![]() GM「では、自己紹介からいこうか」
サタ「うむ。吟遊詩人のサタ・ムルタです。星座はへびつかい座」
一同(笑)
GM「なんでプレイヤー本人と同じ星座になるんだ?」
サタ「しらんわーい!俺が引いたら決まってしまったんじゃい。ええと、性格的には暑苦しい奴
です。人のために生きる、だから、人のことを応援する。元々頭でっかちの性格だったけれど、 旅に出るときに、『俺には何が出来る?そうだ、俺には楽器の知識がある。じゃあ、吟遊詩人 をやろう』ということで吟遊詩人を志す。一応、音程は正確なんだけれど、音楽の中身の方は たいしたことじゃないです」 一同(笑)
サタ「それで、旅の途中で知合った二人、鍛冶屋のエレクを[憎悪]していて、御曹司のアーティ
スの方に強烈な[友情]を感じています」 GM「暑苦しいなぁ」
このゲームは、能力値の代わりにトランプで判定することができる。しかし、使えるカードは自
分の[生き方]のスートしか使えない。サタ・ムルタの場合は[・人のために生きる]なので、使 えるスートはだけである。しかし、サタはアーティスに[友情]を感じ、エレクに[憎悪]を感じて いる。エレク、アーティスの生き方は[・死ぬために生きる]。サタはアーティスとの[友情]に 関する時にスペードのカードを、エレクとの関係で[憎悪]的な行動に出る時にのみ、スペード のカードも使用できるのだ。 アーティス「では、二番手いきます。名前はアーティス・ファーレン。星座は射手座サジタリアス。
立場は御曹司。妹が居るんですが、その妹の旦那にお家を乗っ取られてしまいました。こうな ったら派手に死んでデカイ華を咲かしてやるのが目的」 サタ「おお!その心意気に俺は心打たれた!協力してやろう、アーティスよ!」
アーティス「ちなみにサタと出会った時に、サタが光の魔法を使ってやけに目立っていたので
『俺より目立ちやがって』と、強烈な[嫉妬]を感じました。それ以来からサタに対して嫉妬してい ます。てめえ、しつこいつーの!」 一同(笑)
エレク「ええっと、私は鍛冶屋のエレクです。旅に出た目的は自分の造った武器がどこまで使
えるかってことを試したかっただけです。後はとこでのたれ死のうがどうでも…いい…」 GM「(エレクのキャラシーをのぞき込んで)どうしてエレクはサタを憎悪しているの?」
サタ「俺が最初にエレクに出会った時に『なんて覇気の無い奴だ!許せん!』と怒鳴り付けた
ことが始まりだ。互いに反発し合う関係なんだな」 エレク「サタはうっとおしいんだよね…」
GM「こんな関係ながらも、君たちは一緒に旅を続けているんだね」
サタ「俺はアーティスにくっついているだけ。『まてい、心の友よっ!』(笑)」
アーティス「くそう、いつもいつも俺より目立ちやがって!」
最初からかなりハイテンションな人が約一名。本当に、初めてのテストプレイがこんな調子で
いいのだろうかと思う。 GM「さて、君たちはそんなこんなで一緒に旅をしている。で、君たちは自身でも気付いている
のだが、君たちの残り寿命はもうあまり無いのだよ。だいたいみんな二十日位と思うけれどね」 このゲームにはシビアな[残命数]というものが決められている。ブルフォレのような年単位の
ものではない。なんと日数単位である。キャラクター作成の時にトランプをランダムに四枚引い て、出た数を合計する。その数値が残された日数だ。4〜52日の間になるのだが、だいたい 二十日少しくらいが平均の[残命数]だろう。 GM「このゲームは、残された命を燃やし尽くそうというコンセプトで造られています」
アーティス「たった一ヵ月では英雄譚は残せない。俺の寿命は全然足りない。というわけでサ
タ、お前は俺より生きて、俺の伝説を広めろ」 サタ「安心しろ。お前が生きている間にお前のための歌は必ず作り上げて見せるぞっ!」
アーティス「止めてくれ!当人が生きている間に歌われたら恥ずかしいじゃないか!」
一同(爆笑)
GM「死んでからなら、どんな恥ずかしい歌を歌われてもいいのか?」
エレク「こっちには関係ないもんね…」
サタ「えーい、エレクよ!覇気が足りん!ユサユサ(揺さ振る擬音)」
こうしてヘンテコなキャラ紹介が終わる。しかし、割と手応えとしては上々だ。キャラクターも固
まっているようだし。 そして、いよいよシナリオの本筋に入っていく。
GM「さて、みんなはユプロの村という所に向かっています。人口は五、六百人程度の山間の
村です。村の近くには川が流れていて、途中の水門で、水を村に引いている。こういうことは道 中で聞いてだいたい知っています。さて、みんながこの村に入る少し前から、物凄い土砂降り が降り始めました。みんなは濡れネズミになって、村の宿屋である[銀のひしゃく亭]に辿り着い たわけです」 アーティス「こんな所で足止めを喰っては、貴重な日数が減ってしまう」
サタ「すまんが、宿屋の女将さん。とりあえず、ワインとあったかいシチューをくれ」
GM「では、女将さんが『よくいらっしゃいました』と言ってワインとシチューを出してくれるよ」
アーティス「まったく同じものを頼んで、こっちは優雅に食そう」
エレク「飲み物はないかな?」
GM「女将さんが『何がいいですか?』って聞いてくるよ」
エレク「うーん、そうだな…うーん……………………(沈黙)」
サタ「うおー!エレク、覇気が無い、覇気が!女将さん、エレクにもワインでいいっ!」
GM「じゃあ、そのサタの気迫で(笑)、エレクにもワインが出てきます。そして皆がそれぞれに
暖まっていますと、突然、[銀のひしゃく亭]の入り口の扉がバンと開きます。そして中年の男性 が『女将さん、スマンがちょっと来てくれないか!』と言います。そしてその言葉に女将さんが返 す間もなく、男に女将さんはどんどん連れられていきます」 サタ「むむっ、何か困ったことがあったに違いない!アーティス、すまんがちょっと行ってくる。
待っていてくれ!」 アーティス「くそう!すぐに目立ちたがるからサタは嫌いだ。と、いうわけでワインをガブ飲みだ」
エレク「奴はうっとおしいことにすぐに首を突っ込むからな…」
GM「さて、サタは豪雨の中を飛び出していきました」
サタ「うぉう、雨で前が見えん!(笑)」
GM「どしゃぶりで視界は最悪だが、中年と女将さんが走っていく後姿は見えるよ。そして彼ら
は神殿の中に入っていくようだね」 サタ「何の神殿かの知識はある?」
GM「そうだね、[知識]の能力で判定してみて」
サタ「よし、俺の最高の能力値(サタの知識は5)を見せてやる。(ころころ)よーし、11だ。13
に二つ差だ。すごいや、俺」 13にどれだけ近付いているかが成功の基準となる。11は13に2差だ。かなり高いレベルの
成功といえるだろう。能力の代わりに持っているトランプも能力値の代わりに使える。この場合 も[トランプの数字+D6]が判定方法となる。13にどれだけ近付いているのかが成功の基準 なので、13とかの数字はあまり役に立たないこととなる。 GM「さて、サタは神殿のシンボルマークがひしゃくの形をしており、そのひしゃくに七つの星が
付いているのが解る。これは【北斗七星】ですね。また、ひしゃくがシンボルマークということ は、水に関する神殿ということも解るよ」 サタ「土地神みたいなものかな?とりあえず神殿の中に入ってみよう」
GM「中に入ると、シーンと静まり返っているね。そしてしばらくすると、さっきの宿屋の女将さん
が沈んだ顔でトボトボとサタの方に向かって歩いてくるよ。女将さんは君を見ると『ああ…あん た…さっきの…』と口を開くね」 サタ「女将さん!何か困ったことがあるだろう!俺に話してみろっ!」
GM「女将さんはチラリと視線を上げて君を見つめて『あんたも…背中が煤けているわよ』と意
味深なセリフを言う」 サタ「だぁ!(涙)た、たしかに俺の寿命は薄いが…と、とりあえず、何があったか俺に話してく
れっ」 GM「『あんたに話しても仕方ないと思うけど…この前、巫女になったばかりのリーネって女の
子の寿命が今にも尽きそうなの』」 サタ「む……(苦悩)……ぬぬぅ!どうしようもないので、とりあえず呻き出すぞ」
GM「『だから話してもムダって言ったのよ』」
サタ「何か手はないのかっ!巫女が亡くなったら大事になるのではないのか?」
GM「『う…それは…まさかこのまま雨が降り続くことなんかがあったら…』と女将さんは意味深
な事を言うね」 サタ「詳しく話してくれ」
GM「女将さんが言うにはだね。この村の傍を流れる川の上流に水門があって、その水門は魔
法の力で動くらしいんだ。で、その水門の開閉が出来るのは、この村の神殿の巫女だけなんだ そうだ。長年この水門はアズダという婆さんが管理していたそうだ。その婆さんは先月で引退し て、その職務を弟子のリーネという女の子に譲ったそうだ。そうしたらリーネが病気で倒れてし まったんだ。 この女将さんには、僅かだけれど人の寿命があとどの位か見通せる能力が備わっていて、リ
ーネが助かるかどうかを見極めるために呼ばれたそうなんだ。 女将さんはサタを指差して、『ちなみにあなたの寿命はあと二十四日だわね』という。微妙に
ズレているけれど、概ね当たっているよね」 サタ「むう…こんな時に俺の寿命まで尽きてはいかん!」
GM「女将さんの話では、リーネという子の寿命はあと一週間ももたないんじゃないかっていうこ
とだ」 サタ「ぬう、なんとかならんのかぁ!」
GM「女将さんは『とりあえず…宿屋に帰りましょう…』と君をうながすね」
サタ「そうするしかないか」
女将さんとサタは連れ立って宿屋に帰ってきた。あまり長く他のプレイヤーを放っておくと退
屈するので、場面展開はタイミング良く行なうべし。 GM「アーティスとエレクが飲んだくれている酒場に、ショボンと沈んだ顔の女将さんと、妙に顔
を輝かせてハッスルしているサタが帰ってくるよ」 サタ「濡れネズミのまま宿屋の中をクマみたいにウロウロ歩き回る」
一同(笑)
アーティス「ええい!うっとおしいわ!ドカッ!」
サタ「うぉう、蹴りを入れるとは酷いではないか」
アーティス「蹴りではない。パンチだ」
サタ「どっちにしろ痛いことにはかわらん。しかも御主のパンチは痛いのだから止めろ」
このゲームでは追加ダメージは技量の数値がそのまま来る。アーティスの技量は5。したが
って追加ダメージも5点くることになる。しかし、こんな時にもあまり緊張感の無い一行。 GM「皆がそうやっていると、雨はますます激しくなってくるね。外の風景ももはや見えなくなって
しまっている」 サタ「女将さん、この村の辺りはいつもこんな天気なのか?」
GM「『そんなことはない』と女将さんは言う。村にひしゃくがシンボルの神殿がある通り、この村
は主に農業で生計を立てている。気候も農業に向いていて、農繁期に都合がよい程度に雨が 降って、それ以外は穏やかな天候が続く。こんな、ひしゃくの底を引っ繰り返したような天気は 初めてだそうだよ」 サタ「そう言えばこんな話が…ベベンベンベン♪と三味線を取り出すぞ。『かつて、水の災害で
滅亡した村があったそうな♪ベベンベンベン♪』」 一同(爆笑)
GM「じゃあ、酒場の人たちが大挙してサタに押し寄せて来て『不吉なことを言うな!』とサタを
ボコボコにするぞ」 サタ「うぎゃあ!」
GM「さて、サタがそんな馬鹿な発言で半死半生にされていると、酒場に一人の老人が駆け込
んでくる。女将さんは顔を上げて『あら、村長さん』と言うね。六十くらいに見える村長は『大変 だ!もうすぐ水門が決壊しそうだ。この村一帯が床上浸水…いや、そんなことより、取り入れ直 前の穀物が全部ダメになってしまう』と言うぞ」 サタ「よし、水門だ!水門に向かうぞ。行くぞっ」
いきなりサタは再度一人雨中に飛び出していった。後にポツンと残されたアーティスとエレク
の二人。 アーティス「村長、水門を開閉できる神殿がどうとか、変な吟遊詩人が言っていたんだが…どう
いうことか説明してもらえないか。吟遊詩人の奴は説明の途中でタコ殴りになって、水門に飛 び出して行ってしまったものでな(笑)。水門と神殿は何か関係があるのかね?」 GM「『神殿の巫女だけが水門を開閉できるんじゃよ』」
アーティス「じゃあ、水門を開けてもらえばよいだろう」
GM「『それが、水門を管理する巫女が、明日をも知れぬ病になってしまって…』」
アーティス「治す手段はないのかね?」
GM「『こんな辺境の村じゃ。医者も薬も手に入りにくい。ワシはもう、どうしたらいいのかわから
んのだ…』」 サタ「むむ、とりあえずオレは宿屋に引き返そう。そしてこの緊迫感の中、『おーい、水門はどっ
ちだ?』(笑)」 エレク「なんて馬鹿な奴…知識はあるけれど知恵がないんだな」
サタ「む、むう。しかしここは吟遊詩人として頑張らないと。吟遊詩人の知識の中に、死にかけ
た人間が助かったというものはないかな?知っている物語の中でそういうケースはないだろう か?【学問】で判定してみていい?」 サタの星座はへびつかい座。学問を象徴する星座である。従ってサタは学問に関する判定
の全てに+1の修正を得ることになる。サタの知識は5。これに【学問】スキルの+1修正を入 れて6。従ってサタはD6+6で、どれだけ13に近付けるかの判定を行なうことになる。 アーティス「待った!こっちはサタに対抗しするぞ。サタに負けたくない、自分の知識をひけらか
したいので、カードを使用するぞ。の5で勝負だ!」 ここでアーティスがトランプを使うことになった。アーティスの生き方は[死ぬために生きる]
で、本当はのカードしか使えない。しかしアーティスは[人のために生きる]のサタに嫉妬し ている。今回のケースはサタに[嫉妬]していることになるので、アーティスはのカードを使う ことができるというルール。 サタ「(ころころ)うっ…出目が悪い。でも8だ」
アーティス「ぐっ…7…」
GM「サタが1勝ったね。まあ、二人ともだいたいのアウトラインは解るよ。まあ、巫女や若くして
死ぬ人のケースは、だいたいが他人の呪いや嫉妬から来るものがほとんどとであるというこ と」 サタ「じゃあまた、ベベンベンベン♪『嫉妬や呪いのために巫女は死んだぁ〜』ベベンベンベン
♪」 GM「では、サタの不用意な発言を聞いた村人から、金ならぬ石つぶてが飛んでくるぞ」
サタ「うぎゃあ!なぜだ、なぜオレは石を投げられる」
エレク「自業自得だ、馬鹿者」
アーティス「なんと愚かな男だ」
サタ「な、なんと酷い罵詈雑言。ひょっとして、オレの寿命が短いのは、エレクとアーティスのせ
いか?」 GM「そんな馬鹿を言い続けると、寿命が尽きるまで皆から石をぶつけられるぞ」
サタ「ぐはぁ」
アーティス「まあ、皆さん。こんな馬鹿は放っておきましょう。聞けば巫女の女の子はまだ若い
のだから、我々が頑張れば寿命が伸ばせるかもしれませんよ」 GM「あと、これもサタとアーティスの知識の範囲なんだが、巫女という人種はたいてい長寿が
約束されているそうなんだね。だから短命ということはまずないそうなんだね」 アーティス「取り敢えずその巫女とやらを見て、それから結論を出そう」
そして一行は神殿に向かう。相変わらずサタは一人で突っ走り、その後を女将さんとアーティ
スが。最後尾にエレクを迎えて、一行は神殿に向かうこととなる。 GM「神殿に着いて中に入るとですね、一人のお婆さんが来ています。格好から推測するに、こ
の人が先代の巫女であるアズダ婆さんなんでしょうな」 サタ「では『おお!あんたがアズダという先代の巫女さんか!』」
GM「では、そんな暑苦しいサタに向かって婆さんは『おや、ここにも寿命が短いものが一人…』
と言うぞ」 サタ「ぐはぁ!」
GM「そして、続いて到着したアーティスを見て『おやおや、短命者は更に一人増えた』と。そし
て最後に入ってきたエレクを見て『これでまた増えた』と不吉な言葉を吐くね。『こんなに短命な 人間がたくさん集まるとは、これも何かの巡り合わせかもしれないねぇ』」 アーティス「おい、サタ。この不吉なクソババアは何だ?」
サタ「おそらく先代の巫女さんだろう」
エレク「婆さん、ひょっとして俺達の寿命はあんたより短いのか?」
GM「『うーむ、ワシの寿命はまだ二、三年は残っているわい』」
エレク「ガーン!婆さんより短い…」
GM「『まあ、ワシのことはどうでもいいわい。問題は村じゃ。このままでは水没してしまう。なの
に水門を開けることのできるリーネがこの有様ではどうにもならん』」 アーティス「婆さん、このリーネとやらは呪いにかかっているのでは?」
GM「『ワシの能力ではそこまでわからんよ』」
サタ「伝承とかではそれがパターンなんだが。取り敢えずリーネに会わせてくれ」
GM「『まあ、よかろう』と婆さんの許可を得て、みんなは神殿の一室に招き入れられます。そこ
には寝台があって、一人の女の子がそこに寝かされています。歳の頃は十五歳くらいでしょう か。一見して巫女らしく、化粧もない清楚な顔立ちのままベッドに横たわっています」 サタ「よし、呪いの場合は身体のどこかに変な刻印が出るのがパターンだ。ガバッ!とばかり
に布団を引っ張がすぞ」 エレク「こらぁ!年端もいかぬ少女を剥くな!」
サタ「へへへ、止めないと剥いちゃうぞ」
エレク「じゃあ、止めてやる」
アーティス「私も呆れて止めようとするぞ」
GM「じゃあ、二人がかりで[技量]勝負だ。D6+[技量]で高い方が勝ちだよ」
対抗判定の場合は、13にどれだけ近付いたではなくて、単に数値の大きい方が勝ちとなる。
エレク「[技量]6+出目が4で10!」
アーティス「こっちも[技量]5に出目5で10だ」
サタ「ありゃりゃあ、3だ。でも、内心はホッとしているぞ」
GM「では、二人は素早く少女からサタを引きはがすよ。しかし、僅かにサタの淫猥な中指(笑)
が、少女の胸元のボタンを外しておりました。すると、その首筋のところに、ひしゃくの形をした 七つのホクロが見えます」 サタ「こらぁ!俺より、そこ!その首筋を見るのだ!」
エレク「ただのホクロじゃないの?」
GM「さて、君等がそんな狼藉に及んでいると、先代巫女の婆さんが『こっちを見るのじゃ』とい
って、そのシワだらけの胸元をチラリとはだけさせる。すると、婆さんの首筋にも同じようなホク ロがあるよ」 一同「おえぇ〜!」
サタ「ぐわぁぁ!取りあえず部屋の隅で嘔吐」
エレク「シャムシールを取り出すぞ。『婆さん、天寿を全うしたくはないようだな』」
GM「『うおう、待て!待つのじゃ!説明して聞かせるからその物騒なものをしまえ』」
エレク「ならば、そんな汚いものを見せるなよ」
GM「『まあ、そう怒るな』と君を宥めてから婆さんは話しはじめるよ。この神殿の巫女というの
は、北斗七星、いわゆるひしゃく星に使える巫女だそうな。ひしゃくは水を汲むためのものだか ら、すなはちこの神殿の巫女は水に深く関わってくる。それで、この神殿の巫女には、七つの ひしゃく型のホクロがあることが必要なんだそうな。このホクロは生れ付きでなくてもよくて、刺 青で彫っても十分だそうな。『事実、ワシのは刺青じゃがね』と婆さん」 サタ「リーネもやっぱり刺青を彫ったのかい?」
GM「『リーネには元から刺青があった。まあ、生まれながらの巫女ということじゃ。彫った子は
別にもう一人居る』」 エレク「なぬ?もう一人?それは何者だ?」
GM「アズダ婆さんが言うには、弟子の巫女は二人いたそうだ。一人はこのリーネ、もう一人は
ルフィーという女の子で、婆さんの元で厳しい修業を積んでいたそうだ。しかし、北斗神拳は一 子相伝なので、このリーネが伝承者として選ばれたそうだ」 一同(爆笑)
GM「で、一ヵ月前にアズダ婆さんは敗者のルフィーの方に破門を言い渡して、神殿の巫女にリ
ーネを据えたそうだ」 エレク「そのルフィーはどうした?」
GM「ルフィーは破門されてから、どこかに姿をくらましてしまったそうな。ただ、『村の外れのほ
うで、あの子を見たという者が何人か居るそうだが…』と婆さんは付け加える」 アーティス「この事件にそのルフィーとやらが関連しているのは間違いあるまい」
サタ「水門の方に、何か儀式とかをするような場所とかはないかな?」
GM「水門かい。では、その話が出たついでに説明しておこう。この村を流れる川には水門は
二つある。下流の村近くの水門と、上流の湖の水門だ。水門が二つあるのは、水の調整がし やすい為だ。で、下の水門は村の管理人が管理していて、人力でも開けられる。通常はこちら の水門一機だけで十分だそうだ。しかし、今は上の水門の方にも水が貯まっている。この上の 水門を開閉できるのがこの神殿の巫女だけで、水門を開くには巫女の祈りが必要という話だ がね」 エレク「なんともならんな」
サタ「では、水門の周囲を探せば、きっとルフィーが居るに違いない。これはきっと彼女の仕業
だ」 エレク「婆さんは代わりに水門を開けられないのか?」
GM「婆さんは巫女としての能力が相当落ちてしまっていて、もう開閉には自信がないそうだ」
エレク「年には勝てないから引退したのだな」
サタ「皆の衆、とりあえず俺は下の水門付近に行ってみるぞ。ちょうどこの辺りは村外れだか
ら、ルフィーとやらを見つけることができるかも」 アーティス「水門の付近には何か建物はないの?」
GM「下の水門を管理する管理人のための管理小屋があるよ」
アーティス「まずはその管理小屋から当たってみよう」
エレク「俺は村に残って、情報収集をしよう」
ここでパーティー(と言えるシロモノかはわからんが)は二つに分割される。サタとアーティスの
コンビは水門へ。エレクは村で情報収集を行なうことになった。そして、アーティスとサタはどし ゃぶりの中に再度飛び出して行く。 GM「さて、ヘンテコな二人組は、どしゃぶりの雨の中、水門小屋に近付いた。今はまだ水門は
閉まっているらしく、川の水位はさほど上がっていないね。そして川にまたがるような形で、大き な水門が見えてくる。その水門の近くの川の畔で、一人の労務者風の男が、ランタン片手に傘 をさしながら、誰がもう一人の人と話しているのが見える」 サタ「『おーい、御主らぁ』とばかりにそこに突っ込んでいこう」
GM「じゃあ、その小さい小柄な方の影が、驚いて逃げ去っていくぞ」
アーティス「ええい、余計なことを。サタを押し退けてその影の後を追うぞ」
GM「じゃあ、[技量]で判定してみて」
アーティス「これはこの依頼の【信用】につながる。【信用】の技能を使わせてくれ」
GM「じゃあ、ダイス目に+1していいよ」
アーティス「(ころころ)うっ…技量5に出目が2で合計は7」
サタ「こらぁ!御主、やる気あるのか!」
GM「小さな影は雨の中をバシャバシャと駆けていくけれど、アーティスはどうやらその姿を見失
ったようだ。そしてアーティスは【感性】で判定してくれ」 アーティス「ここは一つ、カードを使おう。よし、の8で勝負だ。(ころころ)よし、合計で10!」
GM「では、アーティスは、影の後ろ姿やチラリと見えた顔立ちが、神殿で見たリーネにどこか
似ているような気がするぞ」 サタ「あっ、しまった。ルフィーの容姿を聞くのを忘れていた」
アーティス「取り敢えずサタの所に戻って、『残念だが見失ってしまった。おそらくあれがルフィ
ーだと思う』と言おう」 サタ「よし、ここはもう一人の影に話し掛けよう。『おい、御主は何者だ』」
GM「じゃあ、彼はここの水門の管理人のドーンズと名乗るよ。三十少し過ぎの中年がかった
男だね」 サタ「おい、ドーンズ。御主が今さっき話していた相手は誰だ?」
GM「『ああ…あれは巫女リーネの妹のステアだぜ』」
サタ「ステア?ルフィーじゃないのか?」
GM「『ルフィー?いや、違うね』」
アーティス「ではドーンズさん、あなたはいったい何をステアと話し合っていたのですか」
GM「『なんでもリーネの容体が悪くて、もう危ないという話をしていたのだ。可哀相なもんだ。あ
んな若さで死んでしまうなんてよ』」 サタ「まったくだ。こっちも他人事じゃねえから…。ところで、本当にそんなことを話していたの
か?」 GM「『そうだよ。なんでだ?』」
サタ「じゃあ、なんでステアは突然逃げ出したりしたんだ?」
GM「『さあな。たぶん、姉さんのことが心配なんだろうよ』」
アーティス「村の方にでも行ったか?巻かれた当人が言うセリフではないとは承知しているが
(笑)」 サタ「アーティス、心配するな。間違いは誰にでもある。ふふふ、俺は責めないぞ。御主が頑張
った事は、この俺がいちばん良く解っている!」 アーティス「うお〜暑苦しい」
サタ「これも友情だ!」
GM「さて、この辺で舞台を一度村に移すよ。さて、残ったエレクは聞き込みをするのだが、ど
のようにして聞き込みをする?」 エレク「いなくなったルフィーをどの辺りで見たかを聞き込む。まずは酒場の中で聞いて、もしめ
ぼしい情報がなかったら、商店街みたいな場所に出向く」 GM「じゃあ、まずは酒場で聞きます。今居る[銀のひしゃく亭]でいいかな?」
エレク「いいよ」
GM「では、[感性]で振ってみて」
エレク「(ころころ)ぐはぁ、たった3」
GM「13には10差か。じゃあ、[銀のひしゃく亭]の人は『ルフィーは確かにいなくなった』という
程度くらいしか答えてくれない」 エレク「誰かルフィーを見かけた人はいない?」
GM「じゃあ、もう一度[感性]で判定して」
エレク「(ころころ)おっ、6が出た。合計で8だ」
GM「5差ね。なら、『おう、俺は見たよ』という名乗りがあがるね。『二週間前、水門近くの管理
人小屋付近をブラブラと歩いているのを見たよ』だそうな」 エレク「巫女が変わったのは何時だったけ?」
GM「一月前だよ」
エレク「ルフィーを見た奴は何か彼女に話し掛けたのか?」
GM「『いいや、落ち込んでいるのが可哀相になって、そっとしておいたよ。巫女の後継者争い
に負けたのは気の毒だったからね。まあ、自殺はしないように見張ってはおいたけれどさ』」 エレク「あーあ、何もしないなんてもったいない。落ち込んでいるところを口説けば、あっさりと
ルフィーを自分のものに出来たかもしれないのに」 一同(爆笑)
サタ「こらぁ、そこ!不謹慎だぞぅ!」
GM「その男は『いやぁ、残念だが俺は妻子持ちなんだ』と弁解する」
サタ「だいたい、リーネと一緒に修業したってことは、ルフィーもまだ十五歳くらいじゃないの?」
GM「そうだね。同じくらいの年頃だ」
エレク「他にルフィーを見た人はいないのかな?『もっと最近の方で見た人はいない?』と聞い
てみよう」 GM「他にはいないようだぞ」
エレク「なら、他に人の集まりそうな所に行ってみよう」
GM「この状況で人がいそうな所といえば村長の家くらいだね。[水害対策委員会]が設置され
ているよ」 エレク「なら、レッツゴー、村長の家」
GM「エレクが雨のなか村長の家に出向くと、入り口にの扉には[水害対策委員会]の紙が張り
付けられているぞ」 エレク「うわっ、こんな時に看板を掲げているよ(笑)」
GM「で、村長の家の屋外倉庫みたいな所に村の主要な連中が集まっているね。村長は『案ず
るな、村の衆』とか言って皆を落ち着かせようとするが、村の衆からは『この状況で何が案ずる なだ』という冷静な突っ込みが返ってきている。こんな調子では次の村長選挙も危ない予感で す(笑)」 エレク「あのー、すいません。ちょっと聞きたいんですが」
GM「では、村長と村人がピリピリした声で『なんじゃい?』とばかりに一斉にエレクを見る」
エレク「あのう、巫女の後継選びに[落選]したルフィーという女の子のことを聞きたいんです
が」 GM「では、村長が『落選というなぁ!』と暴れだす」
一同(爆笑)
GM「さて、そんな村長は放っておくことにして、エレクはちょっと[感性]でチェックしてみてよ」
エレク「(ころころ)8だ。13には5差」
GM「では、君の言葉を聞いた村の男が数人『ルフィーなら見たぞ』と手を挙げてくれる。二週
間前に水門の所で、リーネの妹のステアと会っている所を見たそうだぞ。そこには水門の管理 人のドーンズも一緒にいたそうだ」 エレク「つい最近で見たという人はいない?」
GM「最近では全然いないそうだ」
エレク「これは怪しいぞ…誰もルフィーを見ていないのか。ルフィーがどこに住んでいるのかと
いうことは、村の人たちは知らないのかな?」 GM「巫女さんたちは普通は神殿で暮らしているよ」
エレク「でも、ルフィーって子は破門されたから神殿には住めないはずでしょう?」
GM「実家はあるよ。それにこの場にはルフィーのお父さんも一緒に来ているよ」
エレク「なんだ、話は早い。ならそのお父さんに『娘さんはどうしてますか』と聞いてみよう」
GM「お父さんが言うには、娘とは七歳の時に修業に出してから疎遠になっていて、一緒に暮ら
したことはほとんどないそうだ。また、巫女の試験に落選した時には、なるべくそっとしてあげよ うと思って、気が済むまで放っておいたそうだ。だから、帰ってこないのはまだ落ち込んでいる 証拠だと考えているそうな」 エレク「それ、ボケじゃなくてマジ?」
GM「かなりマジメっぽい」
エレク「このバカ親父!!」
GM「いやいや、この世界で十五歳はもう大人みたいなものだから。さて、そう言っている間に
この場にいるダメな大人達は『もう、ダメだぁ!』と情けない調子で全員頭を押さえている」 エレク「本当にダメな大人だ」
さて、そんな調子で二方での聞き込みが終わり、サタとアーティスは再度巫女の神殿に行くこ
とにした。エレクも村長の家を出て神殿に向かうことにする。そんな中、あれほどどしゃぶりに 降っていた雨がピタリと止まってしまう。 サタ「よし、雨も止んだから神殿に行くぞ。ベベンベンベン♪とばかりに演奏だ」
GM「なぜ演奏しながら歩く」
サタ「それは俺が吟遊詩人だから、ベベンベンベン♪」
エレク「うわっ、馬鹿が神殿に移動中だ」
アーティス「なんなんだ、お前等。おっ、エレク殿、収穫はあったか?」
エレク「(まともな奴に出会って一息つきながら)どうもルフィーという女の子は二週間前までは
水門付近で見たらしいぞ」 アーティス「むむ、ならばもっと水門の管理人を問い詰めるべきだったか。ところで、私たちは
巫女の容体を確かめに来たのだが、猪突猛進のサタはもう神殿の中に入ってしまったのか な?」 エレク「私たちもリーネの容体を確かめよう」
GM「さて、三人がそうやってドタドタと神殿の一室に入ると、寝ているリーネの横にいたアズダ
婆さんが君等を怒鳴り付けるよ。『なんじゃ、お前等、病人の部屋で騒々しいぞ!』」 サタ「空は晴れ上がったのに、リーネは相変わらず病気なのか?」
GM「するとアズダ婆さんは空を見上げて『むむ、この空はおかしいぞ』という」
サタ「俺も空を見よう。知識でいいかな?たぶん天文学とかが含まれていると思うし」
アーティス「よし!サタにいい格好はさせておれん!私も対抗するぞ。10のカードで勝負だ」
サタ「うっしゃあ!かかってこい!こっちもカードで勝負だ!数値は11。頼む、2が出てくれ!」
13が出るとクリティカル成功の上に寿命が一日伸びる。かなりおいしい条件なので、二人と
も必死でサイコロを振る。しかしサタの数値は14。アーティスは12。両方とも1多すぎたり少な かったり… GM「13に1差なら二人ともわかるよ。この晴れ間というのは、呪いの切れ間みたいなものだ。
要するに、台風の目のようなもので、一瞬の晴れ間という奴だ」 エレク「解決したわけじゃないんだな」
GM「そうということ。そして、空を見上げると、闇空に煌々と北斗七星が輝いています」
エレク「おお、あんな所に死兆星が…」
GM「おお、エレクはおもしろい所に気が付いたね。試しに[感性]で判定してみて」
エレク「(ころころ)6だな」
GM「では、エレクは、死兆星の隣の星が無くなっていることに気づくぞ。北斗七星の星が一個
足りない」 エレク「足りない…」
サタ「何が?」
エレク「お前の頭の中身!と北斗七星の星」
一同(爆笑)
サタ「く…くそう…」
GM「北斗七星のこの星は片方をミザール、もう一つをアルコルと言ってね。アルコルの方が俗
に言う死兆星だ。もちろん、死が近い君たちには死兆星ははっきりと見える。しかし、その隣の 星であるミザールが見えなくなっている」 サタ「そのミザールの星とは何?」
GM「アズダ婆さんがそのことについて話してくれる。『ミザールの星の象徴は[残された命]じ
ゃ。そして、そこに寝ているリーネの守護星でもあるのじゃ』」 サタ「リ、リーネの容体は?」
GM「ものすごく悪い。もう、ほとんど危篤状態。このままお星さまになってしまいそうです」
アーティス「おい、馬鹿な事をやっている場合ではない。なんとか手を打たねばならん」
サタ「しかし、ルフィーという女の子がどこに居るかわからんし」
エレク「水門の管理人が臭いぞ。なんかグルのような気がする。取り敢えず、そこから調査しな
いと」 サタ「よし、水門に向かうぞ。ベベンベンベン♪ベベンベンベン♪」
エレク「うわっ、こっちも馬鹿を追って水門に向かうぞ」
派手な音を出す変な一行。そしてあっという間に晴れた闇空の下、水門へ到着する。
GM「水門は森のなかに立っています。水門の手前の森のなかの道で、一人の女の子がぼん
やりと空を見上げています」 サタ「リーネに似ている?」
GM「そうだね、そんな感じだ」
サタ「では、その子に近付いて、俺のすばらしいサウンドを…」
エレク「サタの馬鹿をフッ飛ばしてその子に近付く」
サタ「ならば、ゴロゴロと地面を転がってその子の前に登場だ」
GM「『何、あんた達?』と汚いものを見るような目付きで見られるぞ」
サタ「『御主がステアか?ルフィーはどこにいる?』」
GM「『し、知らないわ』と言ってステアの顔色が変わったぞ」
サタ「その態度…信用ならんね。しかも、こんな所でいったい何をしていたんだ?御主の姉さん
の命が危ないんだぞ」 GM「『いまさら騒いでもどうにもならないわ』」
サタ「家族だろうが」
GM「『いちいちうるさいわね。私のことは放っておいてよ!』と言い捨ててステアは歩きだすよ」
アーティス「では、そこに登場して、ステアを押し止める。『そこの女、さっきは何で逃げた?』」
エレク「ルフィーをどこに隠した?」
GM「すると、ステアの顔色がサッと変わる」
エレク「隠し事には向かないタイプだな」
GM「なんやかんや言っても、この女の子はまだ十四歳の小娘なんですよ」
この後、エレクによる厳しい尋問タイムが始まる。
エレク「ここまで言っても白状としなということは、お前がルフィーを殺したんだな」
アーティス「物凄い断定だ。でも、そんな気もする」
サタ「エレク、女の子をいじめるのはよせ!」
GM「では、そこでエレクはちょっと[感性]で判定してくれ」
エレク「ここはカードだ。とっておきの12を使って…(ころころ)15で三差」
GM「では、エレクは、ステアが今の会話の隙を狙って、水門小屋の方をチラリと盗み見たのを
悟ったぞ」 エレク「ふふふ、笑いをうかべながら水門小屋へと向かおう」
アーティス「よし、この小娘を連れて俺も水門小屋へ向かうぞ」
GM「ステアは暴れるけれど、男の力には抵抗できない。君たちにつれられて水門小屋に連れ
られる」 エレク「ドアをノックして『おーい』と声をかける」
GM「では、水門小屋のドアがカチャリと開いて、酒臭い息を吐きながら、管理人のドーンズが
出てくるね」 エレク「なら、『全てはこの女の子が喋ってくれたぞ』とカマをかけるぞ」
GM「するとドーンズの顔色が変わって『ステア、てめえ、喋ったな!』と怒鳴り散らす」
アーティス「よし、素早くステアの口を塞いで弁解できないようにするぞ。そして『全ては聞いた。
今度はお前が知っていることを喋ってもらおうか』と威圧する」 GM「ドーンズはこれが罠とは気づいていない様子だ。奴は酒ビンを口に運びながら『いや…俺
はどうでもよかったんだが、ステアの奴が、こんな村は潰してしまいたいと言っていたんでな。ち ょいとリーネの飲み物に毒をね。ところが、ルフィーの奴は毒の回りが遅くてな…へへへ』」 アーティス「ルフィーはどうした?」
GM「『会いたいか、けけけ』」
アーティス「会わせてもらおうか」
GM「では、ドーンスは水門小屋の内部に君たちを招き入れる。そして部屋にある粗末なベッド
をずらすと、下に降りる階段が現れたぞ」 サタ「おっと、地下に降りる前にランタンに点火だ。こんな所で俺の魔法は使えない」
エレク「使えよ。光っておきなって。得意技だろう?」
サタ「嫌だぁ!」
サタの持っている魔法は四分の間、自分を光らせる魔法である。しかしこのゲーム、魔法を
一回使うと自身の寿命も一日縮んでしまうのだ。 アーティス「では、下に降りるぞ。おっと、その前にドーンズにレイピアを突き付けて、『案内を頼
もうか』」 GM「ドーンズは『案内だけは勘弁してくれ。下には番犬代わりとして巨大なワニを飼っているん
だ。狂暴だから、俺は行きたくないんだぁ』」 アーティス「ふん、見ていろ、このレイピアの錆にしてやる」
GM「下の地下室に行くと、女の子が部屋の端に鎖で繋がれているよ。女の子は眼を閉じてぐ
ったりとしているぞ。そして部屋の地面を、一匹の巨大なワニがウロウロしているね」 サタ「うわぁ!アーティス!早く来てワニを退治してくれぇ」
GM「ワニは地下室につっこんできたサタを見ると襲いかかってくるね。では、戦闘だ」
死闘が続くが、ワニは強くてなかなか撃破できない。サタはワニを突破してルフィーの所へ向
かおうとするが、ワニに尻を噛まれて大怪我をする。 サタ「アーティス、なんとかしてくれ!」
アーティス「むう、仕方がない。ここは『我が身よ舞い上がれ』の呪文でワニの注意を引こう」
アーティスの持つ呪文は自身を四分間浮遊させることができる呪文。当然寿命を一日使うの
だが、アーティスはここがその使い所と見たようだ。作戦は図に当たり、アーティスとワニの激 闘の間にサタはルフィーに駆け寄る。 サタ「では、ルフィーをゆさぶって『おい、しっかりしろ』」
GM「では、彼女は眼を覚まして『あ、貴方たちは…いったい?』」
サタ「心配するな、御主を助けにきた正義の吟遊詩人だ」
GM「なんか胡散臭いな。まあ、でも、ルフィーはその言葉に一応安心はする。そして、ふと思
い出したように『リーネは、リーネはどうなったの?』」 アーティス「危篤で、今はかなり危険な状態だ。毒を飲まされたと聞いたが、解毒剤はないの
か?」 GM「解毒剤…知っているけれど…それにはヒドラを倒さないと…」
エレク「なんだかいやな予感が…」
サタ「どういうことか話してみろ」
GM「では、少し長いが、ルフィーは色々と話しだすよ。この事件の発端は、リーネの妹のステ
アが姉を【嫉妬】し、村を【憎悪】したことから始まったんだ。姉が巫女として尊敬されていること に嫉妬したステアは、姉を殺して村を滅ぼそうという恐ろしい考えに突き当たったんだ。そんな 彼女の前に、丁度巫女の後継者争いに脱落したルフィーが現れた。ルフィーも破門されたとは いえ巫女なので、水に関係する様々な魔法の力を使うことができる。破門されて落ち込んでい た所をうまく利用されて、ルフィーは上の水門に、邪悪な毒蛇のヒドラを呼び出してしまったん だ」 アーティス「エレクのメチャクチャな発言も満更嘘ではなかったというわけか」
GM「そしてステアはそのヒドラから毒を採取すると、水門番のドーンズを色仕掛けで誘惑して、
自身の手足にしたんだ。まずはリーネにヒドラの毒を飲ませて重体に陥らせる。邪悪な水の支 配者であるヒドラの毒は、水の巫女にとってはひとたまりもない。たちまちリーネは危篤になっ てしまう。ステアはルフィーも毒殺しようとして毒を飲ませたけれど、こっちは本物の巫女じゃな いから、ヒドラの毒の利きが悪くて、結局殺せなかった。仕方がないのでドーンズを利用して、 ルフィーを水門小屋に幽閉したというわけだ」 エレク「少女を誘拐、拉致監禁」
GM「そうなんだ。しかもドーンズはたった十四歳のステアにすっかり参っていて、なんでも言う
ことを聞いてしまったんだ。こいつは三十男なのに、そんな少女の色香に参ってしまったんだ」 エレク「うわっ、三十男と十四の少女…完璧にロリコンだよ」
GM「そう、完全にロリコンだね。で、ヒドラというのは水の邪悪な神なので、雨を降らせる能力
がある。奴は上流の水門近くに潜むと、雨を降らせ始めた。この雨はヒドラのせいだ。また、困 ったことに、ヒドラの毒を消すためには、奴の血を飲まないと治らないのだ」 エレク「よし、ではステアとドーンズを縛って地下室に放りこもう。『そこでよろしくやってな、ヘヘ
ン!』」 GM「ひどい言い草だね。まあ、縛って放りこむのは簡単に出来るね。それはそうと、ルフィー
が『早くヒドラを倒さないと、ルフィーの命が…』と焦りの表情で言うよ」 アーティス「『ルフィー、あんたは巫女の修業をしたことがあると言うが、水門を開けることはで
きるのか?』」 GM「それは『なんとか出来ると思います』と言う」
アーティス「よし、ならばあんたも我々と一緒に来てくれ。戦闘は我々が引き受けよう」
サタ「アーティスがなんとかしてくれるぞ。ちなみに、ヒドラって強いの?」
GM「激、強い!」
サタ「ならばまた歌を歌おう。『ヒドラは強すぎて英雄は勝てなかった』ベンベン♪」
一同「不吉だぁ!」
時折わけのわからないギャグを入れながら、一行はルフィーと共に水門に向かうことにする。
取り敢えず、ドーンズとステアは縛ってこの水門小屋の地下室に監禁することに。 GM「川の上流へ向かう道を君たちは歩いています。また、ポツポツと雨が降り始めました。空
もすっかり曇っています」 アーティス「まずいな、急ごう」
GM「ここで時刻は夜半、十二時を回りました。一日経過したので、皆は残命数から一日を削っ
てください」 一同「ひいぃぃ!」
このゲームの残命数はゲーム中の時間の経過でも減る。だから[隣町まで三日]の距離を移
動して三日経ってしまったら、本当に残命数が三日減るのである。だから、あまりグズグズして 時間を潰すことは、キャラクターの残りの人生を減らすことにもなる。 GM「さて、皆は森の中の道を歩いて上の水門に繋がる道を進んでいます。何時間か歩いてい
くと、水門が見え始めました。川の上に跨がる形で、石作りの水門が立っています。その水門 の上に、頭が四つの巨大な蛇が陣取っています」 サタ「俺が魔法で光ってみたら、ヒドラをおびき寄せられるかな?」
エレク「取り敢えず、光ってみたら?」
サタ「取り敢えずじゃ済まないわい!魔法を使うと寿命が一日減るのに。御主ら、俺の命を何
だと思っているんだ」 エレク「不必要なもの」
サタ「がはっ!」
アーティス「あと二十二回使えるからいいだろう」
サタ「嫌だぁ!」
アーティス「でも、ヒドラを引き付けないことには。大丈夫だ。失敗したらなんとかするから」
サタ「くく…仕方がない。やってやるぜ!」
GM「ルフィーが『ヒドラさえいなくなれば、私が水門を開けますが、大丈夫ですか?』とサタの顔
を覗き込む」 サタ「たぶん、大丈夫。もしヒドラをおびき寄せられたら、村の衆を呼んで、一緒に戦えばいい
のだ」 GM「言っておくが、一般人の能力なんかオール1だぜ。君たちは星に見込まれた人たちだか
ら、英雄的な力を発揮できるのだぞ」 サタ「その代わり寿命が減るのね。いいや、こうなったら英雄として名を挙げるぞ」
アーティス「おっと、サタだけに名を為さしめるのは許さないぞ」
こんな時にもライバル意識を剥出しにする二人。ロールプレイとしてはなかなかいい感じであ
る。 サタ「よし、魔法で光るぞ。ピカァ」
GM「すると、ヒドラはその光に向かって、ズルズルとサタの方へにじり寄ってくるぞ」
サタ「『ふふ、ヒドラめ。御主の運命はここまでだっ!』と叫んで逃走する」
一同(爆笑)
アーティス「よし、ヒドラを退治すれば私の名も上がるぞ!サタだけ目立つのは許さん!」
こうしてヒドラとの死闘が開始される。ヒドラは頭が四つあるので、攻撃は二回してくる。前衛
に立って果敢に攻撃を続けるアーティスは大ダメージを受ける。ほとんど瀕死になりながらも、 ここはアーティスの【技量値】5が効いて、ヒドラは大ダメージを受ける。しかしエレクは【技量】6 にも関わらず攻撃は命中しない。仕方なく、【技量】2のサタも突っ込むが、ヒドラの攻撃力に翻 弄される一行。そしてエレクにヒドラのダメージ10点が命中し、一行は瀕死に陥る。 エレク「もうボロボロだ」
サタ「ええい、このままではいかんともしがたい。役に立たないカードはいっぱいあるのに。G
M、質問するけれど、ルフィーの【生き方】は何?」 GM「ルフィーはで【生きるために生きる】だね。だから、絶対に自殺なんかしないタイプの女
の子だ」 サタ「たしかに、しっかりしているもんなぁ…むむ…もうこっちも大ピンチだ。ここは【愛情】の蘭
にルフィーの名前を書き込むぞ」 このゲームでは、残り命数を一日削れば、いつでも【人間関係】の蘭に他のキャラクター名を
書き込むことができる。サタは【愛情】の蘭にルフィーの名前を書き込むことで、ルフィーのため に戦うことにした。この場合、サタが今まで持っていなかったのカードが、ルフィーとの愛情の ために使用できることになる。愛とは打算で生まれることもあるのだ(笑)。 サタ「むう…ルフィーを、あの可憐な娘を悲しませるわけにはいかん。俺はルフィーのために戦
うぞ」 アーティス「ええい、さっさと止めを差さないと他の奴に功績を取られる…命中してダメージは9
点」 GM「ヒドラはまだ生きている」
アーティス「ぐう…」
サタ「よし、ルフィーのために攻撃だ。カード13で攻撃!命中でダメージは五点!」
この後、ルフィーのために戦うサタの奮闘により、戦況は次第に好転。この後、アーティスが
最大ダメージ11点を叩きだし、その後にサタが奇跡の8点を叩きだして、ヒドラは撃沈された。 サタ「ヒドラ討ち取ったりぃ」
アーティス「くそう、おいしい所を取りおって!後から殴ってやる!」
サタ「勝ちは勝ち」
GM「ヒドラを倒すと、今まで隠れていたルフィーが姿を見せるね。彼女は眼を閉じて、両手を
水門の方に突き出す。すると水門の堰が開いて、溢れそうになっていた水が、丁度いい流れ 具合で川に注ぎ込まれるよ。そしてルフィーさんが『解毒剤となるヒドラの血を取ってください』」 アーティス「なら、レイピアでスパッと斬って血を集めよう」
水門も開けて解毒剤も手に入れ、やがて空には晴れ間が戻ってきた。ヒドラの血を集めて一
行は村を目指す。気分も晴れ晴れで、全ては解決した…かに見えた。しかし、この後一行は 色々な策略を巡らせることになる。それはもう、GMを驚かせるに十分なものだった。 GM「さて、君たちは神殿に帰ってきた。帰ってくると、アズダ婆さんが『ああ、もうリーネの命が
消えてしまう』と嘆いている」 サタ「心配無用だ。希望の光を持ってきたぞ」
エレク「我々は解毒剤を手に入れてきた」
アーティス「これを飲めばリーネは治る」
GM「アズダ婆さんは『げ、解毒剤?』と絶句するよ。信じられないという風に君たちの顔を見回
しているね」 サタ「こいつはヒドラの生き血だ!よく効くぞ」
アーティス「いいから、さっさと飲ませろ」
GM「では、アーティスの気迫に押されながら、婆さんはその生き血をリーネに飲ませるね。す
ると、今まで荒かった呼吸の具合は次第に静かになっていくよ。そして、天空で何かが光った ような気がする」 アーティス「何だ?」
GM「そして、アズダ婆さんが神殿の窓から身を乗り出して言う。『ミザールの星が…リーネの
守護星がまた輝きだしたぞい』だって」 エレク「うう、俺達にはまだ死兆星がはっきりと見えているのに(涙)」
こうして巫女リーネの命を救うことには成功した。しかし、まだ事件は解決していない。事後処
理がまだ終わっていないからだ。この後、アーティスはすごい嘘でこの事件を丸め込もうとす る。御曹司よ、そんなに少女が好き(笑)か? GM「リーネの病状も落ち着いて一段落すると、アズダ婆さんが『この事件は結局なんだったの
か?』と聞いてくるぞ」 アーティス「うむ、ドーンズという水門小屋の番人が犯人だ。奴がステアとルフィーを拉致監禁し
て、ルフィーを脅してヒドラを召喚させ、この村を水の底に沈めようとしたのだ」 サタ「うわっ、すごい嘘八百」
アーティス「ドーンズは自分が水門の番人であることに飽き飽きしていた。その逆恨みから村を
沈めようとしたのだ。ヒドラの毒を使ってリーネを毒殺しようとしたのもドーンズだ。奴は我々で 成敗した」 GM「じゃあ、そのもっともらしい(笑)説明に、アズダ婆さんは納得したようだ。そして『わしから
も村長に話しておこう』とすっかり誤魔化された様子」 アーティス「なら、ドーンズとステアを片付けるために水門小屋に行こう」
こうして、全ての責任をドーンズに押しつけた一行。かなり非人道的な行いだが、どうやらア
ーティスの中ではかなりの女贔屓があるらしい。本当はステアが悪の元凶なのに。そして、全 ての黒幕にさせられてしまった気の毒なドーンズ。 GM「皆が水門小屋の地下室に降りると、そこでは醜い言い争いが始まっているよ。縛られた
ままの体制で、ステアがドーンズを一方的に罵倒しているね。『失敗は全てあんたのせいよ。だ らしない骨無し男』とか無茶苦茶なことを言っている」 サタ「おい、御主等。争いはやめるのだな。取り敢えずこの一見は片付いたぞ。ヒドラは倒した
し、リーネも助かった」 エレク「そしてドーンズ、お前が黒幕ということで全てが決着した」
GM「ドーンズが『なにぃ、なぜ俺だけがぁ!』と絶叫するぞ」
アーティス「そんなことは分かり切ったことだ。たった十四の少女がこれだけの計画を立てられ
るわけがない。全ての黒幕は三十男のお前だ」 エレク「ステアは全部、ドーンズに脅されていたことになっている」
GM「『て、てめえら…こ、殺してやる』とドーンズは体をワナワナと震わせるね」
アーティス「よし、ここで奴の縄を解いて自由にしてやる」
GM「自由にするの?すると、奴は縄を振りほどいて、ポケットから短刀を取り出すぞ。今にも
切り掛かってきそうな勢いだ」 サタ「ドーンズがステアを刺そうとしたら、俺が割り込むぞ」
GM「サタの予想通り、ドーンズはステアを刺そうとするぞ」
サタ「なら、ステアをかばおう」
アーティス「おっと、その前にドーンズをレイピアで始末してやる。(ころころ)技量の判定は
9!」 エレク「俺もドーンズに切り掛かろう。(ころころ)10だね」
GM「極悪非道だな。もちろん、そんなものはドーンズはかわせない。アーティスのレイピアとエ
レクのシャムシールで切り刻まれ、ドーンズはバッタリと倒れるね。そして『くそ…悪いのは俺だ けじゃねぇのに…覚えておけ。お前たちも男である以上、きっと女にたぶらかされるんだぜ…』 という言葉を残して絶命するぞ」 アーティス「ふん、騙されるだけの時間が俺に残っていればな」
最後は格好いいセリフで終わらせたアーティス。しかし、つくづくドーンズは可哀相な男だ。
GM「ステアは君たちに向かって『どうしてあたしを助けたの?』と聞いてくるよ」
アーティス「『お前が犯人として死んだら、リーネは悲しむからな』」
エレク「いったい、姉さんの何が気に食わないのかな?」
GM「『巫女になって、周囲からちやほやされているのが気に食わなかったのよ』」
サタ「『ステア、お前にも優しくしてくれた人がいるのではないか?』」
GM「サタの言葉を聞いて、ステアはじっと考えているよ」
アーティス「『お前の人を憎みたい気持ちはわかる。しかし、それで人殺しをしていいという話は
ない。何かここは一つ努力して、姉さんを見返してやるんだな』」 頑張ってステアを説得する一行。しかし、ならばドーンズは殺されてもよかったのでしょうかし
ら? GM「では、ここで[意志]で説得判定をしてください」
アーティス「私はこのステアに【友情】を感じて、人間関係にその名前を書き込むぞ」
GM「いいよ。ちなみにステアのスートはだ」
アーティス「では、その直後にのカードで判定。11!」
GM「すると、彼女はじっとアーティスの顔を見つめて、『一人にさせて…頼むから追わないで』
と言うね」 アーティス「なら、その通りにするしかない」
GM「ステアはヨロヨロとした足取りで小屋の外に出た。そして、危なっかしい足取りで森の中の
小道を歩いていくね。その後ろ姿はだんだんと小さくなってくよ」 エレク「うーん、何か心配だ。俺は彼女の後を付けてみよう」
GM「なら、[技量]でチェックして」
エレク「(ころころ)11だ」
アーティス「ふふっ、こんな時に私の魔法がある。空を飛んで、彼女を見守ろう」
サタ「よーし、俺も彼女を付けるぞ。(ころころ)8だ!」
GM「では、皆はステアに見つからずにその後を付けられるよ。ステアは森の中の、他の町に
繋がっている道をゆっくり歩いているね。それで、故郷であるユプロの村が見えなくなりそうな 場所に来ると、懐から紙とペンを取り出して、何やら一筆を書いて、石で重しをして置き手紙を するね。そしてまた、ゆっくりと街道を歩いていき、その姿は次第に小さくなっていくよ」 サタ「ドタドタと手紙の所に行ってみよう。取り敢えず、手紙を拝見」
GM「手紙を開けると、簡単だけれど、『思うところあって、しばらく旅に出ます。でも、いつか必
ず帰ってきますから心配しないで』という文面が書かれていますね」 サタ「ステアは旅に出るのか…大丈夫かな?」
アーティス「それは彼女自身の問題だ。そこまで私たちが関与することもあるまい…」
サタ「そうだな…うーむ、とりあえず、我々はどうしよう?」
アーティス「お姉さんにこの手紙を渡して速攻で追い掛けようか?」
サタ「そうだね、そうしよう」
何か、ドラマチックな展開を考え始める人たち。そしてその目論み通り、一行はステアの置き
手紙を持って村に帰る。たぶん、このような展開がしたかったんだろうな。つまり、ドーンズは格 好いいエンディングのために犠牲になったわけだ。 GM「ステアの手紙を持って君たちは村に帰った。既にドーンズの死体は水門小屋から引き出
されている。アーティスがアズダ婆さんに語ったことが効を制して、事件の犯人は全てドーンズ になってしまっているよ」 エレク「こいつが全て悪いんです!こいつが年端もいかない少女を脅迫して!」
アーティス「村長、申し訳ない、いくら犯罪者とはいえ、村の人を殺めてしまった。この責任は甘
んじて受けよう」 ものすごい嘘とはこのことである。アーティスは嘘つき御曹司である。
GM「村長はそのことには気にないでくれと言うよ。『どうせこいつは死刑は免れなかったんだ
から』と」 アーティス「そうか。悪い奴だから仕方がなかったか。『ところで、村長、我々はまだ急ぐ旅があ
るのだ。すまないが、巫女のリーネが回復したら、この手紙を見せてやってくれ』とステアの置 き手紙を渡そう」 GM「村長が『これは?』と聞いてくるぞ」
アーティス「『うむ、ステアの置き手紙だ。今度の事件でショックを受けたらしく、しばらく旅に出
るつもりらしい。道にこの手紙が置いてあった。リーネにはショックとなるといけないから、体が 回復したら見せてやってくれ』」 GM「では、その手紙を村長が受け取るね。そして一応、君たちの仕事はこれで全ておしまい
だ」 アーティス「さて、我々も次の町へいこう。そしてステアに追い付くんだ」
サタ「そうだな、偶然行き先が一緒なだけだからな。別に無理遣り追い掛けるわけではない
(笑)」 エレク「すぐに追い付けると思うよ。女の足だから」
アーティス「よし、ステアを追って我々も再出発だ!」
そして、このヘンテコな一行の姿は、晴れ上がった街道の向うに消えていく。まるでドラマのよ
うなエンディングだがこれで終わり。こうしてテストプレイの一回目は無事に終了した。 (THE END)
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