて、詳しく教えてもらえませんか。これ
は大事なことです」
DM「では、ファウストスは説明してくれる。死体が発見されたのは神殿の前らしい。どうも流さ
れたらしく、かなり傷ついていたとのことだ。」
ダルメ「死体は流されたんですか」
DM「どうもそうらしい。河、というか水路のようなものなんだけれど、この河は夜になると汐が
満ちてきて逆流する。そして、朝になると汐が引いて海に向かって流れる」
ダルメ「河の上流にある滝は何ですか」
DM「『これは山水が集まって流れになっているものです』」
ダルメ「特に、魔術師達の修行場などではないんですね」
DM「『はい。特に何もないですよ』」
ダルメ「聞くだけ聞いたから酒場に集合と行きたいけれど、ちょっと神殿の方に行ってみてもい
いですか」
クロト「まだ時間があるなら、いいよ」
ダルメ「情報を仕入れてからみんなで検討したい。神殿にも行かせてもらおう」

 こうしてクロトとダルメは神殿にも向かう。港に面するこのラフネル市の神殿はカイエン教。こ
の司祭長はアレックスという人物である。ダルメが同じ神官ということもあって、初対面ではあ
るが、すんなりと話を聞くことが出来た。

DM「『我が教会に何のご用ですか』」
ダルメ「実は私ども、亡くなったファン=オバイアスの死について再度調査しておりまして。ここ
の神殿の方が遺体を見つけたとのことですが」
DM「『はい、あの日は汐が酷く逆流して神殿の前まであふれていました。かなり流れも速かっ
たです。その汐が引くときに、上流からローブが流れてきたのです。不審に思ってて居ると、人
間の遺体が流れてきました。それが、オバイアス氏であった次第で』」

 ──────────────────────────────
  ←河口 ×死体 滝壺→
 ──────────────────────────────
  ┌──────
  │ 神殿  
  └──────

ダルメ「上流から流れて来たんですか。と、いうことは、殺害現場は滝壺の辺りの可能性があり
ますね」
クロト「ちょっと、そんなこと言ったらまずくないか」
DM「『まさか、
ファン=オバイアス氏は殺されたんですか』」
ダルメ「いや、違います。私、火曜サスペンスにはまっていまして」
クロト「なんの話だ」
ダルメ「それで、あなたがファン=オバイアスの死体を引き上げたわけですか」
DM「『はい、既に息はなく、酔って河に落ちたと判断しました』」
クロト「そう判断したのは何故です」
DM「いつも酔っているような人でしたから、そうだと思ったんです」
クロト「やはり、先入観が作用しているような気がする」
ダルメ「ここは、さっきのファウストスに、もう一度聞いてみる必要があります。ファン=オバイア
スが亡くなる前後のスケジュールとかについて確認しておかないと」
クロト「それはいいけど、酒場の方は?」
キラーク「そっちが、聞き込みを続けるなら、こっちも一つ、紋章について調べたいから、魔術
師ギルドに行かせてくれ」

(5)ピンとキたぁ!

DM「では、パートを変えて魔術師ギルドに行こう」
エアル「簡単に話ができますか」
DM「エルフがいるから大丈夫と思うよ」
キラーク「では、失礼する」
DM「マスターらしい魔術師が出てきて『なんだい?』」
キラーク「ファン=オバイアスが持っていた酒瓶に、魔法の紋章が刻んであった。その紋章が
いったい何なのか知りたいんだが」
DM「『なら1000gpだ』」
遠くのダルメ「いいなぁ、ここ。回りくどい必要がなくて(笑)」
キラーク「ほら、1000gpだ」
DM「『よし、教えてやる。あの紋章はマジック・ジャーのためのものだ』」
キラーク「魂を移す奴か」
エアル「どういう呪文ですか」
DM「『自分の身体から魂を出して、乗り移る呪文だ。他人の身体を乗っ取って乗り移ることが
できる。そして、この紋章がある品物にも、魂は乗り移ることができる』」
キラーク「なんか…見えてきたぞ」
遠くのダルメ「しかも、ものすごくダメダメな裏話が…」
エアル「その呪文を使うと、生きている人間にも乗り移ることができるんですか」
DM「『そうだな』」
エアル「魂が壷に乗り移っている時に、その壷を壊したらどうなりますか」
DM「『壷に入っている魂の持ち主は死んでしまうな』」
キラーク「行方不明になった壷を捜さないといけないな…まて、ギルド長。あんたは、その壷を
見ているな」
DM「『ああ、見たことが何度もあるよ』」
キラーク「そして、ロケート・オブジェクトの呪文は使えるか」
DM「『ああ、使える』」
キラーク「じゃあ、明日の朝、その呪文を使ってくれ」
DM「『いいぜ。1000gpだ』」
キラーク「よし、話はついた。明日、壷を捜してもらうぞ!」

 一気に話は進展した。キラークの機転で、壷の場所は簡単に解ることに。DMとしては予期
せぬ展開だったが、こっちが考えもつかないことを考えられるのは正直楽しい。こういう自由
さ、機転が利くのがTRPGの醍醐味だ。

DM「じゃあ、神殿から、再びファウストスの所に行ったダルメとクロトの番です」
クロト「すいません、ファウストスさん」
DM「ではファウストスが『おや、どうされました』と出てくる」
ダルメ「師匠のファン=オバイアスさんが亡くなった日、誰かに会うような予定を立てていませ
んでしたか」
DM「『それはわかりませんが、スケジュールを空けておくようにはいわれてしました。その晩、
ふらりと出て行かれまして』」
ダルメ「不審に思わなかったんですか」
DM「『師匠は気ままな人でしたから』」
ダルメ「う、う〜ん、そうだ、ファウストスさん。師匠の部屋を見せてもらえませんか。何か手が
かりが残っているかもしれません」
DM「『いいですけれど、私の目の届く所でやっていただけるなら』」
ダルメ「それはもちろん。では、部屋を捜すぞ。何か資料が残っているかもしれない」
DM「では、ファン=オバイアスの部屋に通される。ごくオーソドックスの魔術師の部屋に見える
よ」
クロト「調査!調査!」
DM「君たちは魔術師じゃないから、知力にマイナス10してチェックしてみて」
クロト「きつい!(ころころ)おっ!1!」
DM「じゃあ、オバイアスの航海日誌が見つかる。亡くなる半年前くらいのものなんだけれど、ど
うもグラスとの間に確執が生まれていたらしい」
クロト「確執?」
DM「グラスがファン=オバイアスに、船団を譲ってほしいとか、引退を勧めたなどがブツブツ
書かれているよ」
ダルメ「それだけ?」
DM「それだけ」
ダルメ「う〜ん、なんだか微妙にハズレっぽいので、ここは一度みんなと合流しましょう」

 という次第で、情報を手に入れた一行は〈魚のアブラ亭〉に集合する。

キラーク「紋章についての情報を手に入れてきた。奴の持っていた壷はマジック・ジャーのもの
だったらしい」
ダルメ「そうでしたか」
キラーク「私の考えとしては、ひょっとして、グラスとファン=オバイアスが入れ替わっているんじ
ゃないかと思う。マジック・ジャーの呪文で入れ替えが行われたのではないかな?」
クロト「ちょっと待って。じゃあ、なんでグラスとブルスがケンカするの?ブルスは師匠に気に入
られていたんでしょう」
キラーク「そうか…しかし、何か臭い気がするんだ」
ダルメ「たぶん、ファン=オバイアスというのは悪い人だと思うんですが」
クロト「なんで、そこまでグラスが嫌われたのかもよくわからない。グラスに会ってみないことに
は」
エアル「会うんですよね」
キラーク「魔術師ギルドからの報告を待ってな。明日、朝一番で魔術師ギルドに行って壷の場
所を探してもらおう」

(6)出てきたぞ!

DM「では、翌日の朝になった」
エアル「魔術師ギルドに行くんですね」
キラーク「ああ。壷の場所を特定してもらえるんだろうな?」
DM「ああ。その点についてはギルドから通知が来るよ」
キラーク「なんだと?」
DM「『壷は滝にある』という話です」
ダルメ「あああ…なんか、ものすごくダメな展開になりそうだと、私の頭にフツフツと予感がして
きました」
エアル「壷が滝壺に?」
ダルメ「ダメです。思い切りダメっ子動物プランです」
キラーク「滝壺か。まったく、神殿の連中も、きちんと捜せばいいのに」
クロト「滝壺に行くしかないね」

 ギルドからの情報のせいで、話は急展開。彼らは一路滝壺を目指す。滝は神殿の前を流れ
ている川の上流にある。詳しくは地図を参照して欲しいところ。

DM「では滝についた。岩山から水が音を立てて流れていて、滝の下では滝壺が出来ている。
水が轟々と音を立てているよ」
ダルメ「引っかけ鉤を使って捜してみよう。底を探って引っかけるんです」
キラーク「甘いな。こういう時に、がーディアンがいるのが定石だ」
DM「引っかけ鉤くらいじゃこの滝壺を探るのは無理だと思う」
クロト「まさか、潜れと?しかし、ウォーターブリージングの呪文は…」
エアル「呪文として持ってはいますが、今日は取っていないんです」
キラーク「ギルドに戻って、呪文をかけてもらうしかなさそうだ」

 ギルドに行って交渉した結果、4人で1000gpにまけてもらうことができた。

ダルメ「くそう。魔術師ギルドを散々設けさせてしまった」
クロト「まさか、営業ノルマとかあるんじゃないだろうな」
ダルメ「腹立たしいですが、滝壺に入ってみます」
DM「では、皆は滝壺に入った。水が轟々と渦巻いている。その中に…はい、ここで知恵チェッ
クしてみて」
クロト「(ころころ)成功!」
エアル「(ころころ)成功」
キラーク&ダルメ「成功!」
DM「じゃあ、皆分かったね。滝壺の底に壷が落ちている。かなり大きな酒瓶だ。そして…」
クロト「そして?」
DM「モンスターチェックしてみて」
エアル「モンスターチェックですか?(ころころ)成功です。わかりました」
キラーク「壷の中にタコとか入っていたら嫌だな」
DM「いや、もっと困るよ。壷の前にうごめく巨大な影。それは、アクアティック・ビホルダーだ」
クロト「なにぃ!」
DM「では説明しよう。こいつは巨大な一つ目怪物ビホルダーの変種で、本物よりちょつと弱
い。大きな眼は三ラウンドに一回、目くらましの光を作り出す。頭には小さな突起が二つあり、
それはチャーム・パーソンとホールド・モンスターの効果を持っている」
クロト「本物のビホルダーのようにアンチマジックの効果は持っていない」
キラーク「よし、勝ち目が見えた!」
ダルメ「相手はやる気満々?」
DM「いや、そうでもないけれど、近づいたら危険そうだね」
ダルメ「仕方がない。こいつを倒さないと壷が手に入らないならやるしかない。今回の大ボス
だ。やるぞ!」
キラーク「まず、目を集中攻撃だな」
DM「どの目?このモンスターは、各部位で持っているヒットポイントが違うぞ。本体が13HD
で、これを全部削ったら、倒したことになる」
キラーク「本体かな」
ダルメ「チャーム・パーソンも危険そうですけれど」
キラーク「全力で本体をやっつけてしまおう」
DM「では、戦闘開始だ。イニシアチブは(ころころ)3!」
ダルメ「(ころころ)6!よし、」

 アクアティック・ビホルダーとの死闘が始まった。果敢にもダルメが前に出て、メイスでビホル
ダーをボコボコにブン殴る。いつもは後ろに引っ込んでいる犬神官だが、窮地に陥っては本領
発揮。しも不思議なことにダルメの攻撃はビシバシ当たる。

ダルメ「殴る!殴りまくります!早く死ぬ!」
クロト「今度から前に出てよ。プロテクションクングあげるから」
ダルメ「革鎧しかつけられないハタカーンにななてことを!」

 とかなんとか行っているうちにビホルダーの番。

DM「では、キラークにチャーム・パーソン!」
キラーク「(ころころ)抵抗!」
DM「次はクロトにフラッシュ光線」
クロト「(ころころ)抵抗。1以外大丈夫なんだ!」
DM「じゃあ、イニシアチブだ(ころころ)、6!」
ダルメ「と、取られた」
DM「じゃあ、キラークにチャーム・パーソン!」
キラーク「(ころころ)しまったぁ!チャームされた!」

  キラークがチャームされたことによって戦闘は泥沼化してきた。しかし、ここで本領発揮した
のがダルメだった。メイスの攻撃を全弾命中させてビホルダーの目を一つ潰す。しかし、その
間にチャームされたキラークがダルメに斬りかかって、ダルメも瀕死の重傷を負うハメになっ
た。

ダルメ「死ぬ死ぬ!死んぢゃう!」
キラーク「やる気満点だ。すまんのう」
ダルメ「ガス化ポーション飲んで、ガスになって逃げていい?」
クロト「こらぁ」
ダルメ「でも、このままだと死んじゃいますよ」
クロト「我々がビホルダーのエサになってもいいのかい!」
ダルメ「仕方がない。クロトにストライキング!私が倒れても大丈夫です。これで、次には心お
きなくガス化して逃亡できる」
エアル「ミラー・イメージを使います。僕も前に出ます。(ころころ)3体のイメージが出現しまし
た」
クロト「エルフのACがよくないのがキツイね」

 エアルは他の三人と違って歴戦の強者に非ず。魔法はそこそこ使えるのだが、戦闘力がどう
しても多少劣る。しかし、キラークがチャームされ、ダルメが瀕死の現状になってはどうしようも
ない。ミラー・イメージの呪文を使って、彼も前に出て行く。

DM「ビホルダーはエアルに噛みつく。(ころころ)命中してイメージが一体消えた。はい、では
そちらの番だ」
ダルメ「どうしようもない!ガス化ポーション飲みたいけれど、攻撃だぁ!」

 悲壮なダルメの攻撃が続く。何しろ、あと一撃食らったら撃沈なのである。

DM「あと十一点でビホルダーは死ぬぞ」
ダルメ「よし!二回とも当ててやる!(ころころ)よし!一回目命中。11点くらい今の私なら出
る!(ころころ)よっしゃああ!11点ピッタリ!」
一同「うおぉぉぉぉ!」
DM「では、その一撃でビホルダーは水の底に沈んでいく」
ダルメ「そしてマジックアイテムの数々が!」
DM「まあ、ちょっと待ってね。取りあえず経験点は5500点だ」

 ほとんど、絶妙のゲームバランスというべき。プレイヤーキャラは生かさず、殺さず。ちょっと
ヘマしたら殺されるくらいが一番いい。ゲームに必要なのは緊張感と駆け引きだ。

(7)また変なのが出た

DM「では、君たちは壷を手に入れた」
クロト「水から上がって、これを魔術師ギルドに持って行こう」
DM「水から上がる?では、水から出ると壷が喋り始めるよ」
ダルメ「なぬ?」
DM「『いやぁ、やっと喋れる場所に出た。わははは』」
ダルメ「わ、割りたい。激しくこの壷を割ってしまいたい…」
エアル「あなたは誰ですか」
DM「『わしか。聞いて驚くな。ワシはファン=オバイアスだ』」
ダルメ「やっぱり。じゃあ、もう一度滝壺に戻しましょうか」
DM「『や、やめろう!また水底に沈んでしまう』」
ダルメ「じゃあ、そんな尊大な態度は止めてください」
DM「『まったく、わしに少しは敬意を払ってほしいもんだ』」
エアル「ところで、なんで壷なんかに入って、滝壺に沈んでいたんですか?」
DM「『それはな、ワシは弟子の…グラスのせいで、こんな目に遭ったのだ』」
エアル「弟子のせいですか?詳しく話してください」

 ファン=オバイアスの話ではこうだった。その晩、グラスに呼び出された彼は、待ち合わせ場
所だった河口に出かけたという。そこにはグラスが待っていて、彼と口論になった。船団を自分
に譲って欲しいというグラス。反対にファン=オバイアスにはまだまだ隠居する気はない。やが
て二人はつかみ合いになり、水の中に落ちる。しかしグラスはこんなこともあろうかと、ウォータ
ーブリージングの呪文を自分につかっていた。ファン=オバイアスは溺れてしまう。しかし、彼
は最後の力を振り絞って魂を持っていた壷の中に移したのであった。しかし壷は海流に流され
て、滝壺付近まで遡航し、そして誰にも見つからないまま、ビホルダーに守られていたのだとい
う。

キラーク「ビホルダーは別に悪い奴ではなかったのか。悪いことをしたな」
DM「『ところで、ワシに何か用か?』」
ダルメ「我々は女王の許可を得て、あなたの船団を借りに来たんです。しかし、その船団がグ
ラスとブルスの手によって二分されていて、どうにもならないのです」
DM「『なに、グラスが船団を?よし、ならばまず、グラスを倒そう。君たちも協力してくれ』」
ダルメ「そういう話はきちんと場を設定して話し合いましょう。あと、あなたはその状態で何かで
きるんですか」
DM「『壷に入っていたらワシは何もできん。乗り移る身体があればいいが』」
キラーク「今、殺したばかりのビホルダーとかあるが」
DM「『バケモンの身体なんかワシは嫌だ。そんなんならワシはまだ壷のままがいい』」
ダルメ「まったく使えないジジイ…いやいや、ともかく、あなたは我々に協力してくれますよ
ね?」
DM「『うむ、それは問題ないが、代わりにあんたらもワシに協力してくれ』」
ダルメ「何をするんです?」
DM「『さっきも言ったろう。グラスを倒すのだ。あんな馬鹿弟子にワシの船団を預けてはおけ
ん。奴を倒して船団をワシの手に取り戻す。そうすれば君たちに協力できる』」
ダルメ「微妙かもしれませんが、我々が得をするならいいでしょう」
DM「『よし、いいだろう。グラスは、中途半端な奴だが、剣と魔法の両方が使えるからな。ある
意味手強い相手だ』」
クロト「そんなことが出来るの?」
DM「『奴はエルフの元で修行したからな』」
ダルメ「う〜ん、皆さん、壷に聞こえないところで提案です。取りあえずグラスに会いに行って、
グラスが我々に協力してくれるようなら、壷を割りましょう。グラスが協力してくれないなら、この
壷の奴に協力してやりましょう」
キラーク「同感だ。なんか、この壷の奴も結構邪悪っぽいからな」
ダルメ「我々としては、船団さえ借りられれば、提督なんかはどっちでもいいので」
DM「(恐ろしい奴…)」
ダルメ「さて、ファン=オバイアスさん。我々の腹は決まりました。しかし、まず一度はグラスに
会ってみる必要があると思います」
DM「『なぬ、あんな奴に会う必要があるのか』」
キラーク「あなたの発言だけではどうにもわからないところが多い。本当にグラスが駄目な奴な
のかどうか、会ってみないといけない」
DM「『師匠のワシを手にかけたような奴なのにか?』」
キラーク「それも、会って確かめなければならない。全てはそれからだ」
DM「『わかった』と壷は不満そうですが納得します」
ダルメ「じゃあ、グラスに会いに行くとしますか」
DM「じゃあ、君たちはグラスに会いに行くことで話を進めるんだね。では、ここで一度インター
バルを置きます。作戦の練り直しとか、経験点の計算もあるので、取りあえずここで一度休憩
です。」

(つづく)