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ＤＭ「では、前回の続きです。ファン＝オバイアスの封じ込められた壷も見つかり、いよいよ話
は佳境に入ってきました。
キラーク「酷い佳境もあったもんだ。さて、どうしようか？」
ダルメ「冷静になって判断しますと、さっき壷抜きで話し合ったプランが一番いいのではないで
しょうか？まずはグラスに会いに行くということで。壷がグチャグチャ言わないように、ホールデ
ィング・バッグ（なんでも入る魔法のバッグ）の中にでも放り込みましょう」
クロト「さあさあ、入った入った」
ＤＭ「では、壷は放り込まれてブツブツ言う。『う～む、暗いのう』」
ダルメ「はぁ？なんだ、この壷、視覚があるのか？このことに私はビックリです」
ＤＭ「まあ、それは、魔法の壷をだから」
エアル「グラスさんのいる場所ってシュタンツ島でしたっけ？」
ダルメ「そんな名前でしたな。では、行きましょう。いざ、シュタンツ島に」
ＤＭ「シュタンツ島に向かうなら、ブルスさんが船を貸してくれるよ」
ダルメ「なかなか、サービスいいですな」
ＤＭ「あ、もちろん、海上を進んでいるときは、エンカウントチェックしてもらうから」
エアル「敵が出るんですか？」
クロト「ここは、エアルのダイス運に賭けよう」
エアル「そんな…」
クロト「大丈夫。君の運を信じて！」
ダルメ「一応、レベルが上がったので、４ＬＶまでの魔法は使えるようになっています」
キラー「変な水生生物が出てきたら、戦うしかないだろうな」
ダルメ「グチャグチャでブチュブチュしている奴が…そして、またアクアティック・ビホルダーが
…」
ＤＭ「出していいの？」
ダルメ「だめです（笑）」
ＤＭ「まあ、それはそうと、船を漕ぎ出したな？」
ダルメ「漕ぎ出しました」
ＤＭ「では、エアル君、エンカウントチェックだ」
エアル「無事に…（ころころ）！」
クロト「なんで、一撃で出現してんの？」
ＤＭ「はい、モンスターチェックしてね～。（ころころ）おっ！これはこれはすごいモンスターが…」
ここで登場したのは、頭が十本あるヒドラである。締めて合計１０ＨＤ。かなりの強敵であるこ
とはいうまでもない。しかし、ここは膿の上。奴を倒さなければシュタンツ島上陸はあり得ない。
一同は諸茅花から、涙をのんで突撃する羽目に陥ったのである。
エアル「ヘイスト使います？」
キラーク「それは絶対に必要だ」
ダルメ「わたしも、ストライキングを使いましょう」
クロト「ヒドラはダメージを与えていくと、頭が飛んで弱くなっていく。ダメージを重ねていくしかな
い」
一同「うわ～」
最初から強敵との対決である。頭が十本あるこの蛇は、ダメージを受けた分だけ頭が死滅し
弱体化する。つまり、イニシアチブを取って、最初に大ダメージを与えるのが大事なのだ。
エアル「マジック・ミサイルです！１５点のダメージ」
ＤＭ「ヒドラの頭が二本飛んだ」
ダルメ「ストライキングをキラークにかけましょう」
戦いそのものは、冷静に進行していった。マジック・ミサイルとストライキングをかけたキラー
クの突撃。最初の突撃でヒドラは一気に頭を五本とばされる。こうなると、あとは一方的だっ
た。気が付けばヒドラは滅び、後には４０００ＥＰ（１／２ＧＰ）のお宝が残っていたのだった。
（２）偏屈な後継提督
キラーク「島に向かうぞ」
ＤＭ「（ころころ）うん、その後はさして何も起こらずに島に近づけるよ」
キラーク「島は見えてきたか？」
ＤＭ「見えて来た。と、いうより、湾に浮かんでいるから、街からも見えていたんだけれどね。島
に近づくと軍船が君たちを取り囲んで、停止信号を出してくるぞ」
ダルメ「白旗を揚げて…いや、そこまでしないにしても、抵抗の意志はないことを表示しておき
ます」
クロト「難民船みたいだね」
ダルメ「我々は敵ではありません」
ＤＭ「軍船から拡声器で声がかけられるぞ。『それ以上進むな。船を止めろ』」
エアル「我々はスロイト女王からの親書を携えて来たのです。ここの指令に会わせてください」
ＤＭ「『なに？あのブスからの手紙だと？』という返事が返ってくるよ（笑）」
クロト「こらぁ、無礼だぞ」
ＤＭ「『まあ、いい、あがれ』と、軍船から渡し板が伸びてくるよ」
エアル「使者に対して敬意のない人たちですね」
ダルメ「そんなこと言っている場合じゃないですよ。乗り込みましょう」
ＤＭ「では、君たちは軍船の甲板に降り立った。甲板ではいかつい司令官らしき男が椅子に腰
掛けて…」
ダルメ「カンパンをボリボリ食っています」
一同「こらぁ！」
ＤＭ「酷い駄洒落だな…ええと（脱力）司令官らしき男が話し出すよ『本国からの使者だそうだ
な。私がラフネル市の提督グラス＝ベルだ』」
ダルメ「赤シャチじゃなかったんでしたっけ？」
ＤＭ「違うよ。グラス＝ベル提督です」
ダルメ「また、えらく可愛らしい名前ですね」
エアル「我々は女王から正規の親書を持ってきた使者です」
ＤＭ「『見せてみろ』」
エアル「渡しましょう」
ＤＭ「では、グラス提督は親書を受け取って読み始める。読み進むにつれて、段々彼は機嫌が
悪くなってくるよ」
ダルメ「おお？」
ＤＭ「『話はわかった。しかし、なぜ、無償で私が君たちに協力せねばならんのか？』」
ダルメ「なんと！高圧的な態度！ずはり、この提督は悪い奴です」
ＤＭ「『本国も本国だ。スロイト王国の八割の軍船を所有するこのグラス＝ベルに向かってなん
という言いぐさだ』」
キラーク「…ちょっと挑発してみよう。グラス提督、しかし、本国からの親書は、実はあなたに宛
てられたものではないのだ」
ＤＭ「『なんだと？』」
キラーク「それは、あなたの師匠であるファン＝オバイアスに向けて発信されたものだ。オバイ
アスが亡くなったから、仕方なく貴方の所に持ってきたが、本当は貴方へのものではないのだ」
ＤＭ「『ふん、そんな、とっくに墓の下に行ってしまったジジイに宛てられたものなど。ますます、
まともに聞くことはできないな』」
ダルメ「なんて悪い奴だ！」
ＤＭ「君たちの持っている魔法のバッグの中で、オバイアスの壷が暴れているような気もします
（笑）」
ダルメ「まあまあ、穏便に（笑）」
キラーク「協力する気はないのか？」
ＤＭ「『そんな国是には従えないね。我々には何のメリットもない』」
キラーク「国命に従わない気か？」
エアル「この船や軍団はスロイト王国のものではないのですか？」
ＤＭ「うーん、実は違う。スロイト市の軍団はオバイアスのもので、それに女王が勅許を与え
て、その活動を認めているというだけなんだ。だから、ある意味今はグラスの私兵なんだ」
クロト「昔の私略船みたいな連中なんだ！」
エアル「女王陛下の命令をないがしろにするとは…」
ＤＭ「『報酬がないなら、女王の命令になど従えないな』」
一同「じゃあ、どうすれば協力してくれるんですか？」
ＤＭ「『船団を動かすには金がいる。三十万GPは必要だな』」
ダルメ「却下。それだけいれば、私はレベルが上がって強くなれます（笑）」
DＭ「『船団を動かすには金がいるんだよ』」
クロト「他に何か条件はないの？金の代わりになるようなもんとかさ」
DM「『そうだな。市長の馬鹿を解任して、俺を代わりに市長にしてくれるなら、船団を動かして
やるぜ』」
ダルメ「やれやれ、誰が馬鹿なのかはっきりしました」
クロト「なんか、ずいぶん強気な奴だな」
キラーク「一応聞くが、この会談の場所には、グラス以外にも何人か兵隊がいるんだな？」
ＤＭ「そりゃ、そうです」
キラーク「そいつらがみんな１ＬＶとかいうことはないだろうな」
ＤＭ「まさか。さすがに、３～４ＬＶはありそうですよ」
キラーク「いくらなんでも、ここで喧嘩を売るわけにはいかんか」
エアル「ヘイストの魔法使ってもだめですかね。一応、今日は確保してあるんですけれど」
ダルメ「いや、ここはそういう問題でもなさそうです」
キラーク「ここは上手く回避して逃げるがいいとみた。『では、グラス殿。あなたの回答はきちん
と女王に伝えましょう。きちんと考慮して、それから改めて返事をすることとします』」
ＤＭ「『そうか。では、しっかり伝えてくれ』」
キラーク「ついては、帰りは港まで送っていただきたい。変な海洋生物にあって、使者としての
大任が果たせなくなっては困りますからな」
こうして、交渉は交渉にならなかった。まあ、そうである。ＤＭとしては、おそらく決裂するよう
な交渉にしていたから。
もっとも、プレイヤー達がグラスと結託して、町を襲って市長を倒すシナリオもありといえばあ
りだった。それでもおもしろいと考えていたし、実際、そっちのルートの方が楽ではあったんだ
が。
（３）怒る魔術師提督
ダルメ「さて、交渉決裂です。どうしましょうか」
キラーク「まずは壺のオッサンに、詳しい情報を聞こう」
DM「壺がしゃべります。『わかったか！おまえら、グラスとはああいう奴なんだ』」
エアル「あの性格は昔からなんですか？」
DM「『昔からだ』」
ダルメ「よく、そういう奴を部下にしていたもんですな」
DM「『ま、まあな。ワシの教育も、ひょつとするとマズかったかもしらん』」
キラーク「ともかく、戦う必要が出てきたわけだ。しかし、我々としては、なるべく危険を避けて事
をおさめたい。あの、シュタンツ島を攻めるのに、提督の力が必要だ」
ＤＭ「『しかし、ワシの呪文書は失われてしまった。ワシは何の呪文も使えん』」
キラーク「どこかから呪文書を持ってきても駄目か？」
ＤＭ「無理だね。オバイアスの呪文書は、彼が滝壺に沈んだ時に失われてしまった」
キラーク「ますますもって役立たずの壺というわけか」
ＤＭ「『なんだと？そんな事を言うな。呪文書がなくても、ワシには知恵がある』」
キラーク「では、それを聞かせてもらおうか」
ＤＭ「『新しく船を建造して、その船でシュタンツ島を攻めればよいのだ』」
ダルメ「ほほう、なかなかおもしろいことをこの壺はヌかしてくれますな。それ以上言うとあなた
を煮炊きに使いますよ」
キラーク「我々の国でタン壺として活用する方法もあるぞ」
ＤＭ「『ま、まて！この名提督ファン＝オバイアスになんてことをするんじゃ』」
ダルメ「あんたがヨタ話ばっかり言うからです」
ＤＭ「『ヨタ話などではない。ワシは一対百の相手でも勝利を納めた男だぞ』」
ダルメ「『また、そんなヨタ話もありましたな』」
ＤＭ「『本当なんじゃ！今回も、バッチリの作戦を考えている。一隻の船があれば、グラスの船
団を壊滅させることができる』」
ダルメ「船に火をつけて突っ込ませるなんていう作戦ですかね？」
ＤＭ「『うむ、この作戦には二つのものが必要なのだ。一つはウォーター・ターマイトの卵』」
クロト「シロアリをバラ巻くの？あのう、それって、全ての船も、我々の船も壊滅しちゃうんじゃな
いの？」
ＤＭ「『そこはそれ。ちゃんと考えてある』」
ダルメ「あまり聞きたくない考えになりそうで嫌ですな。さて、リーダー。ここはどうしますか
ね？」
エアル「え？僕ですか…う～ん、ここは一度市長にも相談した方がいいんじゃないですか」
ＤＭ「壺も『そうだそうだ』と言う（笑）」
ダルメ「では、市長に会いに行きましょう」
一行はとっとと市長宅に向かった。どうやらこれ以上単体で、この壺の中のヨタ親父と話をし
ているのが嫌になったらしい。
（４）秘密兵器はポチョムキン
ＤＭ「では、市長宅についたよ。ブルスさんが『やあ、どうだったかね』と迎えてくれます」
クロト「あなたに変なものをお見せしましょう。と言って壺を見せる」
ＤＭ「『おや、これは師匠の壺！ああ、これを見ていると、在りし日の師匠の姿が浮かんできま
す…』」
ダルメ「おい、壺。しゃべっていいぞ」
ＤＭ「では壺が『久しぶりだな、ブルス』と言う。ブルスさんは驚いて『し、師匠の声が壺からし
た！』と叫びますが」
エアル「今までのいきさつを全てしゃべります。ブルスさん。全ての悪事はグラスが関連してい
ました」
ＤＭ「ではブルスさんは耳を傾ける。そして『最低だ！グラスめ！』と」
ダルメ「どう考えても市長さんがまともっぽいですよ。おい、壺、なんであんなグラスみたいな馬
鹿に軍船を渡したんですか」
ＤＭ「『そこは仕方がない。ブルスは人柄はいいが、戦は不得手だったからな。だから、政治的
な役目を任せたんだ』」
クロト「結果的に裏目に出たけれどね」
キラーク「市長。もはや奴らはならず者の軍団だ。街からの補給を一切絶つのがいいだろう」
ＤＭ「『しかし、そのようなことをしたら、彼らが何をしでかすかわかったものではありません。私
は市民の安全を第一に考えなければなりません』」
ダルメ「何、市長みたいなこと言っているんですか」
ＤＭ「みたいな、なんじゃなくて、市長なんだってば」
ダルメ「いっそのこと、市長が先頭に立って敵陣に切り込むとかどうですか。」
ＤＭ「『三十人くらいは倒せるかもしれませんけれど、たぶんやられてしまいますよ』」
ダルメ「！市長一人で三十人も切り倒せるのか」
ＤＭ「『一応７ＬＶファイターですから』」
ダルメ「強い！しかし、ということは、グラスはそれ以上の強さを持っているわけですか…」
クロト「なんとかしないと駄目だよ。壺のおっちゃん、話は戻るけれど、グラスを倒す作戦ある
の？」
ＤＭ「『おお、そうだったな。ブルス、あの新造艦はまだ未完成か？』と壺が言う。ブルスさんは
『はい、まだ建造中です』と言う」
ダルメ「新造艦？」
キラーク「その名も戦艦ポチョムキン号」
ＤＭ「いいよ。じゃあ、ポチョムキン号にしておこうね（笑）。市長が言います。『戦艦ポチョムキ
ンは、師匠専用の特別戦艦です。しかし、船体への特別加工が必要なため、まだ完成していな
いのです」
エアル「特別加工って何ですか？」
ＤＭ「『ワシの得意な作戦に、シロアリをばらまいて敵を混乱させるというものがある。しかし、こ
の作戦には欠陥があった。なぜなら、自分の船も被害にあってしまう』」
ダルメ「なんでそんな当たり前の事に気づかないんですかね」
ＤＭ「『そこでワシは思いついた。シロアリに食われない木で船を造ればよい。そうだ。死んだ
木で船を造れば、シロアリに食われない。そう考えて三年前から戦艦ポチョムキン号の建造に
取りかかった。しかし、死んだ木を手に入れるのがあまりにも難しく、まだポチョムキン号は完
成しておらん』」
クロト「なんか、〈死んだ木〉という言葉が非常に気になるんだけど。何か思い当たらない？」
ＤＭ「なら、知恵でチェックしてみていいよ」
クロト「（ころころ）成功したよ！」
ＤＭ「では、クロトはわかる。死霊が大木にとりついて、その木をアンデットにしてしまうことがあ
る。その樹木はオーディックと呼ばれる強力なモンスターとなる。アンデットとなった木だから、
その木に触れる生ける者は皆死んでしまう。このオーディックで船体の一部を作ればシロアリ
に食われることもなく作戦遂行できるわけだ」
エアル「それって、強いんですか？」
クロト「めちゃくちゃ強い！バンパイアの上のハウントの上。」
ダルメ「そんな恐ろしい奴がどこにいるんですか」
ＤＭ「森の奥にいるらしいよ」
キラーク「死んだ木、という言葉が気になっていたが…オーディックとは…（←以前他のキャラク
ターの時に出会ったことがある）」
ＤＭ「『完璧な作戦ではないか。ウォーター・ターマイトをばらまいて相手を混乱させる。しかし、
ワシの船はまったく被害を受けない。こんな完璧な作戦はあるまい』」
ダルメ「で、オーディックはともかくとしても、シロアリの卵は簡単に手に入るんですか？」
ＤＭ「『まあ、多少の労力はいるな』」
ダルメ「多少どころか。今回、かなり我々は関門が多いですよ」
クロト「どっちにしろ、オーディックは倒さないと駄目だよね」
ダルメ「シロアリは嫌ですね」
ＤＭ「『シロアリの卵を取りに行くのが嫌なら、その代わりのものでもいい』」と壺が言うよ。
ダルメ「こんどはどんな無理難題ですか？」
ＤＭ「『なんてことはない。ワシが戦艦の乗員として雇っていた魔術が二人いる。そいつらを雇
い直せば、シロアリの卵はなくてもなんとかなる』」
キラーク「そいつらは、そういう魔法を使うのか？」
ＤＭ「いや。敵を攪乱するのに優れているらしい」
キラーク「なんか、あんまり解決になっていないな…は！なんということだ。今、大変なことに気
がついたぞ！」
一同「なんだなんだ゛」
キラーク「エアルが、対アンデット＋３の魔剣を持っている！」
ダルメ「なにい！」
エアル「いや、持っていても、それが当たるとは限りませんから」
ダルメ「当てるしかないでしょう
クロト「これは大きいよ！オーディックは、＋２以上の武器しか効かないんだ。よし、なにはとも
あれオーディックを倒そう。奴は宝をたんまり持っているんだ」
ダルメ「そんなに持っているんですか？」
クロト「そりゃ、もうワンサカ。こは先にオーディックを倒して、そこで出た宝によって、シロアリ
か、魔術師を雇うか決めたらいいじゃない」
キラーク「まったくだ。私はノーマルソードで突っ込もう。ダルメ、ブレスとストライキングの準備
を頼む」
ダルメ「任せてください。もちろん、ここは全力で取りかかりましょう」
ＤＭ「（こいつらもう、オーディックを倒す気満点でやがんの…）」
ダルメ「プロテクション・フロム・イービルも覚えます。ブレスは一回分でいいですよね」
（５）死闘 オーディック
こうして一同は着々と対オーディック戦の準備を始めた。全てはエアルが、魔法の剣を持って
いたことに端を発する。不思議な勢いの付き方だった。
さて、ここでオーディックについて説明をしておく必要がある。
オーディック ＨＤ１６ ＡＣ－４
この植物は半径２０フィートに紫色の怪光線を発する。この光線を受けた者はセービングス
ローをして、失敗すると１ＬＶを自動的に失ってしまう。また、この植物の半径３０フィートにある
全てのポーションは無力化されて駄目になってしまう。かなりやっかいなアンデットモンスターで
ある。そして当然ながら、ダルメ程度の坊主ではターンアンデットなどできない代物なのであっ
た。
ダルメ「ポーションはあらかじめ使っておかないといけないですな。使わないものは置いておか
ないと。なんだ？このフォーティテュード・ポーションって奴は？」
ＤＭ「体質が一時的に１８になって、ＨＰが増える優れものだよ」
ダルメ「なら、これはエアルに渡しておこう。戦闘が始まるまでにしっかり飲んでおいてください
よ」
エアル「はい、わかりました。最善を尽くしましょう」
ダルメ「それでもみんながやられた場合、私はガス化ポーションで逃亡します」
キラーク「こらぁ！」
ダルメ「だって私、呪文使ったらもう何も使えませんよ。私のスリングはオーディックに効かない
んですから」
キラーク「絶対に勝たないといけない。何かないか…何か使えるものは…」
クロト「ニュートラライズ・ポイズン！オーディックは毒も持っている」
ＤＭ「さあさあ。オーディックの奴はＡＣ－４だ。死ぬ気で当ててね」
クロト「今は目の前のオーディック戦に全力集中だ。今のとこ他のことは棚上げだよ」
エアル「ヒットポイントも全快にしておきたいんですが」
ダルメ「寝る前に高名な僧侶である私が回復させておいてあげよう」
必死の考えを絞る一行。その割に、よくわからない発言も出つつ（ダルメ「相変わらず収録で
きない会話が満載ですなぁ」）、対オーディック戦闘の準備は進められていったのである。
ＤＭ「さあ、朝になりました」
一同「オーディック！オーディック！」
ＤＭ「みんな、気合い入っているね」
クロト「もうやるしかない」
エアル「僕が、こんな剣を持っていたばっかりに…」
クロト「かえってよかったかもよ。さあ、行くぞ！」
かなりやけくそ気味のクロトに引きずられ、一行は森の奥を目指した。そして、こんな時もしっ
かりエンカウント表を振るＤＭ。幸いにして敵は現れなかった。そして、いよいよ本番。オーディ
ックの処にたどり着く。
ＤＭ「君たちの目の前に、紫色の不気味な大木が現れてきました」
クロト「オーディック！」
キラーク「もう、ポーションをバカスカ使おう」
ダルメ「プロテクション・フロム・イービルを使います」
エアル「フォーティテュード・ポーションを飲んで、インバルネラビリティ・ポーション飲んで…」
ＤＭ「すごいドーピングだね」
エアル「ヘイストと、ミラー・イメージ使います。（ころころ）三体出ました」
ＤＭ「では、戦闘開始だ！とは言ってもオーディックはその場から動けないから、最初のイニシ
アチブは意味がないけれどね」
ダルメ「そうか。確かに、木ですからな」
エアル「ミラー・イメージを頼りにして突撃します」
ダルメ「では、私は一人でイメージ・トレーニングです。みんなが勝つというイメージを思い浮か
べます」
キラーク「こらぁ！」
ダルメ「だって私、呪文かけたらもう何もすることがないんですよ」
キラーク「なんか、しろ！」
ダルメ「へいへい。では、あまり効果はないかもしれませんが、負傷者の介護に備えましょう」
こうして戦闘は始まった。とはいえ、攻撃の手段もなく、鎧が革鎧のダルメは暇だ（ハタカーン
は革鎧しかつけられないので、僧侶とはいえ鎧は紙に等しい）。ここではエアルとクロトが主力
となる。なんといってもハーフリングの力はすごい。
クロト「いきまっせ！（ころころ）１！どうやっても当たらない！（ころころ）今度は２０！なんだ、こ
れは！（ころころ）ダメージ９」
ダルメ「少ない…」
クロト「ダメージ与えたから文句言わないの」
エアル「（ころころ）はずれ…（ころころ）はずれ…」
こうして、初太刀はクロトしかダメージが与えられなかった。そして、今度はオーディックの番と
なる。
ＤＭ「さあ、怪光線放射だ。この範囲にいる者はデスレイの抵抗判定してね。失敗するとレベル
を１失うよ」
クロト「（ころころ）セーフ！」
エアル「（ころころ）大丈夫！」
ＤＭ「ち、レベルは下がらなかったか。では、地面からニョキッと蔓が現れてくる。キラークに（こ
ろころ）命中だ。さあ、毒の抵抗もしてね。失敗すると即死だよ」
キラーク「（ころころ）セーフ！負けるか！こんなところで！」
即死にレベルドレイン。恐ろしい攻撃が次々と続く。長期戦になると一同は不利になる。なん
としても短期決戦で勝負をつけないといけない。この後キラークは２発命中させて１６点の大ダ
メージを与える。次にエアルが突っ込んできて、１５点。
クロト「あと一撃！（ころころ）命中して１０点だ」
ＤＭ「では、オーディックは倒れた」
一同「やった～！」
キラーク「宝の山！宝の山！」
ダルメ「我々が欲しいのは魔法のアイテムです。ＤＭ、いっぱい出してね～」
ＤＭ「うん、いろいろ出た。ちょっと待って」
ダルメ「ワクワクしながら見ています」
ＤＭ「装身具が七個。全部で四万七千GＰ分。後は魔法のアイテムが一個出ました」
ダルメ「やったぁ！」
ＤＭ「魔法の品はスクロールだったよ」
エアル「リード・マジックがあるから読んでみます」
ＤＭ「そう？では、呪文の抵抗判定してね」
クロト「呪いの呪文だぁ！」
しかし、幸いにもエアルは抵抗に成功して難を逃れる。この後彼らはオーディックの屍骸（？）
を切り取り、街に持ち帰った。敵を倒すことには成功したが、期待していたアイテムなどは手に
入らず、ただ大金を得ただけだった。
（６）ツイン・バズーカ
ＤＭ「では君たちはオーディックを持ち帰る」
ダルメ「なんと苦しい戦いだったんだ」
ＤＭ「では、オーディックを持ち帰ると、オバイアスはブルスに工事を命令します。『船体の下部
にオーディックで作った外板を取り付けろ』と」
ダルメ「まったく、壺のくせにやけに偉そう」
ＤＭ「では、工事が終わると壺が言ってきます。『さあ、あとはウォーター・ターマイトの卵か、魔
術師を雇うかのどちらかだな』と」
クロト「正直言って、どっちが楽？」
ダルメ「距離的にはどっちがいいかな」
ＤＭ「ウォーター・ターマイトの巣も、魔術師のすみかも、どっちもここから半日くらいらしいよ」
ダルメ「魔術師がいいですかね。まだ交渉の余地がありそうですし。ウォーター・ターマイトの巣
に行ったら、問答無用で戦って、卵を奪わないといけないことになりそうですし」
クロト「戦力も欲しいし、魔術師のところに行くのはいいと思うよ」
キラーク「魔術師のところに向かおう」
ＤＭ「魔術師のところに向かう？では、魔術師について説明しよう。彼らは二人一組の魔術師
で……」
キラーク「まさか、アリスとテレスとかいう名前じゃないだろうな」
ＤＭ「違うよ（笑）。それは以前君たちが倒してしまった。彼らはピュアスとボンスと言って、ここ
から半日ほど歩いた場所に住んでいる。ピュアスは炎の魔法。ボンスは氷の魔法の使い手ら
しい」
キラーク「二人一緒に住んでいるのか？」
ＤＭ「いや、別々だけれど、きわめて近いよ。ボンスの方がピュアスの家から更に半日くらい奥
地だね」
キラーク「先にピュアスに会って、次にボンスに会うというわけか」
ダルメ「では、その二人の魔術師君に会いましょう」
キラーク「その二人に会うなら、壺も連れて行った方がいいだろう。市長さん、この壺、またちょ
っとお借りしますよ」
ＤＭ「『師匠、いいんですか？』と聞くと、壺は『わしが必要なら行こう』という」
ダルメ「おお、なかなか物わかりがいいさあ。壺。ちゃんと弟子の市長にお別れをしておくんで
すよ。壊されて、二度とかえってこれないかもしれませんよ」
ＤＭ「『そんなことはなかろう』」
ダルメ「なんて楽天的な壺だ」
あまりにも楽天的なファン＝オバイアスにあきれながらも、彼らは二人の魔術師のところを目
指した。このピュアス＆ボンスの二人は、ラフネルの魔術師ギルドにも所属していない、いわゆ
るフリーランスの傭兵である。かつてオバイアスが健在だったころに味方となっていて、その魔
法で敵をきりきり舞いさせたらしい。
しかし、提督が後継のグラス＝ベルになってからは折り合いがつかず、二人ともラフネル船
団を離れてしまったという。
ＤＭ「では、特別にエンカウントも起こらなかった」
キラーク「着いたかな？」
ＤＭ「目の前に、キンキラキンの趣味の悪い家が見えてきました。どうやらここがピュアスの家
のようです」
キラーク「この調子だと、ボンスの家はギンギラギンにさりげなくか？」
ＤＭ「そうか。そうすれば面白かったかも（笑）。まあ、それはともかく、君たちが近づくと、それ
を察知したのかね。家の中から特大の声で『誰や！』と聞こえてくるよ」
ダルメ「わっ、関西弁」
ＤＭ「壺が『わしだ。オバイアスだ』と答える。中の声は『死んだと聞いたがな』と」
キラーク「ドアを開けてくれ。会えば、事情を話そう」
ＤＭ「『なんやと？』と言って、玄関のドアを開けて、巨漢の魔術師がズンズン出てきます。『なん
や、オバイアス、おらんがな』」
ダルメ「壺を見せて、全てを話します。壺、あんたもしっかり話せ！」
ＤＭ「では、壺が話し始めます。今までにあったことを包み隠さず話し、『と、いうわけで、打倒グ
ラスに協力してくれ。ラフネル船団を我が手に取り戻すのだ』と」
ダルメ「協力してください～」
ＤＭ「では、ピュアスはうなずくよ。『よし、協力するわ。しかし、オバイアス、知っとると思うが、
わいは高いで』。こういってピュアスは指を一本立てます」
ダルメ「安い！１ＧＰとは！」
ＤＭ「『アホ言うな！一万ＧＰや』」
ダルメ「ううっ…なんか、払えてしまう金額なところが、微妙に迷いを…」
クロト「あの～、払ってもいいけれど、僕たちはもう、そういう次元での話はしたくないんだ。どう
よ。他に、何か協力してくれるための条件とかない？」
ＤＭ「『なんや、金を払わんのか？』」
クロト「払わないこともないけれど、他に条件があるなら聞いてみたい」
ＤＭ「『そうやな。わいのファイア・ボールに耐えきったら、無条件で協力してやろう』」
クロト「あんた、レベルは？」
ＤＭ「ピュアスは１２あるよ」
クロト「いいさ。カモン！打ってこい！」
こうして漢クロトはピュアスのファイア・ボールを直撃することになった。こんな時にクロトは抵
抗に失敗。直撃は３９点。しかし、クロトはファイア・レジストリングを持っていたのでダメージは
２９点。無事に耐えきってしまう。
クロト「どうだ。耐えきったぞ」
ＤＭ「『まさか、わいのファイア・ボールを受けて立っている奴がいるとは。ええわ。力をかしてや
るわ』とピュアス」
ダルメ「やった！次はボンスですね」
クロト「それはいいけれど、回復してくれよ」
ダルメ「それは、もう。私の献身的な回復呪文を使用しますよ」
こうして、二人の魔術師のうちピュアスを仲間にすることに成功した。次はボンスの家に向か
う。ボンスは木造の渋い感じの家に住んでいます。
キラーク「金閣寺に対抗した銀閣寺か～」
ＤＭ「『ここが、ボンスの家や』とピュアスが案内してくれるよ」
ダルメ「ピュアスさん。ボンスさんに我々のことを説明してください」
ＤＭ「では、ピュアスは玄関のドアをたたく。しばらくするとボンスらしき魔術師が出てきた。彼も
筋骨隆々としたたくましい感じの魔術師です」
キラーク「そういうのが魔術師やってていののか？」
ＤＭ「ピュアスはボンスに事情を話す。さすがに、今度はあっさり信用してもらえたようだ。ボン
スは君たちの方を向くと『事情はわかった。君たちに力を貸してもいい』という」
ダルメ「おお、話が早い」
ＤＭ「『しかし、一つだけ条件がある』」
一同「え…まさかまさか…」
ＤＭ「『私のアイス・ストームを食らって立っている奴がいたら、私が力を貸してやろう』」
一同「うわぁぁぁ！」
ＤＭ「ボンスに向かってピュアスが『こいつらはわいのファイア・ボールを食らっても立っていた
んや。お前のアイス・ストームなんか屁でもないで』とか挑発しています」
一同「こらぁ！！」
クロト「今日はもう無理！食らったら死ぬ！」
ＤＭ「『いや、明日まで待ってやろう』」
クロト「ならいいけれど、あんた、レベルいくつ」
ＤＭ「ボンスは１１ＬＶ。ピュアスより１ＬＶ低いよ」
クロト「とは言っても、今日は無理だから、明日挑戦してやるよ」
翌日、抵抗力の高いクロト相手にアイス・ストームが炸裂した。抵抗にも成功したので、ダメ
ージはたった１０点。
クロト「軽い軽い」
ＤＭ「『な、なぜだ。なぜ、私のアイス・ストームを食らって平然と…』」
クロト「力貸してくれるね」
ＤＭ「『あ…ああ…』」
こうして、チト痛い目に遭いながらも、二人の魔術師の助力を得ることに成功した。
機は熟した。船体の準備もできて、二人の魔術師がいる。後はグラスを退治するだけとなっ
た。
（７）魔術師の大作戦
ＤＭ「ピュアス＆グラスが言います。『この、ツイン・バズーカと呼ばれた我々が助力すれば、グ
ラスの船団にも対抗できるだろう』」
ダルメ「なんで、そんな名前がついているんです」
ＤＭ「『我々はオバイアスの船の主砲として活躍していたからな』ということです。魔法を相手の
船団に打ち込んで攻撃する役目を担っていたらしい」
クロト「オバイアスが死んだから辞めたわけか」
ダルメ「さぞくやしかったでしょう。クロトに耐えきられて。どうですか。最後に二人同時で、クロト
に魔法を打ち込んでみては」
ＤＭ「『おお！』」
クロト「おお！じゃない！本当に死んでしまうわ」
アホな掛け合いをしているうちに、オバイアスの旗艦である戦艦ポチョムキン号は完成した。
そして、いよいよ作戦が始まる。
ＤＭ「では、オバイアスが作戦を説明します。この船は外板と、先端にオーディックの材木が使
われています。さて、このままポチョムキンは突っ込んでいきます。当然、グラスの船団もやっ
てくる。『そこで、光線を発生させるんじゃ』とオバイアス」
クロト「ああ！それって！」
ＤＭ「そう。エナジードレインの光線。みんなも食らったよね。このために、ポチョムキンの行く
手を阻む者は、全て弱体化されるというわけです」
ダルメ「なんと恐ろしい！敵の生命力を奪う船とは！」
ＤＭ「敵が弱ったところで、ツイン・バズーカの二人に魔法を打ち込んでもらう。そこで敵が混乱
したところで上陸作戦というわけです」
エアル「本当に、この壺は魔術師ですね…」
ＤＭ「伊達に天才魔術師を名乗っていません。『さて、そこからが肝心だ。敵の船に乗り込んだ
ら、すぐにグラスに集中攻撃をして、奴を殺してしまってくれ』」
ダルメ「ボスを倒して降伏勧告って奴ですか」
ＤＭ「『そんな不確実なことはせん。わしはすぐに壺から出て、グラスの体に乗り移る。そしてグ
ラスの体を乗っ取って、グラスのふりをして奴の船団全部を支配下におく。完璧な作戦だ』」
ダルメ「すごい！馬鹿な壺かと思っていましたが、作戦はまともで極悪です！しかし、そのグラ
スが強かったら困りますよ」
ＤＭ「『ブルスと同じ腕前のままだったら、７ＬＶだな』」
ダルメ「グラスを速攻で倒すために、ホールド・パーソンは必要ですな」
エアル「チャーム・パーソンも取っておきます。いざというときに使えそう」
ダルメ「あとは、ソーサーとボンズの大砲が頼りですな」
ＤＭ「いや、ピュアスとボンスだけれどね。まあ、発想は確かに野球なんだけれど」
ダルメ「は？」
ＤＭ「いや、だから、魔術師提督じゃなくて、魔術師監督。ファン＝オバイアス」
ダルメ「ファン？…扇？」
ＤＭ「あ～あ、気づきやがんの」
ダルメ「くっ…くだらねぇ…」
他の人「？？？？」
ＤＭ「プロ野球マニアにしかわかんないよ」
そう。この前年、プロ野球の監督で魔術師と呼ばれた方が物故されました。今回のネタはそ
れにあやかったというか。まあ、それはどうでもいい話です。
準備は次々にと進んで、後はもう出航を待つだけになった。
ＤＭ「では、時刻は夜。密かに戦艦ポチョムキンが出発します。君たちは甲板に立って海を眺
めています」
ダルメ「なんつ～か、魔術師ですよ。この壺」
ＤＭ「しかし、敵側も気づき、気がつけばポチョムキンは包囲されていました。グラスの船団が
迫ってくる。ところが、その時、戦艦ポチョムキンから怪光線が発射されました」
クロト「お～お～。レベルドレインの光線」
ＤＭ「その光線を食らうとあら不思議。敵方の船の甲板にいる兵隊達がバタバタと倒れていき
ます」
ダルメ「こわっ！つまり、１ＬＶの人々が次々と死んでいきます」
ＤＭ「キャプテン席に座った壺がつぶやきます。『うーむ、わかってはいたが、恐ろしい船を造っ
てしまったな』」
ダルメ「壺！本当に酷いですよ！」
ＤＭ「『よほどのことがない限りこの作戦は使ってはいかんな。人道に反する』とか言っていま
す」
ダルメ「あのう、とか言いながら、人がバタバタ死んでるんですけれど」
ＤＭ「はいはい。これくらいではまだ終わりませんよ。ツイン・バズーカの二人がグラスの船団に
ビシバシとファイア・ボールとアイス・ストームを打ち込んでいます。グラスの船団は一気に弱体
化して混乱もしています」
キラーク「もうむちゃくちゃだな」
ＤＭ「と言っていると、グラスの旗艦にポチョムキン号が接岸しました。『いまだ！乗り移ってグ
ラスを倒せ！』と壺の指揮がかかります」
ダルメ「はいはい。では、ストライキング！」
エアル「ミラー・イメージ使います！」
ＤＭ「甲板でグラスが『出会え！出会え！』と言うが、めぼしい兵隊はもう残っていません」
この後、エアルとクロト、キラークが一度にグラスに接近した。グラスも弱くはないが、所詮人
間。剣を振り回して抗戦するも、ＨＰも３５しかない。クロトに切られ、エアルにも切られ、最後は
キラークに切られ。彼は血の海に沈んだのであった。
ＤＭ「では、グラスは倒れた。その瞬間、壺から何か霧のようなものが飛んで、グラスの体に入
り込んだ。直後、グラスは再度立ち上がる」
キラーク「なんだ？」
ＤＭ「『わしだ。オバイアスだ。無事にグラスの体を乗っ取れたぞ』」
キラーク「本当にオバイアスか？」
ＤＭ「『そう、疑うな。まあ、見ておれ。いまからグラスのふりをして、この船団を丸め込んでや
る』」
後は作戦通りに全てがうまくいった。オバイアスが乗り移ったグラスは降伏し、ラフネルの街
に船団は集結した。一行は堂々の凱旋を果たす。シュタンツ島の残存勢力も撤収して、久しぶ
りにラフネル船団は名提督の元に集結したのであった。
（８）魔術師提督の復活
ＤＭ「では君たちはラフネル市に帰ってきた。無事に船団を回収してきたよ」
ダルメ「あんまり無事ではない気もするんですけれどね。オーディック船のおかげで、かなり死
者が出たはずですが」
ＤＭ「確かにね。グラスの兵隊の三分の一は戦死。残りの三分の一はレベルを吸い取られて
いるよ」
クロト「ほとんど化学兵器に等しい船だよ」
ＤＭ「さすがのオバイアスも『このオーディック船は速攻で封印だな。わしとしたことが、恐ろしい
作戦を考えついてしまった』と反省しきりです」
クロト「こんなんで、後はうまく行くの？」
ＤＭ「その辺は、あとはオバイアスがうまくやってくれるでしょう。なんか市長もうまいことオバイ
アスに説得されて、後はいいなりになっています」
クロト「じゃあ、ラフネルの街は平和になったってわけ？」
ＤＭ「そうだね。グラスも消えたことだし、今後はまたオバイアスが幅をきかせることになるでし
ょう」
クロト「じゃあ、オバイアス。あんたを助けたんだから、僕たちに報酬をくれよ」
ＤＭ「『報酬か？いいとも』」
ダルメ「おおっ！さすが監督、いや提督」
ＤＭ「『一万ＧＰが魔法の品のどっちかだが』」
ダルメ「魔法の品物が欲しいですな～」
ＤＭ「じゃあ、市長が倉庫から適当に魔法の品物を持って来てくれる」
ダルメ「当てにならない！また変な品物ばかり出てきますよ」
実はこれがかなりの大当たり。ドワーフ用のシールド＋１。アローの＋２が１２本。ショートソー
ドの＋３。エルフ用のシールド＋１とチェインメイルの＋２まで出てしまった。最後の最後で大当
たりである。
ＤＭ「こうして、ラフネルの街の混乱は、君たちのおかげで無事に解決した。そして、ラフネルの
街にはまた名提督が戻ってきたよ」
エアル「それで、結局、この人は協力してくれるんですか？」
ＤＭ「さすがに、ここまでしたら協力してくれますよ。オバイアスはブルス市長に言い含めます。
『スロイト女王の命令で、わしはノルキスタンに協力することになった。ついてはこの船団のうち
五隻を連れて行く。残り五隻でラフネル市を守れ』と。そして、オバイアスは再度出陣の準備を
整え始めました」
エアル「結局、着いてきてくれるんですね」
ＤＭ「それは、もう。さすがの魔術師提督も、君たちには恩があるしね。おっと、しかしオバイア
スはブルスに厳命します。『オーディック船はすぐに廃棄しろ。あれは人が使ってはいけない兵
器じゃった』と」
ダルメ「しかし、その命令を守らなかったブルスによって再度ラフネルは混乱の渦に巻き込ま
れる…オーディック船の前に、抵抗できるものはいなかった…なんてシナリオに次はなるんで
すか？」
ＤＭ「いや、ならない（笑）。それも面白そうだけれど、そろそろ最終回を片づけないとね。ニュ
ースロイト総督アレクサンドロスとの決戦も待っているし」
ダルメ「そういや、そんな奴が相手でしたな」
ＤＭ「おいおい…では数日後、オバイアス提督率いる船団がラフネル市を出発しました。目標
はニュースロイト島。いよいよ、デミヒューマンが人間を駆逐する時がやって来たのです。次
回、ニュースロイト最後の砦、サウス・コースト市を巡った戦いが始まります。では、いよいよ最
終回です。こうご期待！」
（最終回に続く）